- トップ
- 指導と評価
特集
学校文化
★学校のインプットが入学のときの生徒の資質Aで、アウトプットが卒業のときの生徒の資質Bである。資質AをBに変容させる力が学校効果であるが、その最も大きな要因が学校文化である。
★学校文化は学校建築、施設・設備などの物質文化についてもいうが、生徒の人間形成作用に大きな影響を及ぼすのは、校風や価値や規範などの意味的文化である。儀礼や儀式、シンボルなどはこのような学校文化を劇化し、強化する。
★学校文化を実効性あらしめるには、学校文化が教員文化にとどまることなく、生徒文化の中に定着することと、地域社会の中でのまなざしに定着する必要がある。そうすることで、学校文化は堅固なものとなり、生徒の社会化の大きな作用因となる。
学級文化-支持的な学級の雰囲気の大切さ、それを築くためには
★学級の個別的な心理社会的性質は学級風土とよばれ、支持的な風土の重要性が近年、多方面から指摘されている。
★本稿では、支持的な風土の重要性を示す歴史的な流れと、支持的な風土づくりの工夫について述べた。後者については、具体的な風土づくりのプロセスとして、①風土形成のポイントとなる行動など「ねらい」を定める、②子どもたちの考えを刺激し考えさせる、③繰り返し子どもたちにメッセージを伝える、④教師もモデルを示す、⑤子どもたちに行動の変化をフィードバックする、の過程を提案した。
共生社会に生きる子どもたちを育てる学校文化
★共生社会とは、障害の有無にかかわらず国民だれもが相互に人格と個性を尊重し支え合う社会であり、日本社会が目指すべき理念である。
★教育の真の目標と評価は、子どもが学校を卒業して後の時点でどんな行動をするかによって明らかにされ、証拠づけられるべきである。
★共生社会で国民に育てるべき能力は豊かな人間性と生きる力である。それはOECDの主要能力の先取りである。
★就労と職業的自立の促進は、共生社会における青少年育成施策の喫緊の課題である。
★学校を競争原理から解き放ち、助け合い支え合う共生文化を根づかせよう。
壁を越えたよりよい学校文化の発信
★この5年間、教育に関する法律等のいろいろな改正が行われた。しかし、学校は大きくは変わらない。それは、学校には独自の学校文化があるからである。
★この文化をつくり守っている学校の周りには、さまざまな文化がある。社会の文化、地域の文化、家庭の文化等々。これらの文化との融合や調整をいかにしていくかが、学校文化をよりよくしてことにつながっていく。
★学校は、さまざまな文化の世界からやって来た人の集合体である。それゆえに、人と人との間には隔たり(私は壁と呼んでいる)。学校にあるさまざまな壁、今回は教師と子どもの間にある壁、教師と保護者、教師どうしについての壁の対応について説明した。
よい学校文化を育てる
★文化は人の営みやつながりの中から生まれてくる。ならば、学校行事が、学校文化や生徒文化の形成に重要な役割を担っているはずである。この観点から、学校行事を中心に学校文化について、以下の展開で考察してみた。①学校行事を学業と対比させ、「潜在的なカリキュラム」と位置づける。②学校行事の特徴と役割(教育的効果)について、具体的に検証する。③学校行事が生徒個人の人格形成に大きく関わり、結果として学校文化に大きく寄与していることを検証する。④学校行事を通して学校文化を育てるために、学校ができる環境整備について提案する。
「よい学級文化」を育てる-小学校
★「学級文化」は、学級を構成する子どもや教師の人柄や思いなどさまざまな要素がかかわり合って生まれるものである。その中で、教師は目指す学級像や子ども像を掲げ、よりよい学級へ導こうと日々努力している。その働きかけが結果的に「学級文化」をつくり出している。
★私がねらっている、「学級集団の中で個と個が学び合いながら互いに高まっていくこと」が「学級文化」として定着するように、具体的に取り組んでいる実践を紹介する。①ペンネームを使い、子どもの作品を教材として活用すること。 ②節
目ごとに自己の振り返りや目標をカードに記入し、互いに読み合うこと。③互いの考えや発言を生かして学習できるように、ハンドサインを活用すること。④考え方や表し方が学び合えるように、互いのノートを見ること。
★紹介した実践のほか、子どどうし、教師と子どもの良好な関係づくりが、「学級文化」を支える根本である。
よい学級文化を育てる教師とは-中学校
★「よい学級」とは、教師の「理念」が具現化した姿である。そして、それは安心感のある学級、居心地がいい学級、自己肯定感が高まる学級である。
★「よい学級文化」を創造する教師は、生徒の幸せを喜び、不幸を悲しむことができる。学習規律を大切にしながらも、失敗や間違いに対して寛大になれる。そんなバランス感覚をもっている。
★本稿では、Xという若年教師の取組みを紹介する。その実践は、「地球市民の方程式」の三要素で意味づけることができる。彼は、それらを活かし、生徒たちと真正面から向き合い、先輩からさまざまなことを学んで、「学級文化」を創りあげていく。
連載
学校で取り組む特別支援教育(3)特別支援教育コーディネーターとしての役割 | 東京都立中野特別支援学校主任教諭 星井純子 |
---|---|
坪田耕三先生の基礎・基本を学ぶ小学校算数の授業づくり 「わかる」と「できる」基礎・基本の考え方(66)-小学校6年、メートル法 | 青山学院大学教授 坪田 耕三 |
これからの小学校国語の授業づくり(9)「読むこと」3年生-説明文 | 筑波大学附属小学校教諭 白石 範孝 |
自己の生き方を育てる学校教育(10)「子どもたちの未来を拓き、学校を変革する枠組みとしてのキャリア教育」 | 筑波大学教授 藤田 晃之 明治大学教授 諸富 祥彦 |
思考力・判断力・表現力を育てるパフォーマンス課題(3)英語科におけるパフォーマンス課題と「本質的な問い」 | 立命館大学准教授 赤沢真世 |
中学校外国語科の評価(9)「書くこと」の言語活動とその評価2 | さいたま市立南浦和中学校教頭 柳澤登紀男 |
学校の法律相談(9)校外に持ち出した個人情報の漏洩 | 国立教育政策研究所名誉所員 菱村 幸彦 |
小学校英語活動のポイント(32)PDCAサイクルによる「外国語活動」の運営の在り方と方法-その12(指導の基本2) | 国立教育政策研究所名誉所員・2014年度戸田市英語教育運営指導委員会委員長 渡邉 寛治 |
だんわしつ/東日本大震災からの教育の再建―集団の力を生かしてー | 岩手県釜石市立釜石中学校教諭 佐藤謙二 |
ひとりごと/生きがい | 元公立中学校教諭 吉冨 久人 |