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特集
新指導要録の改訂とこれからの通信簿
★評価の基準である指導要録が平成14年度から改められるのに伴い、通信簿の改訂が各地で始まっている。
★改訂作業は通信簿の役割を確認することから始めたい。基本的な役割は、学校と家庭との連絡であるが、それをさらに分析した役割も果たせるように改訂したい。「作り方で教育の考え方を示す」「児童生徒の教育に協力を求める」「児童生徒の自己評価の機会にする」「児童生徒を深く理解する機会とする」「家庭からの連絡の機会とする」などがポイントである。
★改訂作業では、受け手の意向も反映させたい。児童生徒だけでなく、保護者も、評価者・記入者として参加させたい。
日常の評価活動と通信簿の内容
★今通信簿の改善に求められているのは、これまでの評価観を変えることである。何をどう変えるのか。その根本を考えてみると、学習のねらいからくだいた具体的な目標への達成度が学習者自身によくわかり、その後の学習に生かされるデータが手に入るというために評価がなされるわけであろう。つまりは、各生徒が自分で自分の学習を的確に評価できる自己評価能力を育てる上で有効な、学校としての評価を行わなければならない。
★教育目標への達成度をものさしとしつつ、各生徒の個性の伸長を見る観点項目の設定を基準作りを、各学校ごとに実態を分析しながら進めていくことが緊急の課題となっている。
わが校の新しい通信簿の試案
★指導要録と通信簿の性格を押さえる。
★学習指導要領の示す内容をしっかり押さえ、学校の取り組みを明確にする。
★学年、学級で差がないよう、評価規準を明らかにする。
★各項目の目的をとらえ、子どもの指導に生かす評価を日常的に積み上げ、子ども、保護者に理解してもらう。
自己評価を取り入れた通信簿「くもい」
★わが校の通信簿「くもい」は、児童の主体的なかかわりにより学校生活を送れることをめざし、自らの目標設定と、教師、保護者による励ましのことばを記入して作り上げるものである。
★「わたしの目標」(めあて)、「学校のようす」「特別活動のようす」には、児童が自己評価できるようにしてある。
★「学習のようす」は、教科別、学期毎に単元名や観点のめあてを明示し、観点別に評価する。
岡崎市における新しい通信簿作成の手順
★全市が共通の通知票を使用している場合、その改訂に際しては、各学校のコンセンサスをどのように得ていくのか、作業手順はどのように踏んでいくのかなど、適切かつ円滑に行うための工夫をとりわけ要する。
★今回は新指導要領への対応を図るべく、各教科の観点項目を中心とした見直しを行う、ほぼ十年ぶりの改訂であった。基本方針の決定と作業班を組織するところからスタートし、現場の声を様々な形で吸い上げながら審議を重ね、半年余をかけ改定案を作成した。手探りでの作業であったが、現場の要請に応える改訂に至ることができたと考えている。
相模原市における通信簿改訂の取り組みと試案
★相模原市の小学校では、これまで市内共通の通信簿を使用してきた。平成10年度より、校長会を中心に通信簿の全面改訂作業を進めている。
★教員はもちろん、保護者からも意見を聞きながら改訂することを基本的な姿勢として改訂の方向13項目をまとめ、それにそう形で作業を進めてきた。
★今年3月に、本市通信簿第一次基準案をまとめた。この案をもとに広く意見を聞き、7月には、本市通信簿基準案として各学校に提示したい。
保護者からみた通信簿
★保護者の立場からすると、通信簿はとくに中学校の場合は、成績もできるだけ具体的で細かく普遍的などこでも通用するようなものが望ましい。また日頃の生活態度や、学習をするための集中力や熱意、さらに非行化の予兆などもっと詳しく伝えていただき、情報伝達の要にしてほしい。
★「特色ある教育」「総合的な学習」という教育活動の実践にふさわしい、子どもの姿がうかがえるような細やかな通信簿で、また保護者の意見などもとりいれて作られ、さらに良い、意見が保護者からでれば、またそれが授業に反映されるような通信簿、というより学校の教育の形が形成されればと思う。
連載
生きる力を育てる評価(8) 「生きる力の評価-認知面-」 | 筑波大学教授 海保 博之 |
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教科の基礎・基本(11) <中学校社会科>(1) | 信州大学教授 渋澤 文隆 |
パフォーマンス評価の実践的研究(3) 「理科」 | 信州大学教授 渋澤 文隆 |
新しい教育評価の動向 主要論文の概説(2)「L・レズニック&D・レズニック」 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
総合的な学習の実践と評価(2) 「総合的な学習における評価」 | 兵庫県西宮市立夙川小学校教諭 牧野 天志 |
だんわしつ | 筑波大学附属中学校教諭 蒔田 守 |
ひとりごと | 元公立中学校教諭 吉冨 久人 |