月刊誌 指導と評価

2024年 7月号
  1. 2024年 7月号 vol.70-7 No.836  定価:450円
特集
➊観点別学習状況の評価⑴「主体的に学習に取り組む態度」の評価/➋教師の魅力・再発見
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特集

❶観点別学習状況の評価(1)「主体的に学習に取り組む態度」の評価/「主体的に学習に取り組む態度」の評価

教育評価総合研究所代表理事  鈴木秀幸

★「主体的に学習に取り組む態度」の評価については、連動性を基本としつつ、補完する方法を考えるべき時がきている。生徒が目標の設定ができているか、学習活動のモニターの結果として改善すべき点を把握しているかなどを評価することが考えられる。心理テストの結果を参考にすることも考えられる。

❶観点別学習状況の評価(1)「主体的に学習に取り組む態度」の評価/自己調整力の育て方とその評価(形成的評価と総括的評価)

香川大学准教授  岡田 涼

★主体的な学びの姿としての自己調整学習が重視されている。自己調整力を育てるためには、自己調整学習を支える要素にはたらきかけることと、自己調整が求められる課題解決の場面を設定することが必要である。また、評価においては、児童生徒が学習のサイクルをまわせているかどうかを見取り、必要に応じて指導や支援を行う形成的評価が重要になる。

❶観点別学習状況の評価(1)「主体的に学習に取り組む態度」の評価/「主体的に学習に取り組む態度」の評価に活用できる「学びのエンゲージメントテストET」

応用教育研究所理事長・筑波大学名誉教授  櫻井 茂男

★「主体的に学習に取り組む態度」を評価するには、子どもの学習活動を観察したデータなどが資料になるが、子ども自身による自己評定も貴重である。子どもの自己評定は、子ども自身が自分の学習態度を点検し改善することにも役立つ。本稿ではこのような観点から新たに開発された、子ども用の自己評定尺度「学びのエンゲージメントテストET」について紹介する。

➋教師の魅力・再発見/教職の魅力を問う観点の拡張からみえること

鹿児島大学准教授  髙谷哲也

★現在、教職の魅力の向上が喫緊の課題となっているが、魅力自体が下がっているわけではなく、その実感を妨げている要因こそが議論の対象となる必要がある。教師によって表現される魅力に加え、担っている社会的な役割や発揮している専門性の特徴から見いだされる教職が本質的に有している魅力からは、教師自身がそれらを実感できるための制度的・文化的な環境の充実が重要な課題であることがみえてくる。

➋教師の魅力・再発見/教師と子どもが望む「理想の教師像」

元公立小学校教諭・上級教育カウンセラー  柳瀬啓史

★学級を創る主体は子どもですが、牽引する教師の努力と工夫も大きな要因となります。これらが子どもや保護者に「教師の魅力」として映るのであれば、それらを具体化することで魅力ある教師に近づくことができるでしょう。着目点は、「個」と「集団」を共に正しく、楽しく、自律的に育成することに集約できると考えます。

➋教師の魅力・再発見/教師自身が学ぶことで、生徒が輝き、自分の喜びになる

東京都公立中学校教諭  笠さわ子

★心理学を学ぶことは驚きの連続だった。これを知らずに教師をしてきたことで、生徒をどれだけ傷つけてしまっていたのかと顧みて、もっと知りたいと思いつづけるうちに、あっという間に現在にいたった。
★通常学級の教員だったが、私の経験を生かすには教科教育よりも個別の支援と考え、特別支援学級への異動を希望した。現在は、「これこそ教育の原点だ」と思えるような感動を味わっている。これまでの私の道のりを語ることで、教師の魅力を再発見したい。

➋教師の魅力・再発見/教員は子どもたちを育て、子どもたちから成長させてもらっている存在

NPO独立総合教育政策研究所所長・公立中学校教員  安部慎也

★子どもたちの何気ない変化が喜びとして味わえる、ほかに類を見ない職業である教員。その魅力は、自分のもち味を発揮できること。5人の教員がいたら、5人違ってみんなよい-だからこそ、子どもたち一人一人の多様性が生きてくる。
★教員の最大の武器は、「笑顔」であり、人間味あふれる喜怒哀楽の共有。何より子どもたちを信じて任せることで、自己決定の機会を増やし、達成感を共に感じることで、実は子どもたちに成長の種を日々もらっていることに気づくのである。

➋教師の魅力・再発見/子どもたちと共に成長できる教師であるために

東京都公立中学校主任教諭  加藤 みゆき

★私にとって教師の魅力とは、生徒の成長に幸せを感じられることです。生徒の成長を促すためには、教師の成長が欠かせません。私自身が教師として成長するために大事にしていることは、自己理解を深めることと、感受性を磨くことです。時間がかかることではありますが、だからこそやりがいを感じています。

➋教師の魅力・再発見/教師になったからこそ、私の人生は豊かになった

東京都立松が谷高等学校長  茅野眞起子

★教師になって34年、悩みが尽きることはありませんが、教師として人生を生きていることに心から満足しています。生徒や保護者によい影響を与えることができるのは教師の魅力の1つではありますが、実際には、私自身が人として成長させられてきました。様々なタイプの生徒や保護者と出会い、彼らの人生の一部にふれさせてもらうことで、私自身の教育観や人生観は豊かになってきました。これからも教師として、人として成長していきたいと思います。

➋教師の魅力・再発見/教師が魅力的であるために、さらなる働き方改革の促進を!

「指導と評価」編集部  「指導と評価」編集部

連載

巻頭言/すでに始まっている、大学入試における「主体的に学習に取り組む態度」の評価 東北大学教授
宮本友弘
目標準拠評価を教育に生かす(25)社会科の評価(7)目標準拠評価に必要な通年の評価基準と詳しい評価事例集 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
算数科で育てる「思考・判断・表現」する力(15)「変わるもの」と「変わらないもの」を捉える-紙テープを折って切ると(4年「変わり方」) 明星小学校副校長・前筑波大学附属小学校副校長
夏坂 哲志
読解力の育成(小学校実践編)(12)文学的文章の系統指導① 昭和学院小学校長・前筑波大学附属小学校教諭
青木 伸生
生徒との対話を通して個別最適な学びをめざす 書く力を中核とした授業改善⑶「事実(知識)」を書く力を鍛え上げる①「知識」の「概念化」 神奈川県川崎市立宮崎中学校教諭
町田 憲二
言語技術としての「事実と意見の区別」⑷高校「国語」で学ぶ<「事実」と「意見」の区別> 筑波大学教授
島田康行
述べる・説明する・論じる 認知的な動詞の意味⑵「発見する・特定する」「選択する」「述べる・描写する」「理解する」 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
新しい教育評価の動向/主要論文の紹介(66)マルツァーノら『教育目標の新しいタキソノミー』(2007) 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
心を育てるエクササイズ(4)「ジャガイモさんとお友達」-自己の分身との対話で気づきを得る- 公立中学校講師
齊藤 優
「ほめる」を考える(4)不適切な養育を行う親をねぎらう 子育てカウンセリング・リソースポート
半田光代
プロアクティブな支援(4)高等学校におけるキャリア教育の視点でのプロアクティブな支援 元川口市立県陽高等学校教諭
小境幸子
新/教育統計・測定入門⑿コンピュータ適応型テスト 法政大学教授
服部 環
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