月刊誌 指導と評価

2001年 3月号
  1. 2001年 3月号 Vol.47-3 No.554  定価:450円
特集
新指導要録のポイント(2) 行動の記録・特別活動の記録
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特集

「行動の記録」の主旨と改訂のねらい

武庫川女子大学教授  押谷 由夫

★「行動の記録」は、今回の学習指導要領の改訂において強調された「生きる力」の育成を、行動面にかかわって、具体的・総合的に評価できるように改善が図られている。

★とくに「行動の記録」は、道徳教育の指導の評価と密接にかかわる。道徳教育は道徳の時間をかなめとして、こどもたち一人ひとりが、自ら考え判断し、道徳的実践ができるように、すべての教育活動を通じて行われる。内面の評価は難しいが、行動に表れた道徳性を評価することによって、さらに内面を耕す指導を充実させることができる。

★「生きる力」の中核は、豊かな人間性であり、道徳性であることを考慮して、「行動の記録」を充実させていくことが大切である。

「行動の記録」の評価のしかた

東京学芸大学教授  江川 びん成

★情報開示の社会的動向の中で、「行動の記録」の評価作業のむつかしさに言及した上で、評価の主体として教師の他に、保護者や児童生徒本人も加えることの有効性を提言した。

★日頃の評価の方法ないしそのための資料収集方法として、1.観察 2.面接 3.児童生徒の作品 4.保護者からの情報 5.他の教師からの情報 6.前年度の指導要録 7.児童生徒からの情報 の7つがある。

★最終評価のための評価方法として、1.観察や面接に基づく教師評価 2.子どもの自己評価 3.相互評価 4.心理検査の活用 がある。

「行動の記録」の評価の実際  資料収集と具体的な行動目標としての評価規準(小学校)

東京都台東区立根岸小学校長  小島 宏

★「行動の記録」の評価は、心の教育、道徳教育、「生きる力」の育成を意識して進めることが大切である。

★評価の項目の理解を深め、学校としての「評価基準」を作成し、評価を適切に進めることが求められる。

★日常の評価の充実を進め、子どもの自己評価を採り入れるなど、子どもの自覚に基づく評価、指導の改善に役立つ評価にする必要がある。

「行動の記録」の実際   資料収集と具体的な行動目標としての評価規準(中学校)

大分県久住町立都野中学校長  森本 高美

★行動の記録の項目と、道徳・特別活動の指導内容との関連を明確にしておくと、評価計画が立てやすい。

★指導要録評価にあたっては、校内の評価委員会で、実施時期・評価方法・評価規準などについて、年度当初に全職員の共通理解を図っておく必要がある。

★指導要録(行動の記録)の情報開示に備え、日頃から客観性のある評価をするとともに、保護者との信頼関係を築いておくことが大切だ。

今回の改訂をどうみるか

応用教育研究所理事長・筑波大学名誉教授  櫻井 茂男

今回の改訂をどう見るか

東京成徳短期大学教授  深谷 昌志

「特別活動の記録」の主旨と評価のしかた

文部科学省初等中等教育局視学官  宮川 八岐

★新学習指導要領の完全実施に向けて評価のあり方や指導要録の形式等について、教育課程審議会は新しい方向性を答申した。今後、各教育委員会に通知される諸事項について各学校は十分研究し、特別活動における児童の自主的、実践的な態度の評価の充実に努めなければならない。

★特別活動については、教育課程審議会の答申における評価の基本的な考え方は特に変わってはいないことから、各学校においては、これまでの実践の積み上げや反省点などをもとに今後の評価や指導のあり方についてさらに検討を加え、いっそう評価活動が充実するよう工夫したいものである。

「特別活動の記録」の評価の実際(小学校)

東京武蔵野市立第一小学校校長  高松 和彦

★特別活動は、集団の一員としての自覚や、協力してよりよい生活を築く自主的、実践的な態度を、自発的、自治的な集団活動の体験を通じて育てるという特質を有しているきわめて重要な教育活動である。

★特別活動用行きの学級活動は、とくに学級経営に深くかかわっており、他の教科等の教育活動の基幹をなしているといわれている。それは、豊かな人間性や社会性を培われた児童が、教師の指示や注意がなくても自分たちで集団の中の一人ひとりを大切にし、配慮して活動を展開していく力を発揮していくところにある。

「特別活動の記録」の評価の実際(中学校)

東京都多摩教育事務所指導主事  美谷島 正義

★特別活動は、望ましい集団活動の中で、個々の生徒の良さや可能性を最大限に生かせる活動である。そのために、教師は、生徒理解の充実を図ると共に、適切な評価が行える評価規準を設定することが重要である。

★特別活動の評価規準を設定する場合、目標や内容からの分析の視点と生徒の情意、理解の状況などの視点を踏まえることが大切である。

★評価を行う際には、生徒や保護者にその評価を十分に説明できるよう客観性と信頼性を高めることが必要である。そこで、学校としての評価体制の整備につとめ、評価の基礎資料は多面的、総合的に分析、考察する必要がある。

連載

生きる力を育てる評価(5)   学校教育で育てたい「生きる力」 教育臨床研究機構理事長
中野 良顯
新教育課程における評価の課題(5)   「形成的評価と個人内評価」 教育評価総合研究所代表理事
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教科の基礎・基本<小学校理科>(2) 文京学院大学特任教授
森田 和良
中学校/総合的な学習を創る(4)   グループ・個人の課題決定と保護者へのPR 大分市立大東中学校教諭
伊勢 博子
高校入試問題はどこまで改善されたか(4)   「理科」 国立教育政策研究所教育課程研究センター総括研究官
鳩貝 太郎
だんわしつ 勝井 徹
ひとりごと 元公立中学校教諭
吉冨 久人
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