月刊誌 指導と評価

2022年 9月号
  1. 2022年 9月号 vol.68-09 No.814  定価:450円
特集
❶主体的・対話的で深い学び➋過敏な子ども
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特集

特集➊主体的・対話的で深い学び/「主体的・対話的で深い学び」の意義-社会的構成主義と形成的評価の視点から-

教育評価総合研究所代表理事  鈴木秀幸

★「主体的・対話的で深い学び」の意義を、構成主義や社会的構成主義の学習観、形成的評価が機能するための条件などから検討する。
★構成主義や社会的構成主義は、「深い学び」や「対話的な学習」を促すものである。また、形成的評価を機能させるためには、「主体的な学習」や「対話的な学習」が欠かせない。

特集➊主体的・対話的で深い学び/深い学びを促す指導-精緻化とメタ認知の視点から-

大阪教育大学名誉教授  北尾 倫彦

★本稿では、「精緻化」と「メタ認知」という2つの認知メカニズムから「深い学び」をとらえ直し、指導の手がかりを探る。最後に、子どもへのフィードバックの効果を高めるための具体的な提案を試みた。

特集➊主体的・対話的で深い学び/フィードバックを核とした形成的アセスメント

帝京平成大学准教授  山本佐江

★形成的アセスメントは、学習の改善を目的とした日常的な評価実践であり、評価情報のフィードバックはその中核に位置づけられる。
★形成的アセスメントの鍵となる「5つの方略」は、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善の視点として有効である。

特集➊主体的・対話的で深い学び/授業と連動させる定期テストの改善-意味理解と思考過程を重視した学習者を育てる-

元岡山市立香和中学校長  床 勝信

★意味理解を大切にする授業に取り組む中で授業と評価を連動させる必要を感じ、2009年度から定期テストの改善に取り組んだ。記述式を多用するテスト形式に対して、当初は否定的な反応が多かったが、意味理解や思考過程の大切さを伝える「数学通信」の取り組みなどによって、少しずつ意識の変容が見られるようになった。

特集➋過敏な子ども/過敏な子どもの背景要因と困難さへの対応

前東京成徳大学教授、一般社団法人スクールセーフティネット・リサーチセンター代表理事  田村節子

★過敏な子どもの背景要因は、心・脳・体の3つの要因から検討できる。過敏さのある子どもには疲労が伴い、学校生活の質が下がる。過敏さに対し子ども自身は「我慢する」という方略をとるが、解決にはいたらない。
★過敏な子どもへの援助には、アセスメントが重要となる。心理社会的要因から来る過敏さか、生得的素因から来る過敏さかを見極めながら、心理教育的援助サービスを行う必要がある。

特集➋過敏な子ども/過敏な子どもへの支援-被援助志向性の観点から-

大阪教育大学教授  水野治久

★過敏な子どもは、友だちや大人に対して相談することをためらいやすい。背景には対人関係への過敏さがある。そして、子どもの過敏さは支援にも影響する。特定の場所や環境が苦手なためである。支援策を練る際は保護者も含めたチームで検討し、子どもの過敏さに支援をあわせていく必要がある。
★過敏な子どもは、環境の影響を受けやすい。環境変化を踏まえ、周囲の援助者が連携して子どもを支援する必要がある。子どもの援助ニーズに応じた現実的な支援が鍵である。

特集➋過敏な子ども/過敏な子どもについての養護教諭とスクールカウンセラーのアセスメントのすり合わせ方

跡見学園女子大学准教授  新井 雅

★子どもの過敏さには、身体的な病気やアレルギー疾患、発達障害、心理社会的なストレスや精神疾患など、さまざまな要因が想定される。そのため、学校保健に関わる専門性に基づいて子どもたちの心身の健康面を支える養護教諭と、心理学や臨床心理学の専門性を有し、心理社会的な支援に関する知識や技能を有するSCそれぞれの専門的な視点を活かしつつ、他の援助者も含めたチームでのアセスメントを進めることが重要となる。

特集➋過敏な子ども/過敏な子どもと教師との信頼関係の作り方

愛知教育大学准教授  中井大介

★過敏な子どもは教師との関係にストレスを感じやすいため、慎重に信頼関係作りを行う必要がある。信頼関係を作る際に重要なのは、土台作りとしてのアセスメントである。信頼関係を作るためには、何より過敏な子どもの「安心感」を高めることが重要になる。信頼関係を作る際は過敏な子どもや学級集団への指導はもちろん、学校内外にわたる協力的な指導体制を確立することが重要である。

特集➋過敏な子ども/過敏な子どもへの対応についての校内研修の方法

鎌倉女子大学教授  石川満佐育

★支援が必要な子どもへの対応を考えるプロセスとして、事例検討が行われることがある。本稿で取り上げる「インシデント・プロセス法」は、教職員の共通理解やチーム支援の意識向上につながる方法であり、参加者のアセスメント能力向上に効果がある。

連載

巻頭言/もう元には戻れない 東京家政大学教授
平山 祐一郎
目標準拠評価を教育に生かす⑸目標準拠評価に必要な「詳しい評価基準」と「評価事例集」 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
カリキュラム・マネジメント⑸小学校算数②図形の指導 明星小学校副校長・前筑波大学附属小学校副校長
夏坂 哲志
事実を伝え、意見を述べる 自ら進んで取り組む「書くこと」の指導⒅人生の根幹である「心幹」を育む「書かせる指導」 熊本県立鹿本農業高等学校 進路指導主事兼食品科学科主任
宮田晃宏
読解力の育成⒄読解力の外にあって、読解力を支える力-小学校における「読書家の時間」の実践- 軽井沢風越学園
澤田英輔
真正の構成的グループエンカウンターによる学級づくり⑹支援学級での取り組み 門真市立門真はすはな中学校教諭
谷口万起子
大阪成蹊大学教授
米田 薫
学校コミュニティ危機への緊急支援⑹学校コミュニティ危機への緊急支援の評価・検証 九州産業大学講師
樋渡孝徳
教科書をひらいて授業を創る⑸小学校理科の教科書を「読み込む」 岡山大学准教授
川崎弘作
自己理解と積極性を促すキャリア教育⑵挑戦の機会を提供する/挑戦を奨励する 秋田県立大学准教授
渡部昌平
データで見るコロナ禍の学校⑵クライシスは「蘇生」のとき 日本教育カウンセラー協会理事
藤川 章
教育の窓(55)深い理解を導く予習のすすめ⑵-予習によって授業の受け方が変わる 日本大学教授
篠ヶ谷圭太
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