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特集
「総合的な学習の時間の記録」の欄の趣旨と記入のあり方
★総合的な学習の時間は「学習」であり、体験のみに終わることのないようにすること、教科との関連を配慮することが大切である。
★総合的な学習の時間の評価の観点について、教育課程審議会の答申に「課題設定の能力」「問題解決の能力」「学び方、ものの考え方」「学習への主体的、創造的な態度」「自己の生き方」が例示された。各学校ではこれを参考にして観点を定めるとよい。
★総合的な学習の時間の設定にあたっては、指導と評価の一体化が大切であり、児童生徒の良い点を見いだして評価し、意欲をもたせたり自己評価能力を身につけさせることが大切である。
★評価にあたっては、なるべく客観的な評価をめざす教師の協力体制が大切である。
私の考える総合的な学習のねらいと評価のあり方 ●「メタ認知能力」を育て、評価する
★教科と総合的な学習は決定的に違う。それは「課題づくり」にある。前者は教師が握っているのに対し、後者は子どもたちが自ら決定できる。
★総合的な学習には子どもたちの「メタ認知能力」、従来からの言葉でいえば「課題意識」「目的意識」にあたる「高次の意識」を育てる機械がある。「自分が学習活動の主人公であり、全体をつねにコントロールしている」という意識と言い換えても良い。
私の考える総合的な学習のねらいと評価のあり方 ●六つの観点を立て、リアリズムを貫く
★総合的な学習のねらいは「テーマへの接近度」「思考力の育成」「方法知の獲得」「表現能力の形成」「共同性への志向」「自己評価能力の育成」である。
★総合的な学習の評価は、ねらいに即して、子どもたちの「良さ」だけでなく「困難点」も把握することによって、リアリズムを貫く行為である。
総合的な学習の指導と評価の実際
★総合的な学習の評価の観点は、「情報処理学習モデル」による観点と、「領域準拠学習モデル」に基づく評価の観点、各学校独自の観点の三つの類型に大別される。
★わが国の教師は、情報処理学習モデルによる学習指導や評価に習熟していない。そこに総合的な学習の評価の困難な点がある。
★総合的な学習の評価は、生徒の技能や能力の発達を基本とすべきである。
★評価のためにも、学習指導のためにも、技能や能力の発達段階についての見通しが必要だ。
総合的な学習の指導と評価の実際 ●自己評価を中核として
★総合的な学習のねらいを明確にし、それに照らした評価項目を設定することが大切である。
★自己評価カードをポートフォリオ評価として活用し、学習の成果と課題を把握できるようにする。
★毎時間ごとの評価は、その時間のねらいと具体的な支援に即して、焦点化して行う。
★学習の節目節目で、振り返りの時間を位置づけ、一人ひとりの子どもと話し合いながら、成果と課題を明らかにする。それらを生かして年間の評価を行う。
総合的な学習の指導と評価の実際 ●テーマ設定力とプレゼンテーション力を中心に
★「総合的な学習の時間」で生きる力やよりよく問題を解決する資質や能力を育てることの大切さは理解できる。だが教師は、指導計画を立てる場合、それらを育成するためには、子どもたちに何を身につけさせたいかをより具体的に考えておく必要がある。それが絞れれば、「総合的な学習の時間」の評価のしかたも見えてくる。
★ここでは、本校で長年行われてきた「フリータイム学習」を例にして、「総合的な学習の時間」の評価について考えてみた。
総合的な学習の指導と評価の実際 ●「自分らしく、他と共に生きる」生き方を中心に
★総合的な学習のねらいに迫るためには、評価の観点を設定していくことが重要なポイントである。この観点によって生徒の活動を評価していくことで、指導と評価が一体化していく。
★本校では三つの視点から評価の観点を設定した。1.問題を解決する資質や能力に関する項目、2.学習技能(スキル面)に関する項目、3.生き方に関する項目である。
★「生き方に関わる評価」については、活動ごとの感想文や提出物などをファイルさせたり、活動の途中で自己評価をとりいれるなどして、自分の考え方や意識の変容がたどれるようにした。そして、自分自身の意識の変容をレポートや新聞の中に書かせるようにした。
総合的な学習の指導と評価の実際 ●「ドリーム学習10ポイント」で学びと評価の一体化
★生徒の学びの中から見えてきた重要なポイントを「ドリーム学習10ポイント」としてまとめた。これは学びや支援の観点でもあると同時に評価の観点としても有効な学校独自の観点である。
★総合的な学習では、主体的に学習を創る意味からも、自己評価が中心となる。生徒自身が学びを振り返るには、ポートフォリオが有効である。
★自分の学びを見つめさせる支援のためのシステム作りと、必然性のある場面づくりが大切。本校の工夫として、1.ポートフォリオの整理 2.多くの意見(評価)を取り込む 3.ポートフォリオを使う、見せる場面の設定 4.評価規準の設定 5.アカウンタビリティの視点 6.主体的に次の学びを作る、 を紹介する。
★ドリーム学習を通じ、生徒はメタ認知の力を身につけるとともに、計画し、考え、実行し、次の学びにつなげることの大切さを感じ取ってきた。
★指導要録の記入はドリーム学習10ポイントに沿った文章表記とする。
補助簿やポートフォリオから通信簿及び指導要録
★補助簿と児童・生徒用ポートフォリオにおいては、「総合的な学習の時間」の学びの具体的な資料を活用し、児童・生徒と教師の質的な見取りに基づいた記入をする。
★通信簿は、教師と児童・生徒と保護者の三者による学びの足跡の価値付けであり、「総合的な学習の時間」における児童・生徒の学びをつねに励まし促進させるための記入が必要である。
★指導要録における「総合的な学習の時間の記録」欄は、各学校における「総合的な学習の時間」の目標及びその資質・能力との関連から、評価の観点を精確に設定することが大切である。
連載
生きる力を育てる評価(6) 「生きる力を育む学級経営」 | 東京都荒川区立第四峡田小学校教諭 善元 幸夫 |
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教科の基礎・基本 <小学校社会科>(1) | 東京都江東区教育センター 落合 静男 |
パフォーマンス評価の実践的研究(1) 「パフォーマンス評価とは」 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
高校入試問題はどこまで改善されたか(5) 「外国語(英語)」 | 国立教育政策研究所名誉所員・2014年度戸田市英語教育運営指導委員会委員長 渡邉 寛治 |
だんわしつ | 高畑 敬一 |
ひとりごと | 元公立中学校教諭 吉冨 久人 |