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特集
学習スキルとその育て方
★日本の学校教育には、学習スキルを自覚的に教える文化がなかった。それは、勉強とは「がんばり・努力」でやるものだとの精神論があったからである。しかし、そうした悪条件の中でも、-勉強を効率化する学習スキルの指導はあった。要するに、「覚えるコツ」を中心とした学習スキルである。
★また、-問題解決を支える学習スキルも注目を集めるようになった。社会的な構造変化に伴う新しい学力(探求型学力)に対応するものである。
★二つの学習スキルは、それぞれの育て方の工夫が必要である。前者の学習スキルはエリアを限定し、ゆっくりじっくりが必要であり、後者は実際の問題解決活動をしながら教えることが必要である。
「学び方学習」の重要性
★これまでの教育学の流れの中では、「学び方」という言葉が一般に定着したのは、1960年代以降といわれている。
★しかし、「学び方」という考え方そのものは、1900年代初頭から存在しており、教育実践の現場でその理論と方法については、相当の蓄積がある。
★「学び方」は、子どもの学習への意識や意欲を支えるものである。その指導は、一貫した意図的な指導が大切であり、教育的ストラテジーが必要である。
★筆者の「辞書引き」指導は、「学び方」を育てることにより、どのような子どもが育つかということを典型的に示した一例である。
効果的な学習法を教えよう
★効果的な学習法と学力との相関を示した研究をあげ、効果的な学習法の意義・役割について述べる。
★効果的な学習法はどんな内容を含むかについての考え方の変化を概観する。
★学習法検査、とくに学習適応性検査を例にしての内容を示す。
★効果的な学習法を、いつから、どのようにして教えるか、どんな点に配慮すべきかについて述べる。
自己教育力再考
★「自己教育力」や「自ら学び、自ら考える力」の重要性が論じられたが、子どもたちの実態に目立った改善が見られない。
★意欲よりも、学習スキルの習得を徹底することが、実態の改善には効果的ではなかろうか。そしてその学習スキルとしては、基礎的学習スキルの他に、問題解決的スキルが重視されなければならない。
★メタ認知の育成が重要な条件となるが、それには表現活動を多くし、結果情報を得やすくすること、および自己向上意欲を刺激することが前提となる。
★学習面と社会生活面の両面において、自己効力感の育成を図るため、一人一人に合った活動の場や課題を用意すべきである。
★指導の実際では、SET自己向上支援検査を利用し、関連する心理的条件を正しくとらえる必要がある。
ノートのとり方
★ノートなしの授業なんて考えられない。しかし現実には、ノートを使わない授業がまかり通っている。これは学力低下の原因の一つでもある。
★ノートには多種多様な機能がある。その使い方によって大きな差が出てくる。ノートの使い方の上手な教師は、授業もうまい。
★子どもに、ノートを使う意味や価値をつかませることが大切だ。教師が「書きなさい」と命令しても、何のために書かなければならないか疑問に思っている。
★ノートは「教師の指導を映す三面鏡」であることを認識して欲しい。教科によっても使い方を工夫すると、指導の効果が上がってくる。
国語科で学習スキルを育てる
★学習スキルは、学びの主体である子どもたちの、学習への達成感・満足感とともに獲得される。したがって、豊かで発見のある学習と、それを導く学習方法に対する自覚とをセットで体験させることが必要になる。そのため教師は、学習内容に対する教材研究の徹底とともに、多くの学習方法とその特質についても十分承知しておくべきだ。
★本校では、そうした多くの国語科にかかわる学習スキルを
1.調べる 2.考えを整理する 3.伝え合う 4.言葉への興味を持つ
の4つに分けてそれぞれの例を項目として示した。
学習スキルで授業が変わる!子どもが変わる!
★図書資料の最初のページから順に開いて情報を集めるより、目次や索引などを活用して情報を集める方が、効率よく必要な情報を集めることができる。単に自分の考えを話すより、考えの根拠となる事実を示しながら話す方が、深まるのある話し合いとなる。さまざまな学習場面で、これまで身につけてきた方法や技能を使うことが、子どもの学びに有効に働くのである。
★私たちは、すべての教科等において、子どもの学びを支える方法や技能を「学習スキル」とした。そして、学習スキルを計画的、意図的に身につけさせることで授業が変わり、子どもが変わると考え、全校体制で取り組んできた。本校では、算数科の実践を例に、学習スキルへの取り組みについて述べる。
英語科で学習スキルを育てる
★生徒が一人で学ぶことができる力が学習スキルであり、そのスキルの持ち主、独立学習者(Independent Learner)を育てることが教師の重要な仕事である。
★学習スキルは、すぐには身につかない。初級学習者には、家庭学習の基本である教科書の音読と単語や文型の書写を宿題として徹底的にやらせ、その成果を授業の中できちんと評価することが必要である。
★辞書がきちんと使えるようになることは、語学学習にとって重要な学習スキルである。
★教室外でも生徒自らが自然な英語にふれるきっかけを与えるために、授業内で生徒が興味を持つような映画、音楽、書物の楽しみ方について触れることは学習スキルを高める効果がある。
連載
授業をつくる(8)中学校理科 生徒が生き生きと活動する授業をつくる | 筑波大学附属中学校教諭 金子 丈夫 |
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新しい評価の枠組み(4) 検討課題-観点の問題 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
諸外国の初等中等教育改革ノ動向(11) カナダ-「オンタリオ州など三州にみる教育改革」 | 文部科学省生涯学習政策局調査企画課外国調査官 篠原 康正 |
私の教育評価実践(8)中学校社会科公民分野の授業と評価 | 神奈川県川崎市立宮崎中学校教諭 町田 憲二 |
標準検査を活用した教育実践(5)習熟度別・少人数指導の成果を標準学力検査で確かめる | 愛知県小牧市立小牧中学校長 玉置 崇 |
どうする?小学校英語(19) 地域で進める小学校からの英語教育のあり方について | 国立教育政策研究所名誉所員・2014年度戸田市英語教育運営指導委員会委員長 渡邉 寛治 |
だんわしつ | 東京都江東区教育センター 落合 静男 |
ひとりごと | 元公立中学校教諭 吉冨 久人 |