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特集
<参考資料>をどう受けとめ、どう生かすか 目標に準拠した評価を定着させるために
★マスコミの報道で「絶対評価」の主観性が強調される中で、「相対評価」の復活が危惧される。それを防ぐためには、文字通り「目標に準拠した評価が「アカウンタビリティー」の要件を保持すべきである。
★「観点別評価」と「評定」の関係は、「分析」と「統合」の関係、さらには「関心・意欲・態度」の位置づけをどのように考えるのかによって、決定されてくる。
★「評価規準」の設定主体と方法に関しては、中間組織が必要であり、教育実践のレベルを意識した、二つの方法、すなわち(評価規準の)表づくりと実践のレベルからの洗い出しを自覚しておくべきである。
理科:<参考資料>をどう読み、どう生かすか
★小学校理科の<参考資料>について、次の順序で検討した。
(1)評価の観点及びその趣旨について、その内容を検討する。
(2)評価規準について、その構造と内容を検討する。
(3)単元の評価に関する事例について、目標、評価規準、指導と評価の計画、観点別評価の進め方について検討する。
★評価規準に示されている「十分満足できる状況」の子どもの姿を拠り所にしながら、評価方法を駆使して、「努力を要する状況」の子どもを速やかに支援すると共に、「十分満足できる状況」の子どもに対してより発展的な指導を工夫することも考えられる。
理科:<参考資料>をどう生かすか(小学校)
★理科学習では、自然を愛する心と科学的な見方・考え方をもち、自ら問題を見つけ、問題を解決していく力を児童にどのように培っていくのかが大きな課題である。<参考資料>をどのように読み、捉え、毎日の授業で具現化していくのか。<参考資料>を基にしながら、理科の評価とその趣旨から次の3点について考察する。
(1)<参考資料>に記載されている評価の捉え
(2)理科の特性を生かした評価のあり方
(3)参考資料を基にして行った評価活動の実際(6年「ものの燃え方」)
理科:<参考資料>をどう生かすか(中学校)
★<参考資料>の研究開発にあたって留意した点を吟味してみた。その結果、情意面の評価はある程度の客観的指針がなければ、かなり主観的判断になる心配があることがわかった。また、「関心」「意欲」「態度」を評価するタイミングについても考慮する必要がある。
★「指導と評価の一体化」を図る方法については、「指導と評価の計画」に示された表が指針となる。
★信頼性のある評価を求めることと、教員にとって過大な負担とならない評価を求めることは相反するその折り合いは課題である。
★<参考資料>をもとに、観点別の評価基準表や評価・評定の算出システムが作成できる。
理科:<参考資料>をどう受けとめ、どう生かすか
★理科事例における<参考資料>の意図の達成状況と理科事例の実践可能性及びその課題を検討し、次の6点を指摘した。
1.こうした事例開発の手続きやプロセスについての解説が必要である。
2.「観点別評価の進め方」は「評価の実際」が詳細に説明されている。
3.総括の仕方にはされに検討を要すること。
4.単元における評価が、観点別の評価の総和として得られるのか、という根本的な検討が必要である。
5.指導と評価の一体化の実現と教員の負担の軽減という相対する要請に応えるには、評価方法の一層の工夫改善が求められる。
6.児童生徒の自己評価や児童生徒同士の相互評価の事例が欠けている。
技術家庭:<参考資料>をどう読み、どう生かすか
★家庭科教育では、子ども一人一人が家庭科の基礎・基本(学習指導要領に示された基礎的・基本的な内容)を明確に身につけ、家庭科の目標を実現することが求められており、あたらしい指導・評価観に立って授業を変革・充実することがこれからの課題である。
★家庭科の力を「家庭生活への関心・意欲・態度」「生活を創意工夫する能力」「生活の技能」「家庭生活についての知識・理科」の4つの側面から捉えて評価する。その評価を客観的で信頼できるものにすること、そして指導に生かすことが重要である。
★「目標に準拠した評価」を重視していく上で、題材の指導目標を明確にすること、その目標が実現されたというのはどういう状況なのかを具体的に想定しておくこと、実現されたかどうかを判断する方法を事前に準備しておくとこが必要である。
技術家庭:<参考資料>をどう生かすか(小学校)
★評価を考えることは、教育の全体像を描き出すことである。評価は子どもが伸びていくために、また指導に生かすためにある。
★<参考資料>には、評価規準設定のプロセスが詳しく示されていてわかりやすいが、観点別評価では、より具体化して子どもの姿で捉えておく必要がある。特に、「生活の技能」については2年間のどこで、何を、どこまで身につけるか、年間学習指導計画に位置づけるようにする。
★評価方法は、簡単で、日常の活動に組み込んで継続でき、子どもに返せるものを工夫する。授業ノートはその一例である。
★自己評価力を育てるために、学習の途中での評価と、長いスパンでの評価を大切にしたい。
技術家庭:<参考資料>をどう生かすか(中学校)
★相対評価でなくなった利点を生かすべきである。絶対評価になれば、これまでの相対評価による無理のある序列化をせずに、生徒の努力と成果がそのまま評価に表れるようになる。
★しかし現状では、<客観性>の名の下に<点数化>や一層の<序列化>を進めることになりはしまいかと危惧する。
★教師の求められていることは、学習への関心・意欲・態度を高める授業実践の工夫である。授業を通じて生徒・保護者の信頼を得る努力をすることだ。
★生徒・保護者・教師の信頼関係を築くには、どのような指導をされているか、何を評価されるのかがわかる工夫をすることが必要である。
連載
教育評価再入門(8) 「評価目標と評価方法-認知に関する理論を中心に」 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
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総合的な学習を支援するメディア活用(7) インターネットの多様な活用 | 宮崎大学附属小学校副校長 伊東 信一 |
教科の基礎・基本(23) 中学校英語科(2) | 筑波大学附属駒場中・高校教諭 久保野 雅史 |
目標準拠評価の評価規準の体系化の方策(8) 「学習内容に沿った評価規準の例-保健体育-」 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
アメリカの通信教育(5) 教員不足で危ぶまれる教育改革 | 教育臨床研究機構理事長 中野 良顯 |
標準学力検査を活用した実践教育(6) 学力の形成指導と情報開示にNRTとCRTを活用 | 広島竹原市立竹原中学校教諭 今川 卓爾 |
だんわしつ | 鎌倉 千代子 |
ひとりごと | 元公立中学校教諭 吉冨 久人 |