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特集
平成13年度小中学校教育課程実施状況調査について
★国立教育政策研究所教育課程研究センターは、平成13年度小中学校教育課程実施状況調査について、昨年12月の結果概要に引き続き、本年5月、教科別の分析報告書を公表した。
★本調査は、学習指導要領(平成元年告示分)に示された各教科の目標や内容に照らした学習の実現状況を学年全体の集団のものとして把握・分析し、今後の学校における指導の改善に資することをその趣旨としている。
★結果概要では以下の点が示された。
1.あらかじめ、結果を評価するための規準として定めた設定通過率との比較結果から、調査を実施した延べ23教科のうち、20教科については、学習の実現状況は全体としてほぼおおむね良好といえる。
2.社会や算数・数学の小学校第5学年から中学校第2学年までなど10教科では、前回を有意に下回ると考えられる問題数が過半数を占めるといった状況がみられる。
★教科別分析では、内容や領域、評価の観点毎に共通的に見出せる特徴を踏まえながら、例えば、小学校国語においては、相手や目的などに応じて自分の考え方を明確にして文章を構成する力を育成することが必要というように、指導上の改善点を指摘している。これらを参考にした学校での取り組みが求められる。
学力調査を読む -学力生態学の提案-
★透明性の高い調査結果の公表など、今回の教育課程実施状況調査には評価すべき点が多い。
★しかし、ここまでの文部科学省による分析は、学校現場を中心としたミクロな改善に資する目的に偏り、学習指導要領自体の見直しや、教育課程行政のあり方を問い直すマクロな観点を欠く。構造的問題や行政的責任を棚上げにしたまま、現場の奮闘努力を要求することになりかねない。
★文部科学省調査は、その調査設計に由来する限界を持つ。必要なのは、「学力の生態学」である。第一に子どもたちの学力形成を規定する諸要因を仮説的に構築して、それらの要因に関する情報を蒐集すること。第二に、地域や家庭的背景による「社会的格差」の視点をもつことが不可欠である。
各教科毎の分析と考察 小学校国語
各教科毎の分析と考察 中学校国語
各教科毎の分析と考察 小学校算数
各教科毎の分析と考察 中学校数学
各教科毎の分析と考察 中学校理科
意識調査についての分析と考察
★小中学生の8割以上は「勉強は大切だ」と思い、6割から7割は「勉強すればよい成績がとれる」と思っている。
★教科ごとに勉強が好きかどうかをたずねると、小中学生の4割以上は好きだと肯定的な回答をする。
★授業の理解度は教科ごとに異なるが、小学生の6割以上、中学生の5割程度はほぼ理解していると回答する。
★学力との関係では、勉強が好きで(学習意欲があって)、インターネットで情報を集めるような中学生は、学力が高い傾向が見られた。担任教師が積極的に授業行動を行っているクラスの中学生も、学力が高い傾向が見られた。
文部科学省学力調査の活かし方
★「平成13年度小中学校教育課程実施状況調査」の結果について、学力調査(ペーパーテスト)を中心にまとめた。
★専門家が事前に設定した通過率と実際の通過率とを比較して、報告書は一部の教科を除いて「おおむね良好」としているが、平均通過率が平均設定通過率を超えたのは23教科のうち10教科である。
★前回の調査結果と比較して、通過率が上昇した問題も多いが、低下した問題も多い。特に算数と数学の低下が目立つ。
★素データが公開されたとして、その利用法の一つを提案した。また、学力経年的変化を調べた研究があることを紹介した。
連載
教育評価再入門(14) 「目標に準拠した評価」の世界を拓く-基礎概念の吟味を通して | 京都大学教授 田中 耕治 |
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私が行っている継続可能な目標準拠評価(4) 小学校国語 | 東京都立川市立柏小学校教諭 國分 実枝子 |
私が行っている継続可能な目標準拠評価(4) 中学校国語 | 新潟市立白新中学校教諭 伊藤 守 |
どうする?小学校英語(4) 「英語活動も評価の観点から」 | 国立教育政策研究所名誉所員・2014年度戸田市英語教育運営指導委員会委員長 渡邉 寛治 |
小学校算数の基礎・基本の指導と評価(2) 基本を考える-「計算について考えること」を例に | 元筑波大学附属小学校教諭 正木 孝昌 |
中学校の総合的な学習と選択教科の実践(2) 学校行事を柱に生きる力の育成を目指す総合的な学習 | 兵庫県猪名川町立六瀬中学校 |
標準学力検査を活用した教育実践(13) CRTをよりいっそう有効活用するために | 前愛知県知立市立来迎寺小学校教務主任 島原 洋 |
だんわしつ | ストリートパフォーマー ジロー今村 |
ひとりごと | 元公立中学校教諭 吉冨 久人 |