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特集
学級づくりのポイント
★学級集団づくりのポイントは、①目標となる学級集団の状態を確認し、②現状の学級集団の状態を確認し、③②から①に向かう対応を段階的に、継続的に行っていくことである。
★現状の学級集団の状態は、ルールとリレーションの確立度で確認していくことが効果的である。教師は自分の指導行動のクセ、現在の学級集団の状態を的確に把握し、現状にマッチした指導行動や取組を展開していくことが求められる。そこにミスマッチが生じると、教師がまじめに熱心に取り組んでいても、学級集団は発達していかないばかりか、逆に、退行していくことも少なくない。教師は学級集団の状態を把握する方法論をもつことが必要である。
クラス替え後の学級づくり
★クラス替え後の学級づくりのポイントは、次の三点である。①児童間の相互理解、教師と児童たちとの相互理解を図るように工夫し、他を認め合う学級風土を培う。②保護者に対して、学級担任としての教育観を理解してもらうように努める。さらに、クラス替えに伴って生じる摩擦の教育的価値と対処法や心構えを説明し協力を仰ぐ。③あえてもめる場を設定し、折り合いをつけることができるようにする。そのために、グループ活動のような小集団からはじめ、徐々にクラス全体で話し合ったり問題を解決できるようにしていく。
保護者との連携で学級づくり
★保護者会、三者(親子)面談、日常の報告・連絡・相談、学級だよりや通知表等での情報伝達など、保護者との人間関係を深める機会は、そう多くはありません。少ないチャンスを効果的に活かすことが大切です。
★保護者との関係が良好であると、保護者からの直接的支援が期待できるだけでなく、保護者の担任に対する良好な感情は、児童生徒に伝わり、登校を楽しみにする児童生徒の姿は、保護者の学校(担任)への信頼感を高めます。
★こうして、学校・児童生徒・保護者の「三者同盟」が強固になっていき、学級経営も円滑に進めることができます。誤解や反発が生じた場合でも、保護者と対応する時の基本姿勢を貫くことが求められます。
総合的な学習と学級づくり
★総合的な学習では、子どもと子ども、子どもと教師の人間関係が授業づくりの基盤となるだけに、学級づくりと深いかかわりがある。
★一人一人の輪郭が際立っていて、それでいて集団の凝集性がある学級を目指していきたい。そのためには、学級としてまとまって目当てに向かう活動や、小集団での活動を組織することにより、協同的に活動することのすばらしさを感じることができるようにするとともに、個が生きる場を保障するようにしたい。
★個人研究を行う場合でも、仲間の存在が大きな意味をもっており、研究を進めていく原動力となる。
授業の工夫で学級づくり
★本稿では、筆者の指導観を開眼させた尾木直樹さんの国語の授業を通して、学級集団づくりのあり方に迫る。
★教師の指示や説明が多い授業では依存的学習者が育ちやすい。よりよい学級づくりのためには、自律的学習者を育てることが鍵になる。自律的学習者の多いクラスは明るい。
★授業名人と言われる教師ほどしゃべらない。彼らは学習者の心理を読むのが巧みである。また、発表させる機会がとても多い。
★協同学習を推進することで、クラスの中に居心地のよさや信頼関係、さらには互恵の精神が生まれる。
「帰りの会」の話で学級づくり
★担任する生徒の人間関係を安定させるためには、まず教師と生徒との間の信頼関係を築く必要がある。
★学級担任と生徒との人間関係を築く方法の一つに、「帰りの会」で教師が生徒と会話をしながら教育的な話をする方法がある。
★学級で教育的な話をする際は、担任自身がまず自己開示を行い、生徒が発言しやすい雰囲気をつくることが大切である。
スクールカウンセラーと学級づくり
★学級づくりには、まず学級アセスメントが欠かせない。QーUやその他のテストを実施していれば、担任とSCがその結果を共有しておく必要がある。
★その上でSCと担任が協力して学級づくりするのに、要となる観点は、①リレーションの形成と、②ルールの確立である。
★この2本柱をクラスで取り組むときに、有力な方法がSGEをSCと担任のティームティーチングで実施することである。
★そのほかに、SCは生活班ごとにグループ面接をすることによって、担任の学級づくりを支援することができる。
思春期と学級づくり
★思春期の子どもたちは、「何を言うか」よりも「だれが言うか」を重視する。また、大人よりも仲間の言うこと尊重する。学級づくりにおいては、教師があれこれ指示をするのではなく子どもたちに生活づくりを任せることで、集団としての教育力を高めることが必要である。生活づくりは葛藤やトラブルがつきものである。そこで、一人一人と確かな信頼関係を構築し、トラブルに介入できる準備をしておくことが求められる。
連載
特別支援教育のさらなる充実を求めて(5)チームで行う特別支援教育-効果的な校内連携と保護者との連携 | 大阪教育大学教授 水野治久 |
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学級づくりと特別活動(5)学級のグループ活動とリーダーを育てる | 上越教育大学特任教授 橋本定男 |
わたしたちの学校づくり(5)生徒を中心に据え、生徒と向き合う時間を確保する校務改革 | 熊本県山鹿市教育長・前山鹿市山鹿中学校長 堀田浩一郎 |
新しい教育評価の動向(26)項純「現代中国における教育評価改革-素質教育への模索と課題」 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
新しい教育評価の動向(27)ポファム「ルーブリックのどこが問題で、どこに期待できるか | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
小中学校国語の授業づくり(6)中学校「読むこと」1年生 言語活動と機能と、自力読みの力と 「魚を育てる森」 | 佐賀県武雄市立武雄中学校教諭 宮嵜信仁 |
小中学校外国語教育のあり方(6)小学校外国語活動をふまえた中学校入門期指導のあり方 | 佐賀県武雄市立武雄中学校教諭 宮嵜信仁 |
どうする?小学校図画工作の授業(3)「こと」をおこす「造形遊び」 | 東京学芸大学准教授 西村 徳行 |
教材で子どもが輝く小学校社会科の授業(6)ぼた山から何が見えるか?-日本復興の原動力が見える | 東北福祉大学特任教授 有田 和正 |
小学校算数の発展・応用を学ぶ授業をつくる(13)3年 | 青山学院大学教授 坪田 耕三 |
小学校理科の授業づくり(18)3年B(2)「身近な自然の観察」 | 文部科学省教科調査官 村山哲哉 |
学校の法律問題(6)法的問題としてのいじめ | 日本女子大学教授 坂田 仰 |
教育測定・統計入門(18)分散分析の前提と対応がある平均の検定 | 法政大学教授 服部 環 |
だんわしつ/「鑑賞・評価」から「共感・共有」へ | 東京国立近代美術館主任研究員 保坂健二朗 |
ひとりごと/演奏会 | 元公立中学校教諭 吉冨 久人 |