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特集
通常学級における特別支援教育―応用行動分析学による対応
★通常学級に在籍する発達障害児は約六・五%である。
★通常学級に在籍するということは、子どもたちがお客さんではなく、ともに学ぶ仲間として級友とともに日々有意義な活動に従事し、学級生活を通して成長していくことを意味する。
★特別支援教育の有効な応用行動分析学の技法として、集団随伴性の適用事例を示す。
★応用行動分析学の鍵は、随伴性という概念である。2項・3項・4項随伴性について説明する。
★随伴性によって問題行動の機能を理解し介入を設計する手続きとしての行動機能査定の概要を示す。
★通常学級で使える応用行動分析学の一七の代表的技能を解説する。
★応用行動分析学の定義的特徴を示す。
発達障害を理解する
★最近示された法律上の発達障害は自閉症スペクトラム障害(ASD)、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)を指す。
★ASDは社会性、コミュニケーション、興味・行動の限定(こだわり)が主症状になる障害である。LDは認知の偏りから読み書きなどの基礎的な学習につまずきを持つ状態である。ADHDは不注意、衝動性、多動性が主症状である。
★発達障害への指導・支援はオーダーメイドが望まれる。
教室でできる特別支援教育
★通常学級における特別支援教育に関し、いま私の「引き出し」に入っている実践・研究の知見を整理して伝えたい。テーマ「教室でできる特別支援教育」は、言葉を換えるならば「特別な能力・技術に長けた教師が、特別な場において実践できることではなく、だれもが配慮・工夫により実践できること」となる。
★通常学級におけるよりよい実践が生まれるための「土壌づくりに向けた管理職の“腕の見せどころ”」「学級づくり・授業づくりの基本的な考え方」について伝えるとともに、私が出会った「お薦め実践」について紹介する。
Q-Uによる特別支援教育を充実させる学級経営
★通常学級において特別支援教育を充実させるポイントは、困難を抱える子どもへの個別のアプローチだけでなく、あわせて、個が所属する集団へのアプローチにより、学級集団にルールとリレーションを確立することである。
★子どもたちの内面や学級の状態を把握する方法として、日常の観察や面接に加えて、アンケートなどの調査法を取り入れることは有効である。
★「Q-U」の回答状況をたよりに個別面接を行うことで対応の方針を見いだすことができる。
★教師の対応が周りの子どもたちを育てることを意識して対応していく必要がある。
教育委員会のサポート体制
★若手教員の資質向上を図る「指導教授制」で、特別支援教育に関わる教員へ個別に支援を行う。特別支援教育の「教育支援チーム」が各校の校内支援体制づくりに助言を行う。就学支援ノート「すばる」を作成し小学校入学前からの支援情報を引き継ぎ、個別の教育支援計画作成に生かす。家庭、地域を含めた環境改善にソ-シャルスクールワーカーが活動する。
特別支援教育コーディネーターの核となるスキルとは
★特別な支援体制整備のキーパーソンとなる担当者が「特別支援教育コーディネーター」である。すべての学校で校長により指名されて、その活動を展開している。
★「指導担当」と「運営担当」の複数配置で取り組んでいる小学校を手がかりに、その役割・業務を整理した。
★コーディネーターに求められるスキルや力について誤解があり、スーパーマンを期待してはいけない。①コミュニケーションスキル、②時間管理スキル、③課題解決スキルが核となるスキルである。
特別支援教育におけるICT機器の活用
★公益財団法人パナソニック教育財団の実践研究助成を受けて、研究課題を「特別支援教育におけるICT機器の活用」、副題を「通級指導教室と特別支援学級におけるタブレット型端末の効果的な活用」(二三年度)、「個別指導におけるタブレット型端末の効果的な活用」(二四年度)として、タブレット型端末(iPad等)の効果的な活用について実践してきた。
★最初に、特別支援教育の推進とICT機器の活用について、次に、特別支援学級・通級指導教室と通常学級での実践について、最後に、実践を通して明らかになった五点について述べる。
連載
新学習指導要領で教科調査官が求める授業(10)中学校数学 | 文部科学省教科調査官 水谷尚人 文部科学省視学官 杉田 洋 |
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学級づくりと特別活動(2)係活動の活性化で学級生活を楽しくする | 文部科学省視学官 杉田 洋 |
学校の法律問題(3)通学路の安全確保 | 日本女子大学教授 坂田 仰 |
わたしたちの学校づくり(2)多くの学校外の人とかかわる人間づくり-ボランティア活動で異年齢の他者とのかかわり | 早稲田大学非常勤講師・スクールカウンセラー 明里 康弘 |
評価を指導に生かす(2)子どもの表れを見取ることで、授業をつくる | 静岡県浜松市立曳馬小学校教諭 杉山友里 |
小中学校国語の授業づくり(3)小学校「読むこと」一年生-読む学習に書くことを-「夕日のしずく」 | お茶の水女子大学附属小学校教諭 阿部藤子 |
小中学校外国語教育のあり方(3)小学校「外国語活動」の必修化を受けて中学校の英語の授業をどうあるべきか | 国立教育政策研究所名誉所員・2014年度戸田市英語教育運営指導委員会委員長 渡邉 寛治 |
どうする?小学校音楽の授業(2)学習指導要領の趣旨を生かした学習指導のポイント-思考力、判断力、表現力の育成 | 文部科学省教科調査官 津田正之 |
教材で子どもが輝く小学校社会科の授業(3)6年歴史、教科書から「ハイテク技術」が見えるか? | 東北福祉大学特任教授 有田 和正 |
小学校算数の発展・応用を学ぶ授業をつくる(10)3年 | 青山学院大学教授 坪田 耕三 |
小学校理科の授業づくり(15)6年B(2)「植物の養分と水の通り道」 | 文部科学省教科調査官 村山哲哉 |
教育測定・統計入門(15)相関係数に関する検定(その3) | 法政大学教授 服部 環 |
だんわしつ/「言語活動ポートフォリオ」が始まった | 二葉看護学院ほか非常勤講師 小田 勝己 |
ひとりごと/にじんでくる | 元公立中学校教諭 吉冨 久人 |