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特集
学ぶ楽しさ
★学ぶ楽しさは3つある。一つは「学んでいるときに感じる楽しさ」で、おもに興味・関心(好奇心)があって学んでいるときに感じる楽しさである。二つ目は「学びの結果として感じる楽しさ」で、学んでいるときは楽しくなくても、学びの結果として内容が理解できたり、課題が達成できたりして学びが楽しいと感じるものである。三つ目は「学びにかかわる人によってもたらされる楽しさ」で、好きな教師に教えてもらったり、気が合う級友と一緒に学んだりするときに感じる楽しさである。いずれにしても学びが楽しければ、学びはスムーズに進む。
学ぶ楽しさを感じる授業をつくる
★教師力・授業力といった概念をきちんと整理することが重要である。
★授業の楽しさを創り出すものは何なのかを理解して実際の授業に臨む必要がある。
★子どもの未来を切り開く行為が授業である。
★教師は、教える専門家であると同時に、学びの専門家である必要がある。
苦しさ=楽しさとしてのことばの学び
★教師の子どもに対する信頼と共感的理解とによって形成される受容(acceptance)の姿勢は、子どもたちが自己主導(self-direction)として自らの学びを創造する場を促進し、深く意味ある学びを実現させる。
★「自己主導」として子どもが味わう学びの「楽しさ」は、ある種の「苦しさ」を伴うことを意識しておく必要がある。
★学びを「面白くする」ことは本人以外の人間にもできるが、「楽しくする」ことは本人にしか実現できない内的な感動である。この感動を「自己主導」として経験すべきことばの学びは、「きくこと」の徹底が基本である。
学ぶ楽しさを感じられる中学校数学の授業
★生徒の実態を把握し、生徒のつまずきを意識して授業を行う。
★授業の導入では、生徒に「なぜ?どうして?」「え?本当なの?」といった疑問や課題意識をもたせる課題提示を行う。
★考える力や態度を育てることが大切である。そのためには、毎時間の授業で、知識や技能、数学的な見方や考え方を使って考えさせる課題や発問をし、問題を解決させる。
★入試問題の中にも、授業の課題となる素材があるので、入試問題にも目を向けておく。
コミュニケーション能力の育成のために-Successful Learnersの特徴からの示唆
★言語学習に成功する学習者をSuccessful Learners (SL)あるいはGood Language Learnersと呼ぶ。本格的な研究は、Joan Rubin (1975)の“What the ‘Good Language Learner’ can teach us.”から始まったと言われる。現在では、動機、年齢、学習スタイル、個性、性別、学習方略、自立性、ビリーフ、文化、態度といった学習者要因との関係から、また語彙、文法、言語機能、発音、聞くこと、話すこと、読むこと、書くこと、教授方法、方略指導,誤答訂正、タスク等の学習要因との関係からSLの特徴を浮き彫りにする研究が行われている。筆者は、英米文学科新1年生(約300名)を対象に過去15年間、英語学力(TOEFL),学習方略(SILL),英語学習意識の相互の関係を横断的且つ縦断的に研究してきたが、その中でSLと考えられる学習者には一定の共通特徴があることを知り得た。本稿では、その特徴のいくつかを紹介し、その上で中学生である学習者が将来SLになるために必要な教授上の留意点について意見を述べたい。
「学ぶ楽しさ」理科
★学習活動において、生徒が「楽しい」と感じるのは、「そのものの持つよさ」を味わい、満足感や充足感、成就感や達成感を得、感動した時である。「学ぶ楽しさ」を味わっている生徒は、きらきらした目つきに変わり、何かに駆り立てられ、心が動かされたように行動する。これは、教師も同じである。
★『「学ぶこと」「知ること」は本来楽しいことである。』教師がこれを持ち続けていれば、「学ぶ楽しさ」のヒントは、身の回りにたくさんあることに気づく。そして、自ら身をもって「学ぶ楽しさ」を伝えていく。これが理科教師の役目である。
社会科好きの生徒を育てるには
★戦後に生まれた社会科は、一貫して公民的資質を養うことを教科の目標としてきた。それは、歴史は過去に起こったことを学び、地理は他の国や地域やそこで生活している人々の生き方などを学ぶことによって、自分が住んでいる国や地域をよりよくすることのできる資質や能力を育成することになるからである。しかし、社会科を学習する意義が見いだせなかったり、授業が面白くなかったり、わかりにくかったりすれば、生徒の学習意欲は低下し、よりよい社会を形成しようとする資質や能力を育成することは難しくなる。
★したがって、教師はまず社会科を学習する意義を理解させること。地理学者が地域性を明らかにする際にたどったプロセスや歴史学者が歴史的事実をとらえる際に使ったのと同じような資料などから、生徒に地域性や歴史的事実の背景にある要因をとらえさせるような学習指導を行うことが必要である。またこのことが、地理的見方や考え方、歴史的見方や考え方を養うことになるのである。さらに生徒が実際の地域性や歴史的事実を理解しやすいようにするために、ICTを活用するなどし臨場感のある授業を心がけることが必要である。
連載
新学習指導要領で教科調査官が求める授業(11)中学校英語-4技能のバランスのよい育成を | 文部科学省教科調査官 平木 裕 文部科学省視学官 杉田 洋 |
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特別支援教育のさらなる充実を求めて(6)学習困難、学習障害(LD)の支援 | 聖徳大学教授 東原文子 |
学級づくりと特別活動(6)しっかりと当番活動ができるように(掃除当番等) | 関東学院大学特任教授 松永昌幸 |
わたしたちの学校づくり(6)体育活動を中心に据えた学校づくりの取組 | 静岡県磐田市立豊田南小学校長 大村 高弘 |
新しい教育評価の動向(28)サドラー「フィードバック再考:複雑な学習を評価する学生の能力を伸ばすには」 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
小中学校国語の授業づくり(7)小学校「聞くこと・話すこと」3つの場面(帯単元、他分野との関連、単元化)を架橋しながら育てる | お茶の水女子大学附属小学校教諭 岡田博元 |
小中学校外国語教育のあり方(7)小学校5.6年の外国語活動の実際 | 栃木市教育委員会学校教育課副主幹兼指導主事 平山 裕 |
どうする?小学校音楽の授業(4)器楽編~器楽の領域が担うもの~ | 東京都板橋区立板橋第九小学校教諭 法島隆志 |
教材で子どもが輝く小学校社会科の授業(7)ぼた山から何が見えるか?(2)-日本のエネルギー政策の変化が見える | 東北福祉大学特任教授 有田 和正 |
小学校算数の発展・応用を学ぶ授業をつくる(14)3年 | 青山学院大学教授 坪田 耕三 |
小学校理科の授業づくり(19)5年B(2)「動物の誕生」 | 文部科学省教科調査官 村山哲哉 |
教育測定・統計入門(19)二要因の分散分析と交互作用 | 法政大学教授 服部 環 |
学校の法律問題(7)飲酒運転と懲戒処分 | 日本女子大学教授 坂田 仰 |
だんわしつ/「論理的思考」の真価 | 工学院大学非常勤講師 小田玲子 |
ひとりごと/ひとりごと | 元公立中学校教諭 吉冨 久人 |