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特集
評価における信頼性と妥当性問題 古くて新しい課題に向けて
★信頼性と妥当性の問題はテストを科学的に研究する上で古くから、そしていまも基本的な研究課題として問われ続けている。
★テストが表す数値を正しく読み取り解釈するには、作るときの計画およびその事実から得られる結果の積み重ね(証拠)と、その経験をもとにした納得できる説明(構成概念妥当性)が大事である。現在はそのための情報収集と結果を結びつける実地訓練がまだ不足している。
評価の役割から見た教育評価の現状と課題(1) 形成的評価
★形成的評価は評価の目的に注目した概念であり、総括的評価は評価の判断に注目した概念である。学習の改善に用いられる評価は形成的評価である。総括的評価でも学習の改善に用いられれば、形成的評価の機能を持つ。
★形成的評価の効果的な実施のためには、これまでの指導のあり方の変革が必要である。
評価の役割から見た教育評価の現状と課題(2) 入学試験・総括的評価
★総括的評価の役割は、1.生徒の到達度の確認と学習成績の評定、2.生徒の学習に関わる問題の発見とその改善、3.教師が実施した指導の反省と今後の改善、である。
★総括的評価として表される調査書には、客観性・公平性の確保が重要である。そのためには、中高の連絡協議会を通じて、継続的に相互理解を図ることである。
自由記述形式の答案の評価 レベル区分による評価
★理解、解釈などの学力を評価するには、自由記述式の課題が適している。また、そのような課題を出すことが、生徒のそうした学力を向上させる学習を促す。
★反面、採点者の訓練と、実際の採点作業に時間がかかることが難点である。学校内での採点は、数段階のレベル評価でもすすむだろうが、学校外で採点される場合は、各レベルに点数を配点する必要があるので、よりむずかしい。
教育評価の現状と課題 中学校
★評価基準(スタンダード)は、「十分に」とか「しっかりと」といった曖昧な表現を避け、具体的に示す必要がある。評価の場、内容、方法等を十分研究し、評価の客観性・平等性・信頼性を担保する必要がある。
★「関心・意欲・態度」や、指導要録における「行動の記録」、道徳の時間の評価など、心の内面や働きを評価する場合は、実態は十分把握するものの、「長い指導の経過の中で育てる」立場を大切にする必要がある。
★進路選択や入試に使われる資料は、正確性を高める必要がある。
教育評価の現状と課題 高等学校
★高校では推薦入試が拡大したころから、評価のインフレ現象が顕著となった。
★全国統一評価基準がなく、高校教育の達成目標が分からなくなっている。赤点や留年は学力維持方法としてもはや機能していない。
★対策として、8段階評価の実施、全国統一評価基準の設定が必要である。
標準学力検査の現状と課題
★標準学力検査は、妥当性や全国的基準などの様々な面で、標準化されていないテストに比べて優位性がある。
★記述式問題の組み入れは、数回の調査を経て、来年度中にはCRTに組み入れられるであろう。活用的学力のテストとして当面は、標準学力検査に付加して実施するテストを、できれば本年度内に用意したい。事後指導用の問題については、インターネットなどから問題を引き出すなど、本年度中の整備を目指したい。
連載
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教育評価の現状と課題(5) 教育評価の手順(2) | 文教大学学園長・応用教育研究所所長 石田 恒好 |
PISA型読解力を育てる(1) PISA型読解力とは何か、なぜ必要か | 都留文科大学教授 福田 誠治 |
言葉によるコミュニケーション能力を育てる(5) 中学校生徒における言葉によるコミュニケーション能力を育てる | 富山市立藤ノ木中学校教諭 平沢 真名子 |
教師力を磨く(5) 数学科における教科の専門性を磨く | 筑波大学附属中学校教諭 坂本 正彦 |
教育心理学の外国文献紹介(8) 外発的動機づけの効果 | (財)応用教育研究所所長 辰野 千壽 |
ネット時代の読書論(5) 「読書離れ」について考える(その4)-「読書離れ」を巡る諸説 | 東京家政大学教授 平山 祐一郎 |
教育の窓 新学習指導要領で算数はどのように変わるか | 青山学院大学教授 坪田 耕三 |
だんわしつ これからめざすべき教育 | 文教大学准教授 新井 立夫 |
ひとりごと | 元公立中学校教諭 吉冨 久人 |