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特集
データに見る子どもの学習意欲と学習習慣
★IEA国際数学教育調査では、四〇年前の第一回から生徒の数学に対する態度には問題があると指摘されていた。
★一九九九年実施の「第三回IEA国際数学・理科教育調査第二段階調査」によれば、我が国の生徒は依然として数学や理科を好きとは思っておらず、、数学や理科やそれ以外の科目を勉強する時間は少なかった。一方、テレビやビデオを見る時間が増えていた。教師が宿題を出す頻度は少なかった。
★二〇〇一年度実施の「教育課程実施状況調査」によれば、わが国の児童生徒は、勉強は好きではないと答えているいるものの、個別の教科ごとでは好きな割合は高くなっていた。
★二〇〇一年度実施の「教育課程実施状況調査」によれば、学習習慣を支える生活習慣では、朝食をとる生徒はとらない生徒より、また学校に持っていくものを確かめる生徒はそうでない生徒より、それぞれ得点が高かった。
学校は間違うところだ
★どんな優秀な子供でも間違える。思いもしないところで、思いもしない間違えをする。子供は「間違いをするもの」であることを認識する必要がある。
★人は間違える。とんでもないところで間違いを犯す。だからこそ面白いともいえる。子どもの間違いを材料にして、正解をさがし求めることが学習であり、授業である。
★授業は、「正解主義」から脱却すべきである。間違うことを楽しむくらいのゆとりがほしい。これには、クラスのあり方、とりわけ教師の人間の幅・考え方がものをいう。
★間違いを見つけるためにも、正解を見つけるためにも「ノート」は大きな働きをする。ノートの使い方を変えたいものだ。
学習習慣の基礎としての基本的な生活習慣をどう付けるか
★「学習習慣と基本的な生活習慣とは密接な関係がある」という標題の趣旨は、今日の困難な教育問題を解決する上で、非常に重要な認識である。
★ただ、「生活問題を解決してこそ、学習問題も解決する」という段階論をとれないところに、この問題の難しさがある。子どもの成長過程は日々休むことなく、常に「待ったなし」の緊急課題的要素を抱えているからである。
★だから「両者」に深い分析を加えながら、同時進行的に方針を出していく必要がある。方針は、主として学校・教職員から発せられるが、父母・地域の協力なしには成功しない。このことを、私なりに提起してみたいと思う。
荒れた学校を朝の十分間読書などを通して立て直し、学習習慣を付ける
★「自分の中から自分が生まれる」といわれる思春期真っ只中の中学生は、自分自身や相手を知る手がかりになる言葉が不足しているためにトラブルを起こしやすい年代といえます。
★朝の十分間読書のやり方の主な点は、(職員も全員)で読む、毎日読む(行事前も)、好きな本でよい(漫画・雑誌以外)、ただ読むだけ、他人の迷惑にならない限り厳しく注意しない、などです。
★「朝の十分間読書」は人間関係づくりの基礎・基本ともいうべき活動です。全校で一斉に行う「朝読」によって、生徒たちは朝の十分間、静けさの中で読書しながら自己と向き合い、言葉を獲得していきました。その結果自己表現が豊かになり、他人に対する想像力も増して、人間関係もスムーズになり、学習意欲も増しました。生徒指導困難校といわれた学校が落ち着いた学校に生まれ変わりました。
宿題を通して学習習慣を付ける
★文部科学省の「学びのすすめ」以来、急に宿題がクローズアップされてきたが、場当たり的に、何でも出せばよいでは、学力もつかず、勉強嫌いの子を増やしてしまう危険がある。
★宿題でつけるべき力は何か、何の目的で宿題を出すのかなど、教師が宿題についてしっかり科学して、クラス実態に合わせて宿題を出す必要がある。
★宿題は独り学習の習慣をつける目的、自己教育力の育成の観点から大切な営みである。
★公立学校不信が煽られている今日だからこそ、教師が学力づくりの専門家としてしっかりと吟味した宿題を提案し、親、子ども、地域を巻き込んだ学力づくりの運動を作ることが大切な時である。
話し合い、学び合う学習の中で学び合う学習習慣を付ける
★民主社会の戦後日本では、読み書き計算と対話の能力が基礎基本である。対話の能力は、学校教育の全活動を通じて育てるべきだ。
★しかし、明治以降「教師中心の一斉授業」が続いてきたから、対話による教育には大変な抵抗がある。
★対話の能力を育てるには、「学級づくり」がとても重要だ。学級づくりをすれば、教師と子ども、子どもどうしのコミュニケーションが良くなる。
★授業では、子どもが発言する機会を多くし、話す態度・聞く態度を訓練する。
★対話法では、自己開示のしかたや積極性、考えの多様性を認め他人の考えを尊重する態度、肯定的自己概念などを育てながら、学力向上や問題解決も図る。
学習習慣を測定する検査
★基本的な学習習慣は、できるだけ早期に身に付けるようにさせ、その後も適切な指導によって、さらなる積み上げを図っていくことが大切である。
★教研式新版学習適応性検査(NEWーAAI)は、学習習慣を含む、学習に影響する要因を「学習適応性」としてまとめ、児童・生徒の学習適応性がどのような状態であるかを調べ、指導に利用するための検査である。
★この検査を実施することで得られるコンピューター打ち出し資料と、その利用の仕方について述べる。
★那覇市立教育研究所の了解のもと、AAI関連の記述中心になるよう筆者がまとめたものを、利用事例として紹介する。
連載
教育評価再入門(15) 「妥当性と信頼性-評価の統一性、結果妥当性の登場」 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
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私が行っている継続可能な目標準拠評価(6) 「小学校音楽」 | 京都市立第三錦林小学校教諭 藤江 淳子 |
私が行っている継続可能な目標準拠評価(6) 「中学校音楽」 | 上越教育大学附属中学校教諭 長谷川 泰山 |
小学校算数の基礎・基本の指導と評価(4) 活動する力を支えるための基礎 | 元筑波大学附属小学校教諭 正木 孝昌 |
中学校の総合的な学習と選択教科の実践(4) 学際総合をつくる | 神戸大学附属住吉中学校教諭 大黒 孝文 |
標準学力検査を活用した教育実践(15) 「学力検査の活用について」 | 兵庫県西宮市立総合教育センター研修課長補佐 大河 進 |
どうする?小学校英語(5) 「小学校英語活動に期待できることできないこと」 | 国立教育政策研究所名誉所員・2014年度戸田市英語教育運営指導委員会委員長 渡邉 寛治 |
だんわしつ | 磯貝 芳郎 |
ひとりごと | 元公立中学校教諭 吉冨 久人 |