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特集
「はじめに子どもありき」の教育観に立つ学級づくり、授業づくり
★「はじめに子どもありき」の教育観に立つ学級びらき・学級づくりについて述べる。学級びらきで子どもたちに「自分の『好きなこと』や『とくいなこと』をのばそう!」と投げかけるとともに、子ども一人一人が興味・関心や考えを表現する場を用意し、子どもの自己発揮につなげていく。また、子どもの興味・関心、考えが生きる授業づくりを通して、個のよさが共感、共有され、探求と人間関係の深まりへ、個の成長へとつなげていく。「子どもとともにつくる授業」を子どもと教師が「相談」しながら創造することで、教科横断的な学びが学級カリキュラムにおいて実現する。そのためには、教師が子どもの見とりと計画を不断に修正することが重要である。
児童生徒理解と学級づくり
★生徒理解に基づく適切な教育実践によって、学級が心の居場所になる。学級づくりでは学級びらきで不安感を軽減し、ルールの確立とリレーションの形成を促進しながら、児童生徒に学校・学級で生活する安心感をもたせたい。児童生徒理解は子どもたちとしっかり関わる経験を積むことを通して身につくものである。一度だけの生徒理解でなく、子どもの成長を日常的に理解する。学級担任の癖や自己盲点をチェックすることで、観察や面接による児童生徒理解の精度が高まる。調査法なども含めて、さまざまな方法を総動員して、総合的に児童生徒理解する。教師による生徒理解に加えて、児童生徒による教師理解を促進するという視点をもちたい。
楽しく やさしく 情熱的な学級びらき―体育の授業を通して
★学級びらきは、学級づくりをしていくうえでの子どもたちへの方向づけである。
★子どもたちに学校生活を楽しく過ごさせ、やさしく接して子どもたちの不安感をとり除き、情熱をもって学習指導にあたるという教師自身の決意の場でもある。
★学級づくりにおいて大切なことは、学級集団のルールとリレーションの確立である。これを教育活動全体の中で培っていくことが必要であるが、学級びらきの時期に、体育の授業を通してこれらのねらいに迫っていくことも有効であると考える。
いかに集団活動をさせるか
★学級で集団活動を成立させるためには、一人一人が何のためにその活動するのか、どのような行動をすればよいかを理解している必要がある。まず、学級のスタート時に学級目標の形でめざす学級の状態を全員が共有することが肝心である。以降、その目標と集団活動を結びつけ、達成に向けて機能する組織を育てていく。また、全員に参加の機会を準備し、参加の仕方について行動レベルで理解させる必要がある。しかし、参加の仕方を理解していてもグループサイズが大きなったり、責任の所在が不明確になったりする場面では当事者意識をもちにくい。一人一人が認められる機会を設け、自分にとっての活動の意味を感じさせるしかけが必要である。
学級はじめに想定されるさまざまな問題に対処しよう
★必要に応じて「個別の教育支援計画」を活用した引き継ぎは、指導上の配慮を考えるうえでのヒントとなる。このヒントを有効活用することで、新たな学校生活へスムーズに移行しやすくなる。
★小学校からの引継事項は、何かが起きてから読み返すのではなく、新学期が始まる前までに、必ず読み、想定される場面をイメージしながら、自身の対応場面をシミュレーションしておくとよい。
★子どものできたこと、頑張れたことについて、教師からの認める指導、認める言葉かけは、年度当初からそのスタンスを崩さずに続けることで、信頼関係が築ける。
★子どもたちに、小学校と中学校の学習スキルでは、どこが同じで、どこが違うか具体的に伝え、その学習スキルの意義を伝えておくと、定着率が上がる。
年度始めの若手教師の悩みに答える
★年度始めの忙しさに流されるのではなく、子どもたちとの出会いの活動に取り組む。
★友だちを傷つける言葉づかいを減らし、温かい言葉が学級にあふれるようにする。
★保護者会にエンカウンターのエクササイズを取り入れることで信頼関係を深める。
★「注意(禁止)」を中心にした指導から脱却することで指導力を高める。
★粘り強く何度も繰り返し、よい行動をほめることでルールを定着させる。
連載
「教師力」アップセミナー(1)今日求められる教師力とは | 京都文教大学准教授 大前暁政 |
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QUを活用した学級づくりと学力向上(1)学級集団の状態が児童生徒の学習活動を左右する Q-Uはさらに進化する | 早稲田大学教授 河村 茂雄 |
合理的配慮が求められる時代の特別支援教育(1)合理的配慮と今後の特別支援教育 | 国立特別支援教育総合研究所上席総括研究員 笹森洋樹 |
評価結果の戻し方(1)形成的評価の効果とその背景 | 国立教育政策研究所総括研究官 山森 光陽 |
役に立つ教育カウンセリングの技法(1)個別面接技法 | 北海商科大学教授 大友秀人 |
コミュニケーション能力育成としての英語教育(1)今後の小学校における外国語教育の在り方~その理念について~ | 国立教育政策研究所名誉所員・2014年度戸田市英語教育運営指導委員会委員長 渡邉 寛治 |
コンピテンシー・ベイスの授業づくり-コンテクストをどうつくるか(9)具体的な活動や体験からコンテクストが生まれる生活科 | 名古屋大学准教授 久野 弘幸 |
思考・判断・表現の評価と指導<中学校>高校入試問題の分析から(1)〈英語科〉思考力・判断力・表現力等を問う英作文問題 | 上智大学教授 池田 真 |
「教えて考えさせる授業」(8)小学校の実践事例④二年算数「分数-半分の半分を分数で表す-」 | 岡山県美作市立勝田小学校教諭 衣畑 味里 |
わたしたちの学校づくり(18)清水中学校はガイダンスカウンセリングで劇的に変わった!~人間関係プログラムの力~ | 高知県土佐清水市立清水中学校長 岡﨑哲也 |
教育統計・測定入門(57)縦断的データのモデリング | 法政大学教授 服部 環 |
私のカウンセリング道程を語る-無念、存念、祈念(1)私の原点―おやじ・おふくろ | NPO法人日本教育カウンセラー協会会長 國分康孝 |
巻頭言/カウンセリングの有効性 | NPO法人日本教育カウンセラー協会会長 國分康孝 |