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特集
思考力・判断力・表現力の評価に必要なポートフォリオ評価
★ポートフォリオ評価の利用は「思考・判断・表現」の観点でのパフォーマンス評価との併用が適切である。
★ポートフォリオへの選択基準、つまり評価基準は評価の目的によって異なる。
★教科での総括的な評価としての使用を考えれば、スタンダードとしての評価基準を用いることが望ましい。
学習評価計画に対応するポートフォリオの活用
★教科教育において「目標に準拠した評価」を効果的に行うためには、学力評価計画を明確にし、それに対応した資料を残すタイプのポートフォリオを用いることが有効である。
★指導要録の観点別に整理するファイルをポートフォリオとして用いる場合、「知識・理解」「技能」のポケットには筆記テストの答案用紙や実技テストの記録、「思考・判断・表現」「関心・意欲・態度」のポケットにはパフォーマンス課題に対応して生み出した作品(レポートなど)を収録することができる。
★ポートフォリオに残す作品を評価する具体的な評価基準として、チェックリストやルーブリックを用意するとともに、ポートフォリオの編集作業や検討会を通して子どもたちの自己評価力を高める指導を行うことが重要である。
ポートフォリオ評価-小学校国語
★書く単元では、書く過程のそれぞれで、子どもが身に付けた力を評価するのに、ポートフォリオ評価が有効である。
★スモールステップでのポートフォリオ評価は、それぞれの過程での評価だけでなく、その次の過程における指導に役立つ。
★ポートフォリオ評価において、事前に評価規準を明らかにしておくことで、子どもの学習課題が明らかになる。
★ポートフォリオ評価を活用することで、子ども自身が、身に付けた力をメタ認知することができる。
ポートフォリオ評価-小学校算数
★私は、ノート記述そのものがポートフォリオであるととらえ、実践を行った。子どもが「つくり出せる算数の授業」では、子どもが自己評価をすることが大切である。
★ノートには、自力解決の時に自分の考えを書き、比較検討する中で友だちの考えとの相違点・共通点を探った結果を書き、まとめの段階で学習感想を書く。一時間の授業でのポートフォリオ評価は、学習感想を書くことによって行うことができる。
★ここでは、単元全体のポートフォリオ評価を紹介する。一単元を通しての学習感想を読み、子ども自身が思考の変容を見取る方法をとった。単元終了後に、学習したことのよさを再度価値づけることにより、算数のよさを実感したり、次の学習への意欲を高めたりすることができた。
ポートフォリオ評価-小学校社会
★新学習指導要領では、社会科においても思考力・判断力・表現力を育成していくことが求められるが、ポートフォリオ評価はこれらの力を育成するための一つの方法として期待できる。
★単元の中で子どもに付けたい思考力・判断力・表現力を明確にし、それをポートフォリオに位置付けていくことが実践を行ううえで大切である。
★ポートフォリオを教師が評価や指導の改善に生かすだけでなく、子どもが自己評価、子どもどうしの相互評価などによって学びを深めていくための手段としても活用していくことが大切である。
ポートフォリオ評価-中学校理科
★授業の課題の設定の工夫、レポートの作成や結果と考察を区別させること、科学的な解釈する力や表現する力の育成の3点を中心に理科学習を進めてきた。その中で生徒を正しく評価する重要性を痛感するようになってきた。日ごろの学習活動の発想を少し変換させることで、生徒を肯定的に評価できることを実感している。
★主な実践としては、①学習ノートの相互評価 ②濃縮ポートフォリオの作成 ③コンテクストの設定 ④定期テストを利用したポートフォリオ評価、である。
ポートフォリオ評価-中学校美術
★従前の美術科の評価においては、完成した作品のみを評価して、その制作過程について評価対象にすることが多くはなかった。しかし、制作過程の評価場面の設定は,生徒の制作に見通しをもたせたり、主題を明らかにさせたりするためには有効である。
★学習指導要領に新設された〔共通事項〕に示されているように、感性を働かせて思考・判断し、創意工夫しながら表現し作品を鑑賞したりするという一連のプロセスを働かせる力を育成するため、試行作品(デジタルデータとして保存)や、学習の過程の成果を記述したワークシートを、ポートフォリオとして評価に生かしていく。
学習指導要領の「我が国の美術文化に関する鑑賞」が、全学年において「B鑑賞」の内容となり、特に第2学年及び第3学年の内容として「美術文化の継承と創造への関心を高める」ことが加筆されたことを受けての実践である。
ポートフォリオ評価-総合的な学習
★長いスパンで単元を展開していく総合的な学習の時間においては、使用したワークシートや収集した資料も多量となるので、ポートフォリオづくりが欠かせない。
★ポートフォリオを基に、自己評価活動に取り組ませたい。学んだことを振り返らせたり、どんな力が身に付いたかを考えさせたりすることがその後の学習を考える力となり、主体的な学習につながっていく。
★探究的な学習が求められる総合的な学習の時間において、学習過程を見取り、その後の授業改善に役立てるためには、ポートフォリオ評価は非常に有効である。
連載
坪田耕三先生の基礎・基本を学ぶ小学校算数の授業づくり 「わかる」と「できる」基礎・基本の考え方(52) 小学校五年、図形の性質① | 青山学院大学教授 坪田 耕三 |
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これからの国語科教育(7)小学校「書くことに沿って基礎的な能力を高める指導」 | 兵庫県宝塚市教育委員会学校教育課指導主事 林 理香 |
これからの理科教育をどうするか(13)中学校二年「気象とその変化」 | 筑波大学附属中学校教諭 金子 丈夫 |
これからの学習評価(6)評価の簡略化と一般的な評価基準 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
教育・心理検査入門(7)行動・社会性を測定する検査の活用Q-Uを活用した学級経営と個別指導 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
自己の生き方を育てる学校教育(6)特別活動と人格形成-個と集団の両輪で | 文部科学省視学官 杉田 洋 明治大学教授 諸富 祥彦 |
小学校英語活動のポイント(19)「外国語活動」におけるDo`s and Don`ts-その7 | 国立教育政策研究所名誉所員・2014年度戸田市英語教育運営指導委員会委員長 渡邉 寛治 |
だんわしつ/学ぶことは芸術活動そのものなのだ | 東京賢治の学校代表 鳥山敏子 |
教育の窓(14)学校評価と学校改善 | 国立教育政策研究所主任研究官 植田みどり |
ひとりごと/叱る方が簡単 | 元公立中学校教諭 吉冨 久人 |