月刊誌 指導と評価

2001年 12月号
  1. 2001年 12月号 Vol.47-12 No.563  定価:450円
特集
新しい通信簿
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特集

通信簿改訂の現状と改訂のポイント

文教大学学園長・応用教育研究所所長  石田 恒好

★改訂作業の進め方には、市町村として統一する場合と学校として行う場合とがある。前者は、指導要録に近いものが多く、後者に独創的なものが多い。小・中学校別では、小学校に独創的なものが多い。理由は高校入試である。

★作り方で教育のあり方、学校の教育方針が示される。教育のあり方は指導要録に拠っており、教育方針はスペースと位置で具現化されている。

★児童生徒も評価者、記入者になり、学習と評価の一本化が進められている。

★説明責任が果たせるように、ファイルによって、資料の区別化と蓄積が行われている。

★受け手である保護者が改訂作業に参加し、さらに評価者、記入者にもなりつつある。

新しい通信簿の様式と考え方   通知表改訂で教育評価を問い直す

大分市立大東中学校教諭  伊勢 博子

★通知表改訂は、教育評価全体のあり方を見直す好機である。まず、学校教育目標を見直すとともに、これまでの評価活動を見直すことから始めたい。

★評価は、今後の改善につながるものであるはずだ。最も大切なのは、日常の教育活動、評価活動の改善である。各教科の評定が目標準拠評価になるので評価基準表づくりを進めているが、これは指導の目標になるものだ。指導過程では指導と評価の一本化を図り、通知表には励ましになる内容、改善に必要な内容を明記すべきだ。

★「生活の様子」についても、評価規準を明確にして十分な情報を集めることが大切だ。生徒の自己評価も独立した枠を設け、教師の評価と比較しながら保護者と生徒のコミュニケーションも図り、改善に生かしたい。

★「総合的な学習の評価」は、その活動にかかわった教師等が、そのつど補助簿に具体的な事実を記入しておき、良い点を積極的に文章記述したい。

新しい通信簿の様式と考え方   総合的な学習を中心に

兵庫県宝塚市立西谷小学校教諭  岩崎 純子

★本校では、通知表に総合学習の自己評価と教師評価を添付している。

★総合学習の評価は、児童が客観的に自分を見つめ直す場であるとともに、教師の思いや願いが反映されているものでなくてはならない。

★総合学習は教師の願いと子どもの夢から創造していく学習である。児童の評価活動は学習を進めながら節目節目に振り返るものであるから、年度初めに自己評価カードを一年分刷り上げてしまうものではない。

新しい通信簿の様式と考え方   到達度評価をとり入れた教科の通知票

新潟県新井市立新井中学校長  林 尚彦

★本校は、達成度評価をはじめとする評価の見直しにより、学習改善を行ってきた。その実践の中で、保護者、生徒との評価の共有という点から通知票「しるべ」、自己評価の通知票「鑑(かがみ)」の改善を行ってきた。

★「しるべ」は、達成度評価を保護者に少しでも理解してもらえるよう、評価の考えや見方の欄を設けるなどの工夫をした。

★「鑑」は、自分を振り返り、今後の生活が充実したものになるよう、活動領域毎の評価や教育期に基づく評価を取り入れるなどの工夫をした。

新しい通信簿の様式と考え方   私の考える通信簿

静岡県浜松市立中ノ町小学校校長  小野間 正巳

★学校と家庭、教師と保護者とを、子どもを中心としてつなぐ連絡機能としての「通信簿」は、「生きる力」に結びついた評価を大切にする。

★通信簿は

1.学習のプロセスを大切にする。

2.学習の見通しがもてる言葉による評価をする。

3.子どものよさを見取りのばす評価をする。

4.自己評価を取り入れることが可能なものにしたい。

★子ども一人一人の学習の過程や成果、進歩の状況などを適切に評価したことが書かれた通信簿としたい。

★通信簿の評価の視点として、

1.子どものつぶやき、表情、発言などの多面的な表れ

2.絵や文、学習カードやノート、レポートなどの作品

3.ポートフォリオを取り入れたものにしたい。

連載

新しい観点別評価のポイント(5)   小学校生活科 文教大学教授
嶋野 道弘
新しい観点別評価のポイント(5)   中学校外国語科 文部科学省教育課程課教科調査官・国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官
平田 和人
パフォーマンス評価の実践的研究(8)   美術科 前筑波大学附属中学校教諭
生江 洋一
新指導要録における「観点別学習状況」「評定」の評価基準についてのアンケート結果 (財)応用教育研究所
「自己修正」を軸とした学びのデザイン 二葉看護学院ほか非常勤講師
小田 勝己
だんわしつ 応用教育研究所理事長・筑波大学名誉教授
櫻井 茂男
ひとりごと 元公立中学校教諭
吉冨 久人
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