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特集
学習指導要領改訂の経緯とねらい(インタビュー) これからの学力とその指導法
★新しい学習指導要領の目指すところを一言で言うと、「確かな学力を基盤に据えた生きる力の育成」です。
★「習得」「活用」「探究」はどれも大事にするのであって、「活用」だけ強調しては困ります。
★「確かな学力」の育成に現場で取り組んでもらうために、いちばん大事な、いちばん土台になるのは、「言葉の力」です。
新学習指導要領がめざすもの
★文部科学省が公表した小・中学校学習指導要領(案)は、教育基本法改正等で明確となった教育の理念を踏まえ、「生きる力」という理念を継承しつつ、「確かな学力」の確立については基礎的・基本的な知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視するとともに、「豊かな心」や「健やかな体」の育成を基本的な考え方としている。
★教育内容の主な改善事項としては、言語活動、理数教育、伝統や文化に関する教育、道徳教育、体験活動及び外国語教育の六点が挙げられる。
国語教育(言語活動) 新しい学習指導要領における国語科のあり方
★新しい学習指導要領は、学校教育を挙げて言語力育成に努めるべきことを示している。その言語力とは、自ら問題を見出し、資料を集めたり検討したりして問題を解決に導く能力であり、その考えを他の人々と話し合うことでよりよく高めうる能力である。国語科の目標及び構造は現行とほとんど変わっていないが、質的には大きな改訂が施されている。
社会科教育
★社会科改訂のポイントは、知識・理念・技能の活用、公共的な事柄に主体的に参画する資質や能力、我が国の伝統、文化、歴史に関する教育などである。
算数・数学 算数的活動・数学的活動の活性化による新しい算数・数学教育の展開
★今回の改訂は、終始「算数・数学は重要である」という考え方のもとで進められた。その結果、指導内容の充実が図られ、授業時間数も増加した。
理科教育
★今回の改訂では、現行よりも大幅に授業時間数が増加し、内容も大幅に復活し、昭和五二年版に近づいた。また、科学の基本的概念や見方を柱として小・中を通じた内容の系統化が図られ、現代科学の発展を示したり、環境保全にかかわる内容が新設された。
外国語
★小学校五.六年に「外国語活動」が必修として導入された。
★中学校においては、週三時間から四時間に増加し、「聞くこと」「話すこと」「読むこと」「書くこと」の四つの領域を総合的にバランスよく指導し、コミュニケーション能力の育成を目指す。
音楽教育
★音楽科の改訂の特徴の第一は、「音楽文化について理解」を深めるという立場から、とくに我が国の伝統音楽を重視するという方向が一層強まったことである。特徴の第二は、表現活動と鑑賞活動を支える[共通事項]が示されたことである。
図画工作、美術教育
★新学習指導要領の図画工作、美術では、活動のプロセスに働く力、生活や社会に豊かに関わる力、文化の継承と創造に関わる力の育成が求められている。
保健体育
★体育科で保証すべき学力(学習内容)は何かが改めて検討され、1.身体能力、2.態度、3.知識、思考・判断の三領域が設定された。そして、学習内容の確かな習得に向けて、小中高の十二年間を四:四:四の基本原則でとらえ、さらに二年間の学年ユニットで学習内容を示すことになった。
技術・家庭
★技術・家庭科の主たる変更点は、技術分野・家庭分野ともに内容をA-Dの四構成にし、すべてを必修にしたこと等である。また、小学校家庭科でも、中学校との系統性を重視した内容構成とした。
総合的な学習の時間 趣旨の明確化と育てるべき能力
★今回の改訂では、総合的な学習の時間の時間数だけが削減されたが、各学校で「目標」と「内容」を決定するという方向性と、それに順ずる「育てるべき資質・能力・態度」を明示することを求めている。
★今回の改訂にあるPISA型学力については根本的な誤解があり、その誤解を修正しないかぎり、わが国の教育界の再生はありえない。
特別活動
★最も注目すべきことは、全体目標を改善し、各内容の目標を新たに規定し、発達や学年の段階や課題に即して内容を示したことである。発達や学年の段階や課題に即して、よりよい人間関係を築く力、社会に参画する態度や自治的能力などを、生きて働く確かな資質や能力として育成することが求められたからである。
道徳教育
★新学習指導要領(案)においては、まず、改正教育基本法の趣旨に基づくとともに、現在の教育課題などに応じた道徳性育成のための目標や内容の改善が図られた。また、道徳教育推進教師を中心とした指導体制の構築や、授業公開の促進などを生かした連携体制の充実についても、より具体的に織り込まれた。
連載
坪田耕三先生の基礎・基本を学ぶ小学校算数の授業づくり 「わかる」と「できる」-基礎・基本の考え方(23)わり算の筆算 | 青山学院大学教授 坪田 耕三 |
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教育評価の現状と課題(2) 教育測定 | 文教大学学園長・応用教育研究所所長 石田 恒好 |
言葉によるコミュニケーション能力を育てる(2) 幼児におけることばによるコミュニケーション能力を育てる | 聖徳大学短期大学部準教授 藪中 征代 |
教師力を磨く(3) 教師に求められる能力とその向上 | 元大正大学教授 館 潤二 |
教育心理学の外国文献紹介(7) 動機づけと自己制御 | (財)応用教育研究所所長 辰野 千壽 |
いま必要とされる教師力をいつどのように身につけるか(4) 現場でこそ身につけられる教師力 | 山形大学教授 出口 毅 |
ネット時代の読書論(2) 「読書離れ」について考える-何からどのように離れつつあるのか | 東京家政大学教授 平山 祐一郎 |
どうする?小学校英語(31) ALT等とのコミュニケーション体験こそが、国際コミュニケーションの素地つくり! | 国立教育政策研究所名誉所員・2014年度戸田市英語教育運営指導委員会委員長 渡邉 寛治 |
だんわしつ 二人の新任女性教員の死 | 弁護士 川人 博 |
ひとりごと | 元公立中学校教諭 吉冨 久人 |