- トップ
- 指導と評価
特集
新学習指導要領にそった道徳教育
新学習指導要領では、道徳教育と道徳科の目標を統一して「道徳性の育成」とした。この道徳性とは、人生で出会う様々な問題を解決する資質・能力であり、よりよく生きていくための基盤となる。この目標を達成するために、道徳科の指導法は、「読む道徳」から「考え、議論する道徳」へと質的転換を図り、問題解決的な学習や体験的な学習を積極的に導入することになる。この目標と指導法に対応させて、道徳科の評価は、子どもの道徳性に係る成長過程をパフォーマンス評価やポートフォリオ評価等で長期的かつ多面的に見取ることが大事になる。
道徳性の発達
★道徳性の発達とひとくちにいっても、罪悪感や共感といった道徳的感情、正義や公 正といった認識を基にした道徳的判断、さらには、分ける、援助する、慰めるなどの道徳的行動の発達が個々に扱われてきた。肝要なことは、道徳的な感情や認識を育てれば、道徳的な行動が必ずしも増加するというわけではないこ とだ。気持ちを考え、さらには行動を包括的にとらえ、すべての観点から一人の 人間としての道徳性を育てていく授業の工夫が必要である。そのため、評価は、子どもの支援のための「のびしろ」をみつける、理解のための観点でなくてはならない。
イギリスの「道徳教育」 と学習者の評価
★イギリスでは、「道徳教育」と称する教科はないが、それに当てはまるものとしては、宗教教育、シティズンシップ教育、PSHE教育がある。本稿ではこのうち、人格や社会性の発達のためのPSHE教育についてその概要を紹介する。
★また、PSHE教育における学習者の評価の取組の中で、
「学習のための評価(assessment for learning)」という考え方とその実例を紹介する。
フランスの{道徳教育}と学習者の評価
★フランスの小中高等学校では、二〇一五年九月の新学年開始に合わせて、全学年に「道徳・公民」の授業が新設された。「フランス共和国の諸価値」を児童生徒に共有させ、共生社会の実現を目指す。
★「道徳・公民」の目標は、「道徳的で公民的な教養」を身に付けさせることである。内容は、複数学年をまとめて、「感受性」「権利と規則」「判断」「参加」の四つの視点に区分して示されている。
★「話し合い」や「モラルジレンマ」「価値の明確化」「哲学的討論」などの授業方法が提案されている。知識と能力を対象とした評価が行われる。行動や態度は評価の対象とされない。
アメリカの道徳教育と評価
★アメリカの道徳教育は人格教育であり、中核的倫理価値を教える。
★しかし横田ミドルスクールでは人格教育の教科はなく、日々の教科学習と学校文化を通して中核的倫理価値を学習させる。
★人格教育の無作為化比較試験デザインによる代表的研究では、プログラムの有効性のエビデンスは得られなかった。
★人格教育の有力な代替プログラムにシティズンシップ教育がある。民主主義などの主要概念と、批判的思考などの主要スキルを教える。
イタリアの道徳教育と学習者の評価~イタリアの学校教育実地調査から~
★カトリックの総本山バチカン市国があるイタリアでは、宗教が学校の授業の中に組み込まれ、長く培われた伝統と習慣で築きあげられた生活が現在も営まれている。しかしまた、かなり以前から宗教とは別に道徳「憲法とシチズンシップ」(道徳教育)が教科として導入されている。
★学習者の評価は、基本的に担当教諭が行い、10段階など数段階で評価する。「行動面」に関してはこれと別に文章で評価される。
道徳性評価の一技法としての問題場面テスト「HUMAN」
★評価は、子どもたちの可能性を伸ばすためのものである。一人一人の道徳性について、細かく見ていくことが、ひとりひとりの道徳性を伸ばすことにつながる。
連載
QUで学級集団づくりと学力向上を図る(11)魚沼市③成果と広がり | 早稲田大学教授 河村 茂雄 |
---|---|
特別支援教育のさらなる充実を(10)援助者間のズレをどう縮め解決していくか | 高知市立江陽小学校長 横田 隆 |
学校づくり力」アップセミナー(11)学校評価力 | 岐阜聖徳学園大学教授 玉置 崇 |
目的別文章の書き方(11)小学校における書く指導 | 筑波大学附属小学校教諭 青山由紀 |
感度を高める言葉の教育(23)形容詞の意味変化 | 筑波大学附属小学校教諭 青山由紀 |
道徳をこれからどう指導したらよいか(10)問題解決型の道徳授業をとらえなおす | 愛知教育大学附属名古屋小学校教諭 水野晋吾 |
新教育課程における教育評価を考える(7)「思考・判断・表現」の評価-発達段階に応じた評価 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
わたしたちの学校づくり(17)子どもたちの「やりたい!」という思いや願いを大切にし、これからの社会に必要な資質・能力を育む学校づくり | 新潟県上越市立大手町小学校教頭 野田 晃 |
小学校算数の発展・応用を学ぶ授業をつくる(42)ポリオミノの教材化(その2) | 青山学院大学教授 坪田 耕三 |
新しい教育評価の動向(46)R・レッグ、A・グリーン、音楽教育の新しい潮流-音楽劇場:音楽教育の第三の波の興隆を考える | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
教育測定・統計入門(46)パス解析における直接・間接効果と決定係数 | 法政大学教授 服部 環 |
学校の法律問題(35)合格祈願と政教分離 | 日本女子大学教授 坂田 仰 |
だんわしつ/「懐疑史学」のすすめ | 静岡大学名誉教授 小和田哲男 |