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特集
❶オンライン教育の現状と可能性/双方向オンライン教育をどう行うか
★学習が成立するためには学習者・教師・教材の間に何らかの双方向のやりとり(インタラクション)が求められる。一斉・個別・協働の学習形態に対して同期型(リアルタイム)の双方向性と非同期型(オンデマンド)による双方向性をもたらす方法とそれらの組合せはさまざまに考えられる。オンラインによって場所や時間を共有せずにこれらの双方向性を充実させる方略を整理し、授業設計の要点を検討する。
❶オンライン教育の現状と可能性/本校のICT環境整備とICTを活用した教育活動
★広尾学園は東京の私立中高一貫校である。生徒数減少の危機的状況から復活を遂げ、現在では受験者数が都内トップクラスとなっている。この復活劇の中でICT環境整備とICT活用が果たした教育的な役割は大きい。広尾学園でのICTに関する経験を紹介しながら、これからの日本の学校教育にとってICTがどういった意味をもっているのか、日本の学校関係者にはどういう考え方が必要なのかを述べたい。
❶オンライン教育の現状と可能性/ハイブリッドな学びを加速させるオンライン研修
★COVID-19への対応のため、学校では休校措置がとられたほか、外部から講師を招聘して取り組む教員研修もあいついで中止となった。GIGAスクール構想も前倒しとなったが、その実現のためには、遠隔オンラインによる教員研修の可能性を模索する必要がある。本稿ではGIGAスクール構想に対応するためのオンライン教員研修を二例取り上げ、その可能性を探る。
❶オンライン教育の現状と可能性/オンライン教育における小学校国語学習者用デジタル教科書の活用の可能性
★オンライン教育において、学習者用デジタル教科書は次のような可能性と課題をもつ。
・デジタル教科書は、学習者を主体的に教材とかかわらせ、論理的思考の育成に効果を発揮する。しかし、教科書画面をそのまま交流させるだけでは十分でない。
・何をどのようにオンライン上で交流させるか、指導者の構想と吟味が問われる。
・デジタル教科書と認められていないデジタル教材との併用が大きな効果をもたらす。
❶オンライン教育の現状と可能性/小中学校段階のコンピュータ使用型調査eTIMSS:利点と課題
★小中学校段階のコンピュータ使用型調査の一事例として、IEAが開発、実施するeTIMSS(イーティムズ)を紹介する。コンピュータを使用した学習評価の利点として、採点やデータベース構築の効率化、解答者の思考や解答過程の可視化、解答者の思考に沿った評価の実現が挙げられる。一方で、コンピュータに対する解答者の慣れの度合いが解答へ影響することが懸念され、また、準備や実施段階のサポートの必要性が指摘できる。
❶オンライン教育の現状と可能性/オンライン教育と学習評価
★児童生徒が日常的にICTを利活用して主体的に学びに取り組む過程では、さまざまな学びの記録がeポートフォリオとして蓄積される。このeポートフォリオを活用することで、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に実現できるとともに、児童生徒の学習状況をeポートフォリオからリアルに見取れるようになるため、新学習指導要領がめざすエビデンスに基づいた多面的・多角的な学習評価が可能になる。
❷ストレスマネジメント/教師のストレスマネジメント-コロナ禍の影響を踏まえて-
★2019年度にメンタルヘルスが悪化している教師は、過去最多でした。そこに2020年初頭から新型コロナウイルスの問題が発生しました。子どもたちの学びを止めないためには、それを支える教師のメンタルヘルスの維持が不可欠です。
★コロナ禍の問題は、教師が個々に対応していく限界を越えており、積極的に教員たちが組織対応でPDCAサイクルを展開して実践していくことが必要です(河村、2017)。
❷ストレスマネジメント/心身医学的立場からみたストレスマネジメント
★心身医学的立場からストレッサーおよびコーピングについて解説し、コロナ禍の状況を踏まえて、ストレスと上手に付き合うにはどうしたらいいかについて考えます。コロナ禍の状況では、不安・抑うつ・孤立などが大きな問題となります。
★子どもたちの成長・発達を考えるとストレスと向き合い、乗り越える中で経験体験を積むのは困難を極めます。今回は、上手にストレスと向き合い、対応するための方法を提案します。
❷ストレスマネジメント/ストレスマネジメントを学校教育にどう位置づけるか
★ストレスとは何かを述べたうえで、とくに昨今のコロナ禍における心身の不都合について概説する。また一般的なストレス解消法である、現実逃避、行動療法的発想、認知転換、自己調整を紹介する。
