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特集
思考力・判断力・表現力の評価に必要なパフォーマンス評価 -パフォーマンス課題に焦点をあてて-
★思考力・判断力・表現力を育成するために、質の良いパフォーマンス課題の開発が求められている。
★パフォーマンス課題に取り組む力を育てるためには、見通しを与えたうえで基礎的な知識・技能を指導することや、作品批評会などを通して自己評価力を育てることなどが有効である。
★パフォーマンス課題によって児童・生徒が生み出した完成作品や実演を用いて、ルーブリック作りを行うことが求められる。
★学力評価計画を立てる際には、観点に対応する評価方法を明確にすることが重要である。
パフォーマンス評価への期待と課題
★パフォーマンス評価は表面的妥当性が高いからといって、パフォーマンス評価の課題や問題が、求める能力や技能を実際に評価できるものであるかの確認を怠ってはならない。
★パフォーマンス評価は時間のかかるものであるため、実施する意義があるかを確かめなければならない。
★パフォーマンス評価を指導要録の評価に用いる場合には、各学校でバラバラに決めるのでなく、統一したスタンダードとしての評価基準が必要である。
小学校国語
★思考力や判断力を伴う深い読みは、文章の核心に迫る問いにより導かれる。
★「パフォーマンス課題」のもと、思考力・判断力・表現力を育てるには、単元の展開の中で学習者が、自身の問いとするための時間を十分とること、モデル学習と発展学習を位置づけること、ポートフォリオ検討会を位置づけることの三つが大事になる。
★ルーブリックを措定し、実践を通してその練り直しを図ったり、ルーブリックの文言と作品を結びつけたりする校内研修が大事になる。
中学校国語
★国語科に求められる今日的課題の一つは、言語生活を充実させる必要性である。
★そのため、現実世界に近いリアルな文脈の中で知識やスキルを使いこなし,また,言語感覚を豊かにし,言語生活を充実させるためのパフォーマンス課題とその評価としてパフォーマンス評価を実践した。
★成果として,定期考査で見取ることができない生徒の思考の過程や手だてについて判断できることがある。
★課題として,パフォーマンス課題の妥当性がある。
小学校算数
★算数科における思考力・表現力の評価をどのように行うか。本校では、パフォーマンス課題とルーブリックを取り入れ、指導と評価の一体化に努めてきた。
★ここでは、これまで4年間取り組んできた単元づくり・授業づくりにおける指導と評価の実際と目的に応じたパフォーマンス課題について述べる。
中学校社会科
★歴史的分野における「本質的な問い」の一つとして、最後の単元で「戦争はなぜ起こるのか。戦争を起こさない平和な国を保つにはどうしたらよいか」というパフォーマンス課題に取り組んだ。
★評価規準は、課題内容とともに事前に示す。生徒には、どのように取り組んだらよいかの指標となるからである。
★基本的な知識は短時間で学習し、パフォーマンス課題に取り組むことで、知識は定着し、思考力・表現力も向上する。
小学校理科
★小学校理科における「ものづくり」を行うとき,これまで学んだ科学的知識を活用する科学的思考力や科学の事象を正確に機能させる創造的な技能が必要である。
★科学的思考の評価・評定は,「予測」と「説明」の2観点からとらえたパフォーマンス課題とルーブリックづくりを紹介した。
★モデレーションは,少しでも客観的な評価結果にするための適正化と,教師としての評価力の向上,という二つの効果がある。
★科学的思考などの高次の技能に関する観点を適切に評定するためには,1年間を通じて3単元程度のパフォーマンス課題を設定する。そして,3単元の総括的評価から観点別評価の結果に生かす。
中学校英語
★前任校で3年間、協同学習を中心に据えた小集団学習で、パフォーマンス課題を設定し取り組んだ。
★グループごとに発表の内容と形態を考えさせる。このことが活用する力を育て、生徒の表現能力の向上に役立つ。
★協同学習を生かした小集団と個人のルーブリックを作成したが、評価方法の工夫が必要である。長期的なルーブリックと個別課題のルーブリックの関係、アンカーになるグループをどうするか、指導要録との関係など課題がある。
韓国におけるパフォーマンス評価の現状と課題
★韓国は、「教育課程改革政策」の一環としてパフォーマンス評価の導入が決定され、1999年にはすべての小・中・高等学校でパフォーマンス評価が実施されることとなった。
★パフォーマンス評価が普及したことで、実生活・真正性の高い状況で知識が適用できるかどうかが、評価の対象とされるようになった。なお実際状況での問題解決能力の伸張という「高次の思考能力」が強調されることになった。
★パフォーマンス評価の実行から10年が経っている現在でも教育現場では様々な課題(学習者数の過多、教える内容の多さ、時間の確保の難しさ、評価の客観性及び信頼性の保持の困難さなど)が生じている。
連載
教えて考えさせる授業(3)中学校英語 | 広島県江田島市立三高中学校教諭 水岡 彩 |
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坪田耕三先生の基礎・基本を学ぶ小学校算数の授業づくり 「わかる」と「できる」基礎・基本の考え方(51) 小学校五年、体積 | 青山学院大学教授 坪田 耕三 |
これからの国語科教育(6)中学校「読むこと 文学的な文章」 | 山梨県総合教育センター主幹研修主事 佐藤喜美子 |
これからの理科教育をどうするか(12)中学校二年「動物の生活と生物の変遷」 | 筑波大学附属中学校副校長 新井 直志 |
これからの学習評価(5)今後もチェックリスト方式でよいのか-「思考・判断・表現」の観点の評価 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
教育・心理検査入門(6)行動・社会性を測定する検査 | 応用教育研究所理事長・筑波大学名誉教授 櫻井 茂男 |
●小学校英語活動のポイント(16)「外国語活動」におけるDo`s and Don`ts-その6 | 国立教育政策研究所名誉所員・2014年度戸田市英語教育運営指導委員会委員長 渡邉 寛治 |
だんわしつ/知識基盤社会 | 神戸学院大学教授 立田慶裕 |
ひとりごと/動と静 | 元公立中学校教諭 吉冨 久人 |