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特集
学校評価システムの構築に向けて
★学校評価は、各学校が、自らの教育活動その他の学校運営について、自律的・継続的に改善するとともに、学校が保護者や地域住民に対して説明責任を果たし、保護者、地域住民の理解・協力を得るうえで重要である。
★文部科学省は、骨太の方針2005や中央教育審議会答申の提言等を踏まえ、学校評価を充実するため、各学校・地方自治体の参考に資するよう「義務教育諸学校における学校評価ガイドライン」を策定した。
★学校評価システムの構築を通じて、教育分野におけるPDCAサイクルが確立され、教育の質の保証・向上が図られていくことが期待される。
学校評価の観点
★その年度の重点目標や実施計画の策定と同時に、それらの成果や取組状況を把握し評価するための年間評価計画を作成する。
★評価の対象となる事項は、1.評価領域、2.評価項目、3.評価の観点に分類される。「評価項目」は、重点目標を達成するための重点活動を、「評価の観点」は、その達成に向けた一つ一つの具体的な取組を、それぞれ評価事項としたものである。
★一つ一つの「評価の観点」には、達成状況等を客観的に把握することができる評価指標と、評価の判定基準が必要である。
★各学校は、学校評価実施後に、評価結果を含めた学校評価総括表を作成する。
学校評価で学校を変える
★これまでの学校評価は、評価を実施すること自体が目的化されていたため、抜本的な課題解決にまでいたっていない。
★「外から選ばれる学校」という社会的環境に学校を置き直し、教育活動の成果を基盤とした学校運営システムをつくる。
★品川区の教育の質的向上をめざす「新外部評価委員制度」を開始する。
★外部評価(第三者評価)を有効活用し、教員の力で「公立学校の信頼回復」をめざす。
学校評価の活用と課題
★教員対象のアンケート結果からは、学校評価に積極的に取り組んでいる一方で、何を評価し、評価した結果をどう生かしていくか、といった基本的なところで悩みを抱えている状況がうかがえた。
★聴き取り調査からは、学校評価を活用するために評価結果とともに改善策も、適切なタイミングで公表する重要性が再確認できた。また児童生徒、保護者の評価結果を適切に教職員の自己評価に反映させ、すみやかに改善策に取り組んでいる実践も見られた。
★学校評価に取り組むことで、あらためて、学校の重点目標や取組の様子を保護者や地域の人々に知らせていくことの重要性が浮き彫りになると考える。
学力を向上させる「効果のある学校」
★日本では長年タブーとされてきた学校評価が、再び始まろうとしている。しかしひとくちに学校評価といっても、その方法やめざすところはさまざまである。
★本稿では、「効果のある学校」という考え方とその研究成果を紹介し、インクルーシブな社会づくりという視点に立った学校評価と学校改善の方法について紹介する。とくに、最近実施した調査結果をもとに、日本の学校における改善のポイントを詳しく紹介する。
イギリスにおける学校評価 学校監査制度を中心に
★本稿では、今後、自己評価と外部評価の実施が「義務」となる予定の日本の学校において、学校改善に資する学校評価をどのように行い、その結果を活用する経営能力をどのように育成するのかを、イギリスの取り組みから考察する。
★第三者機関による学校監査制度から自己評価を重視した学校監査制度へ移行した流れと、その特徴をまとめた。そのうえで、学校評価を学校改善に結びつけるためには、各学校の自己改善能力と自己評価能力の育成が重要であると指摘し、日本の課題として、改善活動を行う学校への支援体制や、自己評価機能を充実させる組織づくりの必要性を指摘した。その参考事例として、イギリスの「学校間の新しい関係づくり」の取り組みを紹介する。
フランスにおける学校評価 自己評価促進のための行政支援
★フランスでは、1990年代以降、学校の自律性確立のために学校自己評価が制度化され、「学校教育計画」の中でマネジメントサイクルを利用して、各学校が自己評価を行うこととなった。しかし、十分に機能しなかったため、国は1994年に全国統一評価指標(IPES)を開発したが、これもあまり活用されなかった。
★2002年度からは第二段の行政支援として、大学区当局が校長に「学校診断」の作成を義務づけ、それをもとに大学区当局と共同で「任務書」を作成し、これに従って学校が教育活動を行い、その結果について評価を受けるという仕組みが導入された。フランスの外部評価は、自己評価の促進を目的とし、外部統制的な機能を有していない点に特徴がある。
学校評価についての懸念
★近年、「学校評価」という概念が定着し、学校設置基準にもこれに関する規定が設けられた。また「義務教育諸学校における学校評価ガイドライン」(文部科学省、平成18年3月)が提示されるなど、学校評価の着実な実施に向かって事態が進行しつつあるように見受けられる。
★しかしこの評価が一定の成果を得るためには、1.これにかかわる人々の見識と技能を高めるための研修が不可欠である。2.評価結果をもとに学校改善へのプログラムが作成され、これが実施に移される条件づくりが必要である。3.学校評価を高めるための努力や研鑽を奨励し、逆に、改善への努力がみられない学校に対しては、一定の制裁を加えるなどの措置が必要である。
連載
坪田耕三先生の基礎・基本を学ぶ小学校算数の授業づくり 「わかる」と「できる」-基礎・基本の考え方(2) | 青山学院大学教授 坪田 耕三 |
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教育評価の基礎・基本(5) 教育評価の手順(3)評価資料の解釈 | 文教大学学園長・応用教育研究所所長 石田 恒好 |
授業をつくる(11)小学校体育科 かかわりながら、伸びる授業をつくる | 筑波大学附属小学校教諭 平川 譲 |
ペーパーテストで思考力・表現力を測る(3) 中学校英語(1)基本的な考え方 | 新潟大学教授 松沢 伸二 |
新しい評価の枠組み(9) 今後すべきことは何か-スタンダード準拠評価の理解から | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
標準検査を活用した教育実践(8) 標準学力検査結果を日々の学習指導に生かす | 前長野市教育センター所長 宮下 袈裟登 |
だんわしつ | 北海道教育大学教授 今泉 博 |
ひとりごと | 元公立中学校教諭 吉冨 久人 |