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特集
これからの学校経営
★平成十年の中教審の答申は、学校の自主性・自律性の確立のためには学校裁量権限の拡大を図る必要があると提言したが、文部科学省が行った5年を経過した時点での答申前との比較をみると、都道府県等では改善がみられるものの、市町村段階では進んでいないことがわかった。
★学校の自己点検・自己評価については、形式的には100%近くが実施しているが、肝心の評価項目・評価方法に問題があり、家庭や地域社会から信頼を得るには今後の改善努力が必要であることが明らかになった。
★文部科学省は組織マネジメントの研修プログラムの開発を行うなどの努力を続けているが、すべての教職員のマネジメント・マインドの醸成が課題である。
開かれた学校づくり
★「開かれた学校づくり」は、教育改革、そして学校経営改革の基本テーマである。その核心は「経営を開く」、つまりこれまで教育専門家と教育行政が主として運営してきた学校を自律的に学校経営のもと、保護者・住民がなんらかの形でかかわり、もしくは参加し、参加型学校経営を実現しようとする制度理念、実践理念である。
★開かれた学校づくりは、一方では学校の経営責任、つまり保護者・住民に対する説明責任(アカウンタビリティ)を明確にし、他方で協働と参加を求める。学校評価制、学校評議員制導入のほか、地域運営学校という考えに立脚した学校運営協議会の導入などは、具体化したものである。
★わが国の国民性や意識から見る限り、開かれた学校づくりは形式化するおそれなきにしもあらずである。
学校は危機にどう対処すべきか
★学校は、いかなる場合も、最善を尽くして、児童生徒の安全を守らなければならない法的義務がある。
★まず、学校の危機管理で必要なことは、危機的な状況が起きる可能性をあらかじめ予知・予測することである。
★次に、危機を予知・予測したら、最悪の場合を想定して、危機を回避するための万全の措置をとらなければならない。
★現実に危機が発生した場合は、児童生徒の生命や身体の安全を守ることを最優先すべきである。
★マスコミとの対応で重要なことは、ウソを言わない、言うべきでないことは言わない、取材から逃げない、の三つである。
教育特区による特色ある学校づくり
★国語以外の一般教科を英語ネイティブ教師が教える英語イマージョン教育を、「構造改革特別区域開発学校設置事業」として太田市が「特区」申請し、民間と協力して私立の小中高12年一貫校「ぐんま国際アカデミー」を設立した。
★小学校6年時には、自分の考えをもって英語でディベイトできる力をつけることをめざす。具体的には、小学校卒業時には英語検定準二級。中学校卒業時には準一級。
★Content Based の学習では、意味のある状況・経験の中で具体的な物・事象として興味深く示されれば、新しい概念・語彙でも日本語を介さずに自然な形で言語は習得されていく。
特色ある学校づくり
★特色とは、他校と違った教育活動と言うより、実態に基づいた教育活動の積み重ねが、学校の文化にまで高まった状態をいうと考える。
★私がめざす学校像の一つが「楽しい学校」である。楽しい学校には、勉強がわかる、友達がいる、自分が認められる、ことが必要だ。
★1.校内の研究体制を整え、2.習熟度別学習・少人数指導を行い、3.読み書き計算の反復学習を週三回朝に行い、4.中学校と連携して学力向上をめざした。
習熟度別学習・少人数指導は、全学年で重点単元で実施した。
小中学校の連携では、算数・数学科を重点に、小学校できちんと身に付けておきたい力を明らかにして、指導した。
保護者対応
★「対応に苦慮する保護者」に悩む教師の中には、精神疾患で休職する者も増えている。このため、管理職による教職員のメンタルヘルス・ケアが重要となっている。
★管理職には、保護者の行動特性やクレーム対応についての知識を身に付け、保護者への対応に悩む教職員を早期に発見し、課題解決に向けた支援を行うことが求められる。
★課題を抱えられる保護者に対応するには、管理職がリーダーシップを発揮し、家庭への危機介入サポートチームでの対応等を率先して行う必要がある。
幼小中ノ接続問題と少人数学級
★1990年代後半から、小学校入学直後の子どもたちが、教師の話を落ち着いて聞くことが出来ないことなどが問題視されるようになった。以来、幼稚園と小学校の教職員が連携・協力し、この「小一問題」を解決するための取り組みが行われている。
★同様に、小学校から中が校への移行を円滑にするための小中連携の試みや、少人数学級を導入する自治体も増えている。幼少中連携の多くは教育内容・方法の研究を教員が連携して行うもので、子どもたちの目線に立った改善策はあまりみられない。
★本稿では、幼小中の接続や、各教育段階における学級編成のあり方について、日本の現状を諸外国の事例と対比させながら検討し、解決策を探る。
人事考課-基本は人材育成-
★従来の勤務評定の形骸化を克服すべく、全国的に人事考課を実施、思考あるいは検討しつつある。評価の原則とも言える、公平・公正性、客観性、透明性、納得性いずれの自治体も考慮しているように察しうる。具体的観点として、目標管理手法の導入、評価項目・評価要素・評価基準に照らした絶対的評価、多面的評価、面談、評価結果のフィードバック、人材育成・能力開発、処遇への活用などの方策がみられる。
★面談を通じての人間関係の高まりは期待できるが、どの学校でも実行力あるシステムとするための運用上の課題は存在する。管理職としての負担意識が時間的にもスキルの面でも強くなることは予想される。しかし、人を評価することは難しいことであるが、自ら気づき省みる機会を与える健全なフレッシャーのもと自己変革能力を高める人事考課は今後を期待される。
連載
小学校算数の基礎・基本の指導と評価(23) 授業で大切にしたいこと(6)-たくましい根を育てる | 元筑波大学附属小学校教諭 正木 孝昌 |
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ドリルについて考える(11)音読はなぜ大切なのか? -学級での音読指導の実際から | 大阪府泉大津市立穴師小学校教諭 金井 敬之 |
豊かな心と確かな学力の育成(8) 豊かな心と確かな学力の育成を一体化させる道徳教育の工夫 | 武庫川女子大学教授 押谷 由夫 |
豊かな人間を育てる授業シリーズ(7) 連載を終わるにあたって | 教育臨床研究機構理事長 中野 良顯 |
新しい教育評価の動向/主要論文の概説(9)R・Dクリックほか 生涯学習能力一覧表の開発 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
だんわしつ | 市川 昭午 |
ひとりごと | 元公立中学校教諭 吉冨 久人 |