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特集
評価資料の収集のあり方
★二学期の学校で通信簿の発行回数を増やすよう保護者から要望があり、学期の中間で十分な資料を収集して発行することが考えられている。また、指導と評価の一体化のために、単元の途中と終わりでも行われ始めている。
★目標には、それぞれ適した測定技術がある。適合関係を知り適切な技術を選んで、作成したい。なお、目標が具体的に記述されれば、そこに測定の仕方、場面も示される。測定技術の選択、作成には、目標の具体化が肝心要である。
★測定技術には、それぞれ長所、短所、作成上の留意点がある。それに精通して、作成、実施したい。自作のためにも、市販されているものを採用するためにも、必要な眼力である。
評価資料収集技法としてのテスト法
★評価資料収集の技法の一つとしてテスト法がある。作問の仕方により、論文体テスト法、客観テスト法、問題場面テスト法などの分類がある。客観テスト法には、再生形式と再認形式があり、さらに再生形式には、単純再生法、完成法、訂正法、配列法があり、再認形式には、真偽法、多肢選択法、組み合わせ法、選択完成法がある。
★テストの分類には、教師自作テスト、標準学力検査、市販テストという、作成者などによる分類もある。教師自作テストは、教師が作成し、市販されていないもの、標準学力検査と市販テストは、教師以外が作成し、市販されているものである。教師自作テストと市販テストは標準化されていないもの、標準学力検査は標準化されているものである。
ペーパーテストの上手な作り方と使い方 科学的思考(思考・判断)の評価
★きめ細やかな評価の必要性は認識されているものの、学校現場で教師のおかれている現状を考えると、各教科指導において評価に割ける時間は非常に少ない。その意味でも定期考査におけるペーパーテストによる評価の工夫が重要になる。
★ペーパーテストによる評価では、「知識・理解」の評価問題は作成しやすい。一方「関心・意欲・態度」や「科学的思考(思考・判断)」の作問はむずかしいのが現実である。
★「関心・意欲・態度」の作問にあたっては「日常生活とのつながり」を考慮した問題や、理科でいえば「科学史」に関する問題とし、「科学的思考(思考・判断)」に関するものでは、「知識・理解」の内容を複数組み合わせて答える問題として割り切るものとする。
観察による評価
★観察による評価は、教師であればだれもが日常的に行っている身近な評価法である。この評価法には、いつでもどこでも、だれに対してもできるというよさや、その場で指導や支援に生かせるというよさがある。
★逸話記録法には、一人一人の学びや育ちを生き生きと伝えてくれるよさがあり、評定法には、組織的に観察評価できるよさがある。
★観察による評価の活用については、すぐに指導や支援に生かすこと、通信簿や指導要録の作成に生かすこと、子どもとの人間関係づくりに生かすことに留意したい。
パフォーマンスの評価
★文脈の中で知識やスキルを使いこなす能力を評価するには、パフォーマンスの評価が必要となる。リアルな文脈の中で知識やスキルを応用・総合しつつ、何らかの実践を行うことを求める課題を、パフォーマンス課題という。
★パフォーマンス課題を授業に取り入れる場合は、単元の中核となる内容(「原理と一般化」)に対応させることが重要である。また、単元のしめくくりまでに、パフォーマンス課題に必要な力を身につけさせることができるよう、指導を「構造化」することが求められる。
★パフォーマンス課題の評価についても、評価者の訓練、評価者間の討議、評価基準の共通理解、事例集の提供、評価機関による調査や結果の承認など、さまざまな手だて(モデレーション)を行うことによって、比較可能性を確保することができる。
パフォーマンス評価のあいまいさを克服する-美術- 授業前後の評価情報を共有する
★パフォーマンス課題と評価の頻度がきわめて高い美術科の場合、あいまいさを克服するためには、評価指標の明示もさることながら、それ以前の問題として、教科の特質を理解してもらう努力が必要だ。生徒にとっては評価情報の共有が、そのまま学習課題の明確化や、学習に取り組む意欲の向上につながるように配慮したい。
パフォーマンス評価のあいまいさを克服する-音楽-
★音楽科においては、作曲者や作詞者の表現したいことを自分なりに受けとめて、表現しようとすることは重要である。それができているかどうかを評価するパフォーマンス評価は、とても有効である。しかし、その評価は、生徒の内面を評価しようとするものであり、あいまいな点を含む。
★実践の中で、生徒が表現したことを、受けとめる教師側の評価と、表現の主体である生徒の自己評価を用いた。それらを関連させ、生徒と話し合うことにより、生徒の内面をくみ取った、より適正な評価をめざしている。
ポートフォリオ評価の登場と特徴
★ポートフォリオ評価は、ファイルに学習の成果を保存することが最も基本的な特徴である。
★ファイルに保存する学習の成果を選択するには、評価基準が必要である。
★ポートフォリオ評価の実施過程に生徒を参加させることは望ましいことではあるが、実際にはかなりの長期の指導を要する。
★実際の労力を考えると、能力や技能の長期的な変化をとらえるために、ポートフォリオ評価を用いることが適切であろう。
連載
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教育評価の基礎・基本(8) 評価情報の要約、記入、管理-指導要録- | 文教大学学園長・応用教育研究所所長 石田 恒好 |
授業をつくる(14)中学校技術科 より適切な経験をめざす授業をつくる | 筑波大学附属中学校教諭 佐俣 純 |
望ましい全国学力調査のあり方考える(1) APU調査の全般的な特徴 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
ペーパーテストで思考力・表現力を測る(6) 中学校数学(1) | 岩手県教育委員会主任指導主事 立花 正男 |
私の教育評価実践(11) SETによる意欲と効力感の診断 | 奈良県橿原市立真菅小学校教諭 森山 幸恵 大阪教育大学名誉教授 北尾 倫彦 |
どうする?小学校英語(22) 小学校英語活動の評価のあり方 | 国立教育政策研究所名誉所員・2014年度戸田市英語教育運営指導委員会委員長 渡邉 寛治 |
だんわしつ 授業に目玉を | 東北福祉大学特任教授 有田 和正 |
ひとりごと | 元公立中学校教諭 吉冨 久人 |