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特集
主体的・対話的で深い学びを授業で実践する-社会-
★①社会科における主体的・対話的で深い学びは、知識と知的操作の過程からとらえることができる。いうまでもなく、②社会科は膨大な知識(学習内容)が対象となる。従来、その知識を思考・判断・表現と関係づけて説明していなかったことが問題である。③教師が授業前にすべきことは、到達する知識の構造と、問いに対する回答を一致させることであり、④何が獲得できているのか・いないかを単元や題材のまとまりの中で見取ることである。その際、情意・態度面における主体的特性・行動の見取りとの混同は注意したい。⑤そうした学びの成果は、どれだけ社会を説明し、自分や集団とのかかわりで考えを述べることができるのか、から判断できよう。
小学校社会
★「主体的・対話的で深い学び」は、「なぜ?」「どちらがよいのか?」「どうすればよいのか?」といった「概念等に関わる知識を問う学習問題」を成立させることが必要不可欠である。学習問題を子どもたち自らが見いだし、追究できるようにするためには、「おかしいよ!」「ひどい!」「えっ、そんなに?」「私はこっちの立場なんだけど…」という声がわき出るような「事実とのインパクトのある出会い」を「演出」(教材提示や発問の工夫)すること、そして、子どもたち一人ひとりの中にある「情意」と「知識」の行き来を促すために、事実をじっくりと見つめる時間を保障することが大切であることを、5年『自然災害とともに生きる~釜石の「安心の砦」~』の学習問題づくりの場面を通して提案する。
「主体的・対話的で深い学び」を実現する 中学校社会科地理的分野の学習指導の工夫-世界の諸地域 アフリカを例に-
★中学校社会科地理的分野で主体的・対話的で深い学びを実現するためには、①問題解決的な視点を入れる、②そのためにはESDの視点を入れる、③個別的知識でなく、「見方・考え方」を働かせて、より質の高い概念的知識を踏まえて、価値判断や意思決定するような学習指導を行う、④単元のまとめや「振り返り」を通して、資質・能力がどの程度、育成されたのかをとらえることが有効である。
★問題解決を考える学習を通して、地理的な見方・考え方を養うとともに批判的思考力、協力する態度や社会参画する態度といった資質・能力を育成する。
★問題解決にあたっては、個人個人の考えを尊重しながら、多様な考えの人々と話し合い、合意形成を図るような学習を日ごろから行うことが大切である。
主体的・対話的で深い学びを授業で実践する-理科
★理科の学びで何よりも大切なことは,児童生徒自身の問題意識である。なんとしても答えを知りたいと思う「問い」をもてるように支援することが,主体的な学びには必須である。さらに,その問いが身近な生活やグローバルな文脈から生まれたものであれば,科学的な観察・実験から得られた知識を活用して答えを出すことができる。学びを「深い」ものにするためには,多様な知識が結びつく場面の存在が鍵となる。観察・実験を中心とする問題解決や探究においても,文脈的な問題解決においても,目の前にある事実と,すでに知られた普遍的知識に基づいて理由づけられた主張を行い,周囲と対話することが重要である。
小学校理科-「深い学び」を促す活用課題と説明活動
★小学校学習指導要領解説理科編では、「深い学び」の解説に、「理科の見方・考え方を働かせながら問題解決の過程を通して学ぶこと」という前提が例示された。このことは、教科の目標にも示されているので、たいへん重要である。
★従来の授業でも、見方・考え方を働かせて活動に取り組めた児童もいたが、一方で、働かせることができずに活動がとどこおった児童もいた。この原因は、児童の主体性を尊重するあまり、結果的には児童任せに陥ってしまったからだ。
★今回の改訂によって、目標に前述の前提が明記されたからには、授業の入口では、どの児童も見方・考え方を働かせることが可能となる状況設定が不可欠だ。そして、授業の出口では、見方・考え方を働かせた深い学びの実現に向けた取組が必要となる。教師の役割は大きい。
中学校理科-「深い学び」を実現する授業のあり方
★「深い学び」が実現するには、根拠をもった自分の考えをもたせる指導が重要である。自分の考えをもたせるには「私考」ノートの活用が有効であり、実験や観察の前には、予想や仮説を立てさせ、それを分かりやすく説明する場面を設ける。この活動によって自分の考えを整理し、学習経験や生活体験に裏付けられた自信をもった考えがつくられていく。自信をもった考えは、他者と共有したくなり、考えの道筋を確認し合ったり、根拠を修正したりする場面がつくられ、多面的な見方や考え方も養われていく。自分の考えをもつことで、事象を深くとらえ直し、質の高い理解へつながる。このような「深い学び」は、必然的に主体的で対話的な学習となっている。
主体的・対話的で深い学びを授業で実践する-英語
★本節では、外国語教育における主体的・対話的で深い学びについて概説する。主体的な学びとは、外国語を学ぶことに興味や関心を持ち、見通しを持ちながら言語活動を行い、さらに自らの学習を振り返り、次の学習につなげられるような学びのことである。対話的な学びとは、他者との対話を通して、英語の知識及び技能に関して学んだり、自己の考えを更新したりすることである。深い学びとは、学習内容を深く理解し、外国語によるコミュニケーションを図るための資質・能力が総合的に育成されていることである。主体的・対話的で深い学びの実現の点から、授業を構想したり、振り返ったりすることが重要である。
小学校外国語-言語活動を見直し、深い学びにつなげよう!
