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特集
移行期の小学校理科の指導
★新学習指導要領では、より幅広い「見方」と、内包と外延ということで定義される「概念」との両方を結んで、四つの「科学の基本的な見方や概念」として、学習内容を整理したことが大きな特徴である。これは指導内容や領域ではなく、系統である。
★小学校理科では、子どもが自然と親しみ、見通しをもって観察・実験し、自分で試行錯誤しながら、問題解決の方法を身につけ、実感を伴った理解を図ることが目標である。
小学校理科(中学年)の指導
★「実感を伴った理解」に至るには、視点を意識した観察、見通しをもった意図的なデータの活用、体感したことと実験結果などの科学的なデータとを結びつけて意味をつける活動、他者へ学習内容を解説する説明活動などが必要である。
★中学年の理科は、生活科での活動を生かしつつ、より科学的手法でデータを取ったり、働く力をコントロールして見通しを持った活動を仕組んだり、ものづくりとして実現したりできるような活動が増えていく。自然の対象を科学的な手法で扱えるような工夫が求められる。
小学校理科(高学年)の指導
★新学習指導要領で示されたB区分「生命・地球」は、対象が人間の制御の効かないものであり、A区分「物質・エネルギー」とは指導の方法を変える必要がある。例えば生き物の場合、子どもは対象に感情移入しやすいという特徴がある。また「地球」のように、活動がフィールドであると、視点を定めるのが難しい場合がある。高学年での事例を示した。
移行期の中学校理科の指導
★移行期の中学校理科の指導においては、学習内容の系統性を保ちながら円滑に新学習指導要領に移行することが大切である。今回の改訂では、探究的な学習などを一層重視するとともに、学習内容を充実させている。そのため、趣旨および指導内容をしっかりと把握し、準備を進めることが求められる。特に、理科は、観察、実験を通して学習する教科であり、新しい学習内容についての観察、実験の研修、機器の整備等もあわせて進めていくことが大切である。
移行期の中学校理科の教科課程と第二分野新内容の指導
★移行期3年間を見通して、選択教科と総合的な学習の時間をどのように減らし、理科と数学の授業時間を増やすかを考えねばならない。
★理科では、平成元年告示の学習指導要領理科の内容がかなり「復活」したように感じられるが、学習指導要領の改訂の方向にあるように、特に思考力などを育成する学習指導の展開が期待される。
移行期の中学校理科第一分野の指導
★移行期の指導内容は、教材の学年間の移動や付加分がかなり多い。しかし、第一分野の学習内容の全体構成を見れば、それがいくつかの概念・見方をもとに構成されていることが分かる。基本となる考えは「自然現象を粒子的にとらえさせること」「理科の学習と日常生活とのつながりを重視すること」「得られた知識や理解した内容を具体的な課題解決の場面で生かす力を養うこと」の三つである。
小学校(外国語活動)英語活動の指導
★小学校外国語活動の目標は、外国語を通じて、児童のコミュニケーションに対する積極的な態度を育成し、言葉の大切さや豊かさ等に気付かせ、言語に対する興味・関心を高めることにある。目標達成以前に、単にスキル(技能)向上を目指した「英会話」やパターン・プラクティス、ダイアログの暗唱、フォニックスなどを中心に行うことは、目標に合致せず、中学校との連携も図れない。
★外国語活動における教員の役割は、英語を教えることではなく、英語を使い、英語を学ぶモデルを示すことである。
★移行期間中に、時間数の設定やカリキュラムの作成とともに、校内研修を充実し、教員の指導力向上を図ることが求められる。
移行期の中学校社会科の指導
★新学習指導要領の完全実施に向けて,新内容や方法について十分理解を深め,授業計画を練る必要がある。中学校社会科は、平成22年度に入学する生徒たちが3年生になる24年度には,授業時間数が大きく増加する。すなわち,22年度が始まる時点で地理的分野・歴史的分野に関する3年間の授業計画が,24年度当初には公民的分野の計画ができていなくてはならない。
★移行期の社会科は、部分的にでも新学習指導要領の内容を試行してみたい。
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