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特集
道徳教育の流れと新教育課程における道徳教育
★道徳教育の充実は世界的な傾向である。それは、各国が子どもの現状から、将来の国に対する危機意識を持ち始めたからである。我が国でも子どもたちの姿や、次々と凶悪な犯罪を起こす青少年を見ていて、将来の日本に危機意識を持たない方がおかしいのである。
★結局、道徳教育を充実させるとは、まじめに生きる子どもたちを育てることである。そのことがおろそかになっていることでさまざまな問題を引き起こしていることを指摘する。そして、アメリカやイギリスにおいて、真剣に道徳教育に取り組まれている実態を紹介し、それらを踏まえて我が国の道徳教育のあり方について見ていく。
空洞と亀裂-非行が照らす今日の少年世界
★今日の非行世界は二極化しつつある。一つは、幼い頃からの荒れを背景に、誰もが「非行化するのではないか」と恐れた少年が、そのおそれを裏切らず(?)非行少年化して重大事件を起こすという例である。他の一つは、幼い頃からふつうあるいはそれ以上に良い子といわれてきた少年が突然、周囲が仰天に言葉を失うような非行を働くという例である。
★少年たちの非行世界は、その深部で今時の子どもたちの抱える闇の部分に通じていく。今何が少年たちの間に生じているのか。非行世界を注視せねばならない。
道徳性発達の理論-どう大人になるのか-
★子どもは自立した社会人になるために、他の動物にはみられないような特性を身につけていかなければならない。その一つが道徳性である。
★子どもが大人になっていく過程は、社会の側から見れば社会化されるのではなく、子どもからの働きかけとの相互作用によって、その社会の望ましい構成員が形成されるのである。道徳性の発達も社会化の過程の一面としてとらえることができる。
★ところが近年、道徳に関する様々な問題が見いだされるようになった。これは広い意味での道徳教育に、何らかの問題があると考えられる。その一つとして”良心”の形成上の問題があげられる。また、子どもの本質的な傾向と一致する共感能力の育成の重要性を指摘できる。
子どもの豊かさを培う評価の観点に立った道徳の授業
★子どもは豊かな感性を備えている。道徳の授業は、その子どもの豊かさを引き出すものでありたい。
★そのような道徳の授業はどのようなものであれば良いのか。まず、その評価の観点を定める。
★そして、その評価の観点を視野に入れた道徳の授業像を明らかにする。
★次に、その道徳の授業像に即して、道徳の内容に即した授業構想をする。
★本稿では、具体事例として、三年の「働くことの大切さを知り、進んで働く」について授業構想を紹介する。
コールバーグ理論をもとにしたジレンマ教材の授業
★コールバーグ理論に基づく道徳授業については、兵庫教育大学の研究グループが中心となって一主題二時間の授業過程モデルが作られ、多くの実践が報告されるようになってきた。
★しかし、多くの授業者がコールバーグの認知発達理論について十分に理解して授業に臨んでいるとはいえない。
★したがって、いかにして理論と整合する授業を設計するか、それをどのように実践するか、また結果についてどのように評価していくか、といった一連の授業づくりの作業について批判検討を加えることは、コールバーグ理論の発展や授業実践研究の質を高める上からも必要である。
★今回は、モラルジレンマ資料「この子のために」(コールバーグ原案)を用いた中学校における討議型道徳授業を紹介し、モラルジレンマ授業のあり方について考えたい。
価値の明確化の授業
★教師側からの押しつけや教え込みを排して、学習者の主体性・自主性を尊重し、子ども主体の授業をする。
★一部の子どもたちだけが意図的に指名されて進む授業ではなく、全員に学習に主体的に参加する機会を十分に与え、一人ひとりの考えを大切にする。
★「価値のシート」に取り組み、個人で考える思考の時間とグループでの意見交換の時間を十分確保する。
★グループでの話し合い活動では、ただ話し合うのではなく、意見タイムや質問タイムをとりながら互いの考えを聴きあい、認め合うことに重点をおく。
★自分の考えを確かにもったり、いろいろな考えを知ったりするので、総合的な学習の時間の導入や終末などに位置づけられる。
ピアサポートプログラムによる道徳教育
★本校のピアサポート・プログラムは動き始めたばかりである。その成果を示すのは難しいが、上智大学大学院という外部の研究団体との交流が始まり、子どもたちにとって、教育環境が広がりと深まりを獲得したことが第一にあげられる。
★本稿では、導入を決めた前校長とこれを引き継いだ現校長の考えをプロローグとエピローグに配し、校内ピアサポート委員会のチーフ、実践にかかわった三人の学年主任の考えや印象をまとめた。さらに、教育活動を見つめている保護者の代表であるPTA会長の熱い期待、指導・実践する院生スタッフのチーフの考えをあわせた。それぞれ異なった立場からの考えをすりあわせることで本校の実践のようすがわかると考えたからである。
VLF(思いやり育成プログラム)による道徳教育
★学校、学級の問題や友達の問題を「自分とかかわらせて考える」ことができるようになる道徳教育が求められている。
★道徳教育では、自分と身の回りの人に対する「思いやり:相手の気持ちを推測し、理解する能力(役割取得能力)」を育てることが大切である。
★「思いやり」の心を育てる道徳教育プログラムとして「VLF(Voice Of Love and Freedom 愛と自由の声)」という人格形成プログラムをもとにした新たな方法の開発を進めている。
★VLFプログラムには、
1.ステップ1・・・結びつくこと
2.ステップ2・・・討論すること
3.ステップ3・・・実習すること
4.ステップ4・・・表現すること の4つのステップがある。
連載
新しい観点別評価のポイント(2) 小学校算数科 | 国立教育政策研究所教育課程教育センター教育課程課教科調査官 吉川 成夫 |
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新しい観点別評価のポイント(2) 中学校数学科 | 文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官 根本 博 |
教科の基礎・基本(14) <中学校数学科>(1) | 横浜国立大学准教授 両角 達男 |
総合的な学習の実践と評価(5) 「単元指導計画等の改善(2)」 | 千葉市教育委員会教育センター指導主事 硲 茂樹 |
だんわしつ | 小林 司 |
ひとりごと | 元公立中学校教諭 吉冨 久人 |