★学校でよく活用されるリラクセーション法を概説し、今後の展開としてストレスマネジメントを学校に導入し位置づける方法として、①朝学習の時間の活用、②総合的な学習の時間などの授業の活用、③ピア・サポート体制の構築を提案する。
❷ストレスマネジメント/ストレスマネジメントの威力
★私は、コミュニケーション研修や、ワークショップの模擬授業でストレスマネジメントを必ず取り上げます。それは、気づきベースで展開できるからです。教員現場では、ストレスマネジメントはあまり一般的ではありません。結果、教員どうし、教員と子ども、子どもどうしの関係性が攻撃的であったり、受け身的であったりします。しかし、プログラムとしてストレスマネジメントを取り上げれば、建設的で前向きな関係を築くことができるのです。
❷ストレスマネジメント/コロナ禍のストレスに対処する方法
★新型コロナウイルスの影響で、教育現場ではさまざまな教育活動の中止や変更を余儀なくされ、教師も子どもたちもストレスを感じている。見えないウイルスに対しての不安だけでなく、そこから派生するさまざまな問題に対してのストレスにもさらされている。コロナ禍のストレスにはどのようなものがあるのかを明らかにし、それらのストレスに対応する手法を具体的にして、講演会や大学の授業などで子どもたちに実践してきた手法を紹介する。
❷ストレスマネジメント/そのときストップ・あとでスッキリ-イライラ対処法を学ぶ暴力防止授業-
★暴力によるケガの防止を目的に、ストレスマネジメント教育を全校で実施した。中高学年は、授業でねらう対処法を、暴力をしそうになった「そのとき」と、イライラを解消する「あとで」に分けて考え、ワークシートを作成した。低学年は、紙芝居を使用した。
★実践の効果を、対人ケガによる病院搬送数の推移で調べた。実践一年目から、搬送数が減少した。全学級の担任による授業の成果と思われる。
今月号のイチオシ!!実効ある目標準拠評価(1)わが国の目標準拠評価の課題-妥当性・信頼性を高める工夫を
★目標準拠評価は本来、評定と目標達成度が対応しているものである。同じ評定は同程度の学力を意味するはずである。しかし、わが国の目標準拠評価の現状はそうではない。学校間格差(場合によっては教師間格差も)あることは暗黙の事実である。これは、何をAやB、5や4とするかが学校・教師に任されているからである。専門用語でいえば、妥当性・信頼性を高める必要がある。目標準拠評価を行っている外国ではこの点に腐心しているのである。
★第1の問題は、「思考・判断・表現」の観点で、目標の文末を「~している」と変えて評価規準を作ることでよいとしていることである。評価規準が簡単になりすぎると、評定の拠り所が曖昧になるため、妥当性・信頼性は下がってしまう。
★第2の問題は、Aの評価基準がほとんど示されていないことである。これでは、以下のような問題が生じてしまう。①Bの子どもをAに導く指導の目標がわからない。②Aと判断した理由を生徒や保護者に説明することが困難。③Aと判断した理由は教師により異なる。
★第3の問題は、自己調整学習(メタ認知)を追加した「主体的に学習に取り組む態度」の観点について、観点の趣旨では明快な説明がないことと、従来の情意面の評価同様、具体的方法がよくわからないことである。
★第1・第2の問題の改善には、スタンダード準拠評価の考えに拠って、評価基準を言語表現で示し、たくさんの作品(事例)で示す(事例集)ことが必要不可欠である。
巻頭言/オンライン教育と子どもの「相性」について、思うこと/考えること
連載
事実を伝え、意見を述べる、自ら進んで取り組む「書くこと」の指導(2)実践練習の場と、プロセスを学ぶ場と。 | 軽井沢風越学園 澤田英輔 |
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読解力の育成(2)国語科における読解力のゆくえ-読解力、メディア・リテラシー、PISA型読解力 | 明治学院大学教授 中村敦雄 |
教育統計・測定入門(93)2群間の生存率の比較 | 法政大学教授 服部 環 |
いまどきの特別支援教育(2)感覚統合の視点から支援を考える① | うめだ・あけぼの学園副園長 酒井康年 |
ガイダンスカウンセラーの挑戦(2)教育相談係によるコーディネートの実践 | 鹿児島県公立小学校教諭 薗田満江 |
学びを広げる・学びを深める(1)教える人・学ぶ人 | 東京学芸大学名誉教授 河野義章 |
特別寄稿・新型コロナウイルス状況下における全国の学校の「主体的・対話的で深い学び」の動向(後編)授業と授業 研究を中心とした学校づくりへ | 麻布教育研究所シニアフェロー 永島孝嗣 |
生徒指導は人間関係づくりから 突然の対教師暴力に対して | 福岡教育大学・九州栄養福祉大学非常勤講師(元福岡市立長尾中学校校長) 岸川 央 |