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特集
国語科における言語活動の充実~文学の読みを交流するための論理的なコミュニケーション
★国語科における言語活動の充実を図るためには、何か特別なことをするというのではなく、毎日の授業における学びやコミュニケーションの質を高めることを基本とすべきである。なぜなら、授業そのものが、話す、聞く、書く、読む、話し合うといった言語活動の場だからである。
★文学教材では、作品を読んで考えたことを発表し、交流することが重要である。そのためには、「根拠・理由・主張の3点セット」を使った論理的なコミュニケーションが有効である。これは国語科のみならず、他教科の授業でも活用していきたい。
国語-説明文教材
★説明文教材は、論理的文章の読解力と、その読解による思考力、認識力の形成を目指し、その説明文体の説得的表現性を学ばせるためのものである。
★説明文教材の指導の根本は、児童生徒の知的好奇心をもとに、未知の事実、事柄を知る喜びや楽しさを体験させることである。その過程において、説明表現の方法や認識の仕方を学び、書き手の人間性を考えさせることが大切である。
★そのためには、児童生徒が主体的に読む方法・時間の確保が必須である。
★読解や説明の際に、図表等を活用する力の育成を図る面からも、「手続き的説明文」を、国語教材の一つとして重視したい。
国語-音声言語教材 発達段階を追った教材のあり方・扱い方
★言語の教育をつかさどる国語科の、しかも日常生活で最も使用頻度の高い音声言語の指導は、重要である。児童に「話すこと・聞くこと」の能力を付けるための、言語活動の充実と教材のあり方・扱い方について具体的な教材を例に述べる。
★発達段階に開きのある小学校では、学年間の指導の段階性と連続性への認識が不可欠。学校全体で指導計画を確認することが必要である。
★音声言語指導の時間数は限られている。国語科の他の二領域とも密接な関連をもたせながら効率的に指導することが必要である
★音声言語の指導成果を他の教科の学習活動に生かす観点、逆に他の教科等で活用した結果を音声言語指導の評価として返していくつながりが必要である。
書く活動を通して書く力を伸ばす―言語活動の場で豊かな活用と確かな習得を
★生活に役立つ書く力を伸ばすためには、教科及び教科外を含むコミュニケーションの場で読者に向けて書く活動を通して指導するとよい。その際役立つのが複数の見本文例に学ぶことである。
★意欲的で主体的な学習活動を生み出すためには、「習得→活用」型の発想だけでなく、活用の場で習得するという発想も必要になる。教材のあり方としては、言語活動の場の具体例や多様な見本文例を用意することが求められる。
小学校社会科
★社会科学習で言語活動を充実させるために、「話す」「書く」活動を重視していきたい。これは、調べたことや考えたことを表現することを重視するということでもある。
★教科書は主たる教材である。言語活動の充実を図るためにも十分に活用していきたい。
★言語活動の充実を視野に入れながら教材のあり方や扱い方を考えるためには、子どもと出会わせる社会的事象を吟味するだけではなく、どのように出会わせるかという「学習活動」の側面にも留意していくことが大切である。
★教材のあり方や扱い方は、体験的活動、表現活動、討論活動、資料活用における言語活動という視点から考えていくことができる。
小学校算数-思考力、表現力が発揮された姿とその指導
★思考力、表現力が発揮された姿とは、またその指導としてどのようなことが考えられるかを考察した。根拠のもとである学習内容や日常事象を算数的活動を通して活用することで、そうした姿が授業の中に表れると考えた。また学年の発達段階も考慮した低・中・高学年別の指導や思考力・表現力を育てる指導の自己点検表など指導の具体化にも取り組んだ。その指導の具体例を示した。
中学校外国語(英語)-「言語活動」の充実を図る指導のあり方
★外国語(英語)科では「言語活動」はすでに授業中の主要な指導内容となっており、ますますそれを充実させることが求められている。
★「言語活動」を充実させるためには、「育てたい生徒像」をもち、それをめざして指導していくことが大切である。また、生徒自身に自分の発表を振り返らせ、よりよい表現を考えさせるようにする。
★「増えた」教科書を有効に扱うには、どこを重点的に教えるかの軽重配分を考え、大切な内容はさらに深められるような補助教材を用意するようにする。
子ども同士のかかわり合いを通じて-読解力の向上を目指す「読解の時間」の実践
★沼津市では、平成十八年度より「読解の時間」と「英語の時間」からなる言語科を創設した。特に、「読解の時間」は、新学習指導要領で重視されている言語活動を先駆的に取り入れ、読解力の向上を目指している学習である。
★子どもたちの考えや問い、こだわりをとらえ、かかわり合いを大切に考えた「読解の時間」の実践から、読解力を高める子どもの学びのプロセスの充実について考えたい。
連載
特別支援教育に取り組む(1)「授業づくり五つの観点」に全職員で取り組む | 三重県いなべ市立山郷小学校特別支援教育コーディネーター 宮崎富佐子 |
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学級ソーシャルスキルを子どもに育てる(1)学校教育の充実を支える学級ソーシャルスキル(CSS) | 早稲田大学教授 河村 茂雄 |
思考力・判断力・表現力を育てる指導と評価(1)思考力・判断力・表現力とは何か-「評価の観点の趣旨」と思考研究の知見とを絡めながら | 国立教育政策研究所総括研究官 山森 光陽 |
これからの評価を考える(1)評価の課題と求められる評価の質 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
これからの小学校国語の授業づくり(13)「話すこと・聞くこと」6年生 | 昭和学院小学校長・前筑波大学附属小学校教諭 青木 伸生 |
坪田耕三先生の基礎・基本を学ぶ小学校算数の授業づくり 「わかる」と「できる」基礎・基本の考え方(70)-小学校6年、点対称な図形 | 青山学院大学教授 坪田 耕三 |
小学校理科の授業づくり(1)小学校理科の授業づくりのポイント | 文部科学省教科調査官 村山哲哉 |
新年度からの中学校社会科地理的分野の授業づくり(4)ESDの視点を入れ動態地誌的に地域をとらえる-南アメリカ州と東北地方の指導を例として | 東京都練馬区立大泉西中学校教諭 池下 誠 |
小中学校国語教育統計・測定入門(1)連載にあたり-企画の趣旨と予定- | 法政大学教授 服部 環 |
小学校英語活動のポイント(36)PDCAサイクルによる「外国語活動」の運営の在り方と方法-その16(指導の基本6) | 国立教育政策研究所名誉所員・2014年度戸田市英語教育運営指導委員会委員長 渡邉 寛治 |
だんわしつ/実社会・実生活に生きる力を育てよう! | 名古屋大学名誉教授 安彦 忠彦 |
ひとりごと/三種の神器 | 元公立中学校教諭 吉冨 久人 |