月刊誌 指導と評価

2016年 12月号
  1. 2016年 12月号 Vol.62-12  No.744  定価:450円
特集
何のためのアクティブ・ラーニングか
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特集

何のためのアクティブ・ラーニングか

東京大学名誉教授・帝京大学中学校高等学校校長  市川 伸一

★アクティブラーニングの基本的なねらいは、授業の中に学習者が情報をアウトプットする活動を導入することによって、①習得・活用・探究の学習をより深く豊かなものにすること、②思考力やコミュニケーション力を育てること、③参加意識や関心・意欲を高めること、にある。
★文部科学省では、学習指導要領改訂に向けて、これからの世の中を生きていくために必要な資質・能力について数年前から議論がなされ、それらを子どもたちに育てる有力な学習方法としてアクティブラーニングが位置づけられた。
★いまやアクティブラーニングという用語はブームのように全国に広まっているが、これを単なる授業の型として表面的にとらえるのではなく、「主体的・対話的で深い学び」をめざし、日常的なさまざまな学習場面で、多様な方法で具現化すべきものととらえることが大切である。

「習得」と「探究」をつなぐアクティブ・ラーニング

青森県八戸市立長者小学校教諭  八嶋俊次

★一斉指導とともにアクティブな授業を進める指導のスキルを身に付ける。
★一斉指導の魔力から抜け出すために対話のある授業を進め、学級を学びの場、心の居場所にする。
★自分の考えを発表する場やお互いの考え、思いを分かち合う場をつくり、生徒に学習する能力を育成する。
★アクティブな授業を進める指導のスキルを身に付け、ペアやグループ活動を取り入れて授業を活性化する。

アクティブラーニングの例(中学校)

公立学校スクールカウンセラー(元富山県南砺市立福光中部小学校校長)  水上 和夫

★一斉指導とともにアクティブな授業を進める指導のスキルを身に付ける。
★一斉指導の魔力から抜け出すために対話のある授業を進め、学級を学びの場、心の居場所にする。
★自分の考えを発表する場やお互いの考え、思いを分かち合う場をつくり、生徒に学習する能力を育成する。
★アクティブな授業を進める指導のスキルを身に付け、ペアやグループ活動を取り入れて授業を活性化する。

主体的・対話的学びを基礎として深い学びへと-高等学校の実践-

桐蔭学園理事長・桐蔭横浜大学学長  溝上慎一

★『審議のまとめ』で「主体的・対話的で深い学び」というアクティブ・ラーニングの視点が示された。高等学校では、主体的・対話的な学びを軽視せず、深い学びを実現すること、ひいて講義一辺倒の授業を脱却した新しい授業づくりが求められる。深い学びは、単なる理解の深さだけを問うものではなく、生徒の思考力・判断力・表現力、ひいては資質・能力を育てることも問うていることを、活用II問題に取り組んだり授業目標を発見させたりする実際の授業例を紹介しながら概説した。

大学におけるアクティブラーニング型授業とその支援

東京大学教養学部特任助教  吉田 塁

★本稿では、大学におけるアクティブラーニングを概説したあと、東京大学教養学部におけるアクティブラーニング型教室および授業の具体例を紹介する。次に、アクティブラーニングを促進するうえで肝要な支援の具体例およびあり方を述べる。そして、大人数講義や講義形式の教室であってもアクティブラーニングを効果的に導入できることを、具体例を交えつつ説明する。本稿の内容が、読者の学校における、生徒および学生の学びを効果的に促進する主体的な授業づくりおよび支援環境づくりに参考になれば幸いである。

アクティブラーニングの評価

京都大学教授  松下佳代

★アクティブラーニングの背後にあるのは「教えから学びへの転換」であり、それは「教師は何を教えたか」から「生徒は何を学んだか」への転換ともいうことができる。そこでは、生徒自身が自分の学びに対する当事者意識をもって、実際に何を身につけたかを把握することが重要になる。私たちは、日常生活の中で自分自身による評価を自然に行っているが、教育場面において生徒を評価の主体とすることはそれほど容易ではない。だが、アクティブラーニングには、学習としての評価の機会を多様に組み込むことができる。これはアクティブラーニングの評価の強みといえる。

連載

学校力・教師力アップセミナー(8)チーム支援で問題行動に対処する 公立学校スクールカウンセラー(元富山県南砺市立福光中部小学校校長)
水上 和夫
QUを活用した学級づくりと個別支援(9)荒れ始めたクラスの指導②中学校 高知大学准教授
鹿嶋真弓
特別支援教育のこれから(9)ADHDの特徴とその対応 えじそんくらぶ、昭和大学・玉川大学講師
高山恵子
教育評価のこれから(9)アクティブ・ラーニングの指導と評価 奈良教育大学准教授
赤沢早人
感度を高める言葉の教育(33)助詞の不思議 国立国語研究所教授
石黒  圭
教えて考えさせる授業(4)学び方と学習観を育てる「教えて考えさせる授業」 東京大学大学院教育学研究科
植阪友理
コンピテンシー・ベイスの授業づくり(5)国語科の本質に根ざした資質・能力の育成とコンテクスト 都留文科大学特任教授
鶴田清司
国語「書くこと」の実践(8)小学校6年生  筑波大学附属小学校教諭
二瓶弘行
国語「書くこと」の実践(9)中学生 お茶の水女子大学附属中学校教諭
宗我部 義則
先人に学ぶ「数学的考え方」小学校算数(7)高森敏夫著『定本・考える子供たち』より 青山学院大学教授
坪田 耕三
小中学校の理科(8)環境学習における課題研究「江川地区フィールドワーク」① 千葉県野田市立福田中学校教諭
柳 勝也
だんわしつ/探し物の時間を減らすための取り組み(収納の仕方) 大阪市立東小橋小学校教諭
安村晃子
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