★深い学びは、主体的な学び、対話的な学びによって生まれる。
★英語における深い学びは、言語知識が関連付けられたり、言語活動を通じて、言語使用の意味が体験的に理解できたりしたときに生まれる。
★そのためには、いまある言語活動を見直し、「意味のある言語活動」、「相手意識を持った言語活動」等、「コミュニケーションを行う目的や場面、状況」を意識した言語活動が望まれる。
中学校外国語 教科書題材を活かした深い学び-発問を通して生徒の思考を深める-
★文法や語彙の学習のために教科書を用いるのではなく、教科書題材の内容理解を深める指導の過程で文法や語彙を習得していく授業を目指す必要がある。
★3つの発問 ①事実確認の発問(fact-finding questions)②推論の発問(inferential questions)③生徒自身の考えや態度を引き出す発問(evaluative questions)を組み合わせることで、生徒のより深い内容理解を促す指導になる。
★生徒それぞれが本文の内容理解の過程で考えた意見を英語で発信することで、深めた思考を表現する力を養うことができ、深い学びの評価を行うことが可能になる。
連載
巻頭言「主体的・対話的で深い学び」で思ったこと | 応用教育研究所所長 石田 恒好 |
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「教師力」アップセミナー(8)道徳科の授業を考える | 帝京平成大学教授 白鳥 信義 |
QUを活用したPDCAサイクルの推進(8)PDCAサイクルの展開を継続していくポイント(3)個人と組織の関係 | 東京福祉大学助教 河村 明和 |
説明文・意見文を書くことの指導(8)ロジカル・ライティングで意見文を書く-中学校 | 名古屋大学教育学部附属中・高等学校教諭 瀬古淳祐 |
『きめる』学びで知的にたくましい子どもを育てる-主体的・対話的で深い学びを実現する授業づくり-(8)家庭科における「きめる」学び | 筑波大学附属小学校教諭 横山みどり |
新教育課程の評価を考える(19)美術・音楽の「鑑賞」の評価基準 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
特別支援教育に生かすペアレンティング(8)お互いを尊重して協力しあう体制・役割分担(2) | 子育て科学アクシススタッフ 上岡勇二 |
構成的グループエンカウンター再入門(9)道徳の授業にエンカウンターを取り入れ体験的な気付きを促す | 富山県高岡市立定塚小学校教諭 高島英公子 |
コミュニティにおけるガイダンスカウンセリングの展開(8)学生相談カウンセラーとしてのガイダンスカウンセリング~大学コミュニティにおけるの学内外の連携と協働~ | 立正大学主任カウンセラー 住沢佳子 |
成熟した学習者をめざして(7)やる気を調整する | 名古屋大学大学院博士課程 遠藤志乃 |
これからのキャリア教育(8)小学校におけるキャリア教育への期待と実践のポイント | 筑波大学教授 藤田 晃之 |
講座カウンセリング心理学(8)カウンセリング心理学研究法の主要考慮事項 | 東京成徳大学名誉教授 國分 康孝 |
教育統計・測定入門(71)母数の推定値の不変性 | 法政大学教授 服部 環 |