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特集
国語 「主体的・対話的で深い学び」をデザインする-説明的文章の学習指導を例に-
★本稿では、「主体的・対話的で深い学び」を「子どもが自らの既有知識をもとに、他者(筆者、教材、学習者)との意味的相互交渉の過程を通して、自らの既有知識を新たに再構成していく意味的対話を実現する学び」と定義する。特に説明的文章の学習指導においては、子どもたちが筆者の見方・考え方・述べ方に出会い、自分がすでに持っている見方・考え方・述べ方を作り直していくような学びが大切である。そのためには、まず筆者(教材)との対話、さらに教師や友達との対話を通して、最終的には「自己との対話」に至ることが必要である。「自分が考えていたことは間違っているのだろうか」「~さんの考えの方が妥当なのだろうか」という切実な自己内対話を通して、これまで安易に信じていた自らの見方・考え方・述べ方に再考(メタ認知)が促されていくのである。こうした学びを実現するために、本稿では「批評読みとその交流」という方法を提案した。
小学校国語-「主体的・対話的で深い学び」を実現する条件-
★国語科における「主体的・対話的で深い学び」の土台となるのは、教科内容の系統的な指導と、認識方法・思考の系統的な指導である。そのためには、発達段階毎に技能や能力の系統をもっていることが必要である。思考の系統性は、新学習指導要領に〔情報の扱い方に関する事項〕として新設されたものの課題も見られる。
★「主体的・対話的で深い学び」を実現する授業づくりの鍵を握るのは、「課題設定」と「クリティカルな思考の育成」を意識した授業構想である。課題のタイプとしては、複数正答型課題と手立て型課題が適している。クリティカルな思考とは、肯定的な評価を含む批評、批判の思考である。
★対話は、〈対象〉と〈機能や目的〉の二つの観点でとらえる必要がある。
小学校国語 「参加」から「活躍」、そして個人の表現・共有へ
★本稿では、①思考する活動が深い学びへとつながるという立場から、子どもが「より良いもの」を測る規準(モノサシ)を見いだす授業のあり方を述べる。
★実践例として、二年生の「ビーバーの大工事」・三年生の「はりねずみと金貨」(いずれも東京書籍)を取り上げる。
★深い学びへ向かう授業における教師の役割を②「参加」から「活躍」、そして③個人の表現をもとに共有を図ることだとして、実践例での子どもの姿をもとに、その有効性について述べる。
★また、④言語表現だけではなく、挿絵を使った学習課題設定の有効性についても述べる。
中学校国語 主体的・対話的で深い学びを引き出すために-「誰かの代わりに」
★「主体的・対話的で深い学び」の実現には、三つの要素一つ一つについて児童生徒の具体的な姿を思い描き、その実現のために工夫していくと、結局三つが絡み合う学びになる。例えば、児童生徒が「主体的」に学ぶのは、話題・課題に興味が持てる、ゴールが見える、やり方は選択・工夫できる、仲間と話し合ったり協働したりできる、活動に意義が感じられる、ときである。
算数・数学-本時の目標達成を意識しつづけ、子供たちで見つけたと思わせる「問題解決的な学習」の日常化を-
★算数・数学科における主体的・対話的で深い学びを実践するには、自立的・協働的に問題を解決する過程を遂行する数学的活動を日常の授業で継続していかなければならない。それは、とりもなおさず「問題解決的な学習」の日常化である。導入問題をきっかけとして、課題を子供が持ち、粘り強く取り組み考えつづけることで、いかにも自分で考えたかのような感激に至れるよう、教師が仕向けることが必要である。特に、本時の目標を常に意識して、子供の反応をできるかぎり想定するとともに、精選された発問を位置付け、大事なことは子供から引き出すことが、授業の成否を分ける鍵と考える。そして、少しだけ終末を丁寧に扱い、振り返ることも行いたい。
小学校算数
★本稿では、まず、いままでの算数科の典型的な展開の課題について明らかにした。その上で、算数科における主体的・対話的で深い学びには、子どもの思いや願いを伴った子ども自らの問いが必要であることを『学習指導要領解説算数編』をもとに考察した。次に、一年生の数える活動を具体例として、子ども自身のやりたい思いから問いを引き出すこと。さらに、活動の中から生じる子どもの発言やつぶやきから問いを焦点化すること。解決方法から問いを変容させていくことを述べながら、めざす授業の具体について検討した。最後に、めざす授業の評価の方向性についても考えた。
中学校数学-主体的・対話的で深い学びができる生徒の育成-
★主体的・対話的で深い学びでは、授業内での思考プロセスの充実が大切である。筆者が実践する「①問題把握、②自力解決、③全体検討(集団検討)、④まとめ」という「問題解決4ステップ授業」について、一つ一つのステップを形式的に行うのではなく、よりよいものにするためのポイントを考察した。この取組は、カリキュラムマネジメントとして、教科等横断的・汎用的な能力の育成を引き起こし、学びの深化につながった。
★生徒の資質能力の育成を目指すうえで、最優先事項は「学びに向かう力」の向上であると考える。そのためには、「授業への意欲」「問題に取り組む前向きな姿勢」など非認知能力の育成が必要である。筆者が実践した研究授業をもとにその具体的な取組と「深い学び」についての一考察を紹介する。
連載
中教審「児童生徒の学習評価に関するワーキンググループ」の検討の現状 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
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「教師力」アップセミナー(6)深い学びを追究する | 帝京平成大学教授 白鳥 信義 |
QUを活用したPDCAサイクルの推進(6)継続のポイント(1)成果を上げた学校がそれを継続していくためには | 東京福祉大学助教 河村 明和 |
『きめる』学びで知的にたくましい子どもを育てる-主体的・対話的で深い学びを実現する授業づくり(6)音楽科における「きめる」学び | 筑波大学附属小学校教諭 高倉 弘光 |
説明文・意見文を書くことの指導(6)「イエス・バット法」で意見文を書く | 筑波大学附属小学校教諭 桂 聖 |
説明文・意見文を書くことの指導/本連載の趣旨 | 「指導と評価」編集部 「指導と評価」編集部 |
新教育課程における評価を考える(15)算数・数学 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
新教育課程における評価を考える(16)国語「書くこと」の評価事例 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
特別支援教育に生かすペアレンティング(6)調和がとれたスムーズなコミュニケーション(2) | 子育て科学アクシススタッフ 上岡勇二 |
構成的グループエンカウンター再入門(7)不登校対応のエンカウンターエッセンス | 教育カウンセラー・ガイダンスカウンセラー 川端 久詩 |
コミュニティにおけるガイダンスカウンセリングの展開(6)スクールカウンセラーとしてのガイダンスカウンセリング | 埼玉県スクールカウンセラー 束田 恭子 |
成熟した学習者をめざして(5)望ましい学習サイクルを育てる | 宮城学院女子大学非常勤講師 小松 陽子 |
これからのキャリア教育(6)キャリア教育の“要”としての特別活動と「キャリアパスポート」 | 筑波大学教授 藤田 晃之 |
講座カウンセリング心理学(6)カウンセリング心理学から見たグループアプローチ | 東京成徳大学名誉教授 國分 康孝 |
教育統計・測定入門(69)受検者母数の最尤推定 | 法政大学教授 服部 環 |
教育の窓(36)観点別学習状況の評価、目標準拠評価の目的は達成できたのか | 「指導と評価」編集部 「指導と評価」編集部 |