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特集
<参考資料>をどう受けとめ、どう生かすか
★<参考資料>は、国としては始めて本格的な評価基準の作成に着手したものであり、その意義は大きい。
★評価基準の作成の前に、どのような評価のフレームワークを前提にして作成するかを検討すべきである。
★「知識・理解」の観点にはドメイン準拠評価、その他の観点にはスタンダード準拠評価が適合する。
★発達段階を示した評価基準の体系化が必要であり、課題別の評価基準よりも一般的な評価基準の設定が望ましい。
英語:<参考資料>をどう読み、どう生かすか
★参考資料は観点別学習状況の評価と指導の改善を目指すものであり、そのためには参考資料に示された考え方を理解することが重要である。
★評価の過程は、評価の観点の趣旨の的確な理解に基づく評価基準の設定に始まり、その評価結果は達成しているのか達成していないかの判断の蓄積によって行う。さらに、単元毎にその総括によって観点別学習状況の評価を行う。
★評価の妥当性や信頼性を高めるには、今後評価情報の共有や評価方法の工夫・改善が求められる。具体的には、評価方法の多様化と標準化が一層必要となるといえる。
英語:<参考資料>をどう生かすか
★「評価の観点及びその趣旨」は、学習指導要領の教科目標を観点ごとに評価するためにわかりやすく整理したものといえる。
★「内容のまとまりごとの評価基準及びその具体例」では、具体的な評価事例を示してほしかった。
★英語科には「単元」ごとの評価はなじまないので、「技能」ごとに特化した評価計画と評価活動を考えた方がよい。
★技能ごとの視点から見た評価専用場面(実技テスト)の具体例を紹介する。
★評価者間の判断基準のちがいの是正、定期テストの改善、指導の充実を図ることが、適切な評価を行うために大切である。
英語:<参考資料>をどう受けとめ、どう生かすか
★英語の評価では、学習者の外国語の知識・技能がほとんど無いレベルから、ネイティブスピーカーなみのレベルまでを、「熟達度の連続体」に定義し、それを目標基準に用いる目標基準準拠評価が増えている。
★<参考資料>の「第9章 外国語」は、こうした評価法を示していない。<参考資料>の評価法は、学習者が単元の指導目標や内容を習得したかどうかの判定を重視する「マスタリーCR]的である。
★「評定」を高校入試の調査書で活用する中学校英語の場合は、「熟達度の連続体」に照らす目標基準準拠評価を、選抜を実施する都道府県で同一に実施する方向に、<参考資料>を生かす必要がある。
保健体育:<参考資料>をどう読み、どう生かすか
★これからの保健体育かの学習は、指導と評価の一体化を踏まえて学習指導の過程における評価の工夫を一層すすめることが大切になってくる。
★保健体育科における内容のまとまりごとの評価基準及びその具体例の作成は、学習指導要領の目標・内容・評価の観点及びその趣旨との関連を図って作成している。
★評価規準の具体例作成にあたっては、それぞれの観点でとらえる具体的な学びの姿を的確に表現するとこが大切である。また、各観点の評価規準の具体例における視点を踏まえることは的確な表現を助ける。例えば、関心・意欲・態度の体育分野では、「運動の楽しさ」「協力・公正」「安全」があり、保健分野では「見える姿としての状況」と「観察だけでは見えない内面に関わるもの」とがある。
★内容のまとまりごとの評価規準及びその具体例の活用にあたっては、設定した評価規準が妥当であったか、学習の実現状況のとらえ方が妥当であったか、評定への総括の手順や方法が妥当であったかといったことの検討が重要である。これらの検討により評価規準の改善を行い、指導と評価の一体化を踏まえて目標に準拠した評価をより一層進めることが重要である。
保健体育:<参考資料>をどう生かすか(小学校) 教育現場とのギャップを考える
★評価のための評価にならないように、評価方法の簡便性を意識し、授業展開の効率化とその工夫を図るべきである。
★関心・意欲・態度については、評価のもとになる子供の姿がはっきりとイメージできるような工夫が大切である。
★運動技能に関する評価規準は「B」評価の子供の達成レベルを具体的に考える発想を大切にしたい。
★自分にあった力で楽しむ能力を評価するだけではなく、積極的にできそうな技に挑戦する思いや意気込みを評価すべきである。
保健体育:<参考資料>をどう生かすか(中学校)
★参考資料は、指導と評価を一体化した指導計画を示しており、ややもすると固定化しやすい単元構成を見直すきっかけとなる。
★一方で問題点も指摘されている。例えば、危機管理のための学校現場に必要な時間的余裕を奪うおそれがあること、主観的な判断が入り込む余地が多分にある評価規準の表現などである。そうした問題点を認識しながらその運用にあたる必要がある。
★参考資料を生かしながら「体つくり運動」領域をどのように構成するかを、本校のトレーニング単元を紹介し、評価規準作成の資料提供とする。
連載
教育評価再入門(9) 「学校の教育責任と学力調査」 | 国立教育政策研究所名誉所員 菱村 幸彦 |
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総合的な学習を支援するメディア活用(8) 「総合的な学習でメディアを活用する際の注意」 | 甲南女子大学教授 村川 雅弘 |
教科の基礎・基本(24) 中学校英語科(3) | 筑波大学附属駒場中・高校教諭 久保野 雅史 |
目標準拠評価の評価規準の体系化の方策(9) 「学習内容に沿った評価基準の例ー国語の読むことと書くことー」 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
目標準拠評価を押し進めるために(1) 「レポートの評価」 | 二葉看護学院ほか非常勤講師 小田 勝己 |
標準学力検査を活用した教育実践(7) 「教育研究所にとっての標準学力検査(NRT)の活用実践と課題」 | 山形県南陽市立梨郷小学校長 淀野 秀樹 |
だんわしつ | 日本教育カウンセラー協会総務委員長 岸 俊彦 |
ひとりごと | 元公立中学校教諭 吉冨 久人 |