月刊誌 指導と評価

2002年 7月号
  1. 2002年 7月号 Vol.48-7 No.570  定価:450円
特集
<参考資料>を踏まえた観点別評価の実際と評定(1)国語・音楽
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特集

<参考資料>をどう受け止め、どう生かすか

東京学芸大学教授  児島 邦宏

★<参考資料>は、教育課程審議会答申(平成12年12月)の課題に応え、当面する学校の評価の悩みにも応える”干天の慈雨”ともとらえられる役割を果たすものである。

★特に、指導と評価とを一体的にとらえた「評価計画」の例は、今後、各学校において評価計画等を作成する上での大きな拠り所となろう。

★ただし、評価の客観性や信頼性をめぐっては、一つのあり方が明示されたが、なお残された課題は多いし大きい。各学校・地域等での詰めの仕事が残っている。

★教師の専門的判断力と子どもの学習の記録の収集のあり方が、その対極にあり、重要な鍵をにぎっている。

国語:<参考資料>を生かした国語科の授業改革

文部科学省教育課程課教科調査官・国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官  井上 一郎

★新しい評価観は、実際の単元構想による授業改革によって達成される。評価規準を設定することが、単なる「手順」としてだけ意識されるのではなく、学習指導全体にわたって改革が求められなければならない。

★国語科の評価は、5観点となっているが、国語能力の構造に照らしてみれば、具体化すべき事項は多い。子どもの実態や年間指導計画を踏まえ、前単元や前時までの指導と評価などを生かした着実な指導が望まれる。したがって、単元構想時にどのようなことに留意すればよいか、本稿からそのポイントを学び、実践方法の模索に進んでもらいたいと思う。

国語:<参考資料>をどう生かすか(小学校)

昭和学院小学校長・前筑波大学附属小学校教諭  青木 伸生

★「生きる力」を育むための評価であるということを再認識すべきである。

★言語活動の中で、具体的な子どもの姿として、自分の教室の子どもをとらえるべきである。

★分析的な評価規準にとらわれると、大局が見えなくなる心配がある。子どもらしさを大きな視野でとらえる評価があってもよい。

★知識・技能・能力の評価だけでなく、言語感覚や感性、学び方の特性や学びのスタイルなども評価すべきである。

★学びの仲間から学び取る力も、評価していく必要がある。

国語:<参考資料>をどう生かすか(中学校)

東京芸術大学附属音楽高等学校教諭  小尾 真

★国語科の目標は「生涯読書人」であると考える。したがって、この目標に合致した教育活動を考えるべきであろう。

★口語文法の指導については、あいまいさを避け、教えることと教えないこととを明確に区別するべきである。

★今回の音声言語に関する諸活動は、いずれも評価できるものである。日常生活及び読書活動とどう結びつけるかが課題である。

★読書の向上のためには、図書館活動との連携も大切である。読み聞かせや、読書会・輪読会なども視野に入れ、教室で行う活動の可能性を今後とも研究していく必要がある。

国語:<参考資料>をどう受け止め、どう生かすか

北海道教育大学釧路校教授  田中 美也子

★参考資料の受け止め方と活用の仕方、そして疑問点や批判を述べる。

「第1編 総説」の解説を参照しながらこの参考資料の性格を確認した。

また、「内容のまとまりごとの評価規準及びその具体例」を参照しながら「書くこと」の項目を取り上げて考察した。

同じく、「書くこと」の項目で、実際に評価していく上での問題点をあげた。

そして、参考資料を活用して、学校で評価規準を作っていく手順について述べ、最後にこの資料では不十分な点を述べている。

音楽:<参考資料>の読みとり方、生かし方

文部科学省教育課程課教科調査官・国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官  金本 正武

★これからの音楽科教育では、子どもたちの学習状況を的確に把握し、客観性、信頼性のある指導と評価を進めることが重要であり、そのためにも「評価規準の作成、評価方法の工夫改善のための参考資料」の活用を工夫し、「目標に準拠した評価」の考え方に立つ評価の工夫改善が強く求められる。

★題材の指導計画に際し、内容のまとまりごとの評価規準及びその具体例を参考にして、題材の評価規準及び学習活動における具体の評価規準を作成する必要がある。

★題材の評価規準及びその具体の評価規準は、「おおむね満足できる状況」を示したもので、子どもの学習状況やその結果をA基準、B基準、C基準という物差しで判断しようとする評価方法とは根本的に異なるものである。

音楽:評価規準作成の手順と<参考資料>の活用(小学校)

千葉県君津市立周西小学校長  佐藤 喜明

★子どもたちの学習状況を的確に把握し、信頼性・客観性のある指導と評価を進めるためには、新しい指導要録で示された「目標に準拠した評価」(これからの評価の基本的な考え方)の考え方を全職員で再認識する作業をすることが出発点である。

★音楽科においては、音楽活動に必要となる資質や能力の習得状況が見えにくい場合が多い。子どもの嬉々とした学習活動を引き出すためには、進歩の状況の把握が大切である。その拠り所としての評価規準でありたい。

★評価はその結果のみに対して行うものではない。意欲を引き出し、主体的な学習が展開できるよう、常に授業の改善を心がけたい。

音楽:<参考資料>をどう生かすか(中学校)

筑波大学附属中学校教諭  若林 浩

★<参考資料>は、これまで現場で行われている評価の工夫をていねいによくまとめているが、ここまで細かく評価する必要があるか、またできるのか疑問もある。できるところから始めればいいのだろうか。

★本校では、単元終了時と個人発表やグループ発表時に、簡単な「個人評価カード」を書かせ提出させている。目標とその達成度などを記入する。

★<参考資料>をもとに観点別評価を行うとどうなるか、現在授業中の学年で考えてみた。

連載

教育評価再入門(4)   「評価の結果の解釈ー目標準拠評価を中心に」 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
総合的な学習を支援するメデイア活用(4)   「伝えることを通してメデイア活用能力を育む 大東文化大学講師
苅宿 俊文
目標準拠評価の評価規準の体系化の方策(4)   「学習内容に沿った評価規準の例-国語-」 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
アメリカの通信教育(3)   チャータースクールについて考える 教育臨床研究機構理事長
中野 良顯
総合的な学習の実践と評価(11)   めざす子どもの姿を明確にして 愛知教育大学附属中学校教諭
夏目 貴司
だんわしつ 東京学芸大学教授
平野 朝久
ひとりごと 元公立中学校教諭
吉冨 久人
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