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特集
目標準拠評価を継続的に行っていくために
★今回の改訂は、総括的評価-「評定」を目標準拠評価へと転換して、次への学習の方向づけや意欲づけに寄与するとともに、子どもや保護者に十分説明できるような客観的なものにしていこうというものである。社会生活を送る上で必要最低限の学力をどの子にも保証するという理念の現れととらえる。
★学校では、継続的な実行可能性が不可欠である。ペーパーテスト法を中心にするのが現実的だ。ペーパーテストの作問を工夫し、観点別に出題をする。
★昨今の状況は、評価が学力の向上を目指して行われる活動であることが置き去りにされているように見える。現在の学校の条件下で継続可能な評価を模索し、教師の努力を本来の目標である学力の向上へとふりむけることだ。
ポートフォリオ評価法を活かした国語科学習指導
★身につけさせたい力を、どの単元で重点的に育てていくかを考え、年間評価計画を作成した。
★学習記録(ポートフォリオ)を作り振り返る中で、生きて働く力を評価することができる。子どもたちの生きて働く力がポートフォリオに映し出されるよう様々な「手引き」を用意するとともに、評価基準や判断基準を明確にしておいた。
★子どもたちの活動する姿をとらえる中から、より具体的なルーブリックが作られてくる。
★単元「生きる姿を見つめて-読書会をしよう-」では、どのようにポートフォリオを使って評価する場を位置づけたか、その単元終末時の指導(中期ポートフォリオづくり)を中心に紹介する。
教科の特質を活かして -数学・社会・音楽を例に-
★評価を考える前提に、その学校でどのような生徒を育成したいのか、そのためにどのような学びの過程を作り上げたいのかという命題がある。その命題に答えるのが評価の意義である。
★評価は、指導者である教師の指導観や教材観に基づいて行われる。生徒の反応に即時的に対応していくことは必要であるが、同時に教科の本質に根ざした長期的な視野に立つ指導と評価の積み重ねが必要である。その意味での形成的な評価が生徒の能力・態度を育てる。
評価・評定の仕方は教科のねらいや教科の本質からくるものであるから、教科により様々である。観点の重みを均等にしたり、自己評価を生かした指導を取り入れるなど様々な試みが可能である。
基準の簡略化 -国語・数学・美術を例に-
★本校では各教科にとって最も適した評価・評定方法を工夫している。そうした中で、生徒や保護者に説得力があり、かつ評価活動が煩雑にならない現実的な方法を実施している。
★活用できる評価基準にするための工夫として、-年度当初に年間学習計画は立てるが、評価基準は単元に入る前に作る。-詳細な基準にしない。一時間には一つの基準に絞る。-学習状況に応じて学習目標・評価基準を修正する。
★(形成的な)評価は常に機会をとらえて行う必要があるが、評定の資料となるような(総括的)評価の記録は、時期を決めて計画的に残すようにする。
★各教科の工夫が生かせる新しい通知表では、観点の数や内容も教科で決める。「評定」は年度に一度だけにする。
観点を焦点化し、目標を明らかにした授業づくりと説明責任を果たせる信頼度の高い評価をめざして -音楽・美術・保健体育・技術家庭を例に-
★本校では、観点の焦点化を図り、一単元で四観点すべてを評価せず、「評価の総括表」を作成し、一年間を通してバランス良く四観点を評価している。
★生徒・保護者への説明責任が果たせるように、学期毎に「観点別学習状況の評価の具体観点表」を作成・配布し、学習の改善に役立てている。
★「評価の研究は授業の研究」ととらえ、「指導と評価の一体化(基礎・基本を定着させる授業づくり)」をテーマに、全教員による「研究授業」を実施し、指導力の向上を図っている。
地域で共同で進める -国語・社会・英語を例に-
★大分県支部では、目標準拠評価を客観的に行うため、支部で教育課程や評価基準を作成している。各学校では、実態に応じて、これを修正して活用する。
★評価の客観性を高めることと、指導を充実させることのバランスが大事だ。評定のために資料は、長いスパンで、その学力を身につけまた評価するのに、最適と考えられる単元と評価用具で、きちんとした指導の後に収集する。
★また、国語・社会科では、論文体テストが有効である。英語科で利用した、単元評価カードは、意欲付けにもなった。
★年度初めに標準学力検査NRTを、年度末にCRTを実施し、より多角的に評価する。重点指導の単元を決めたり、教師による評価のチェックともなる。
実践事例を読んで
★継続可能な目標準拠評価を考える視点の第一は、しっかりとした指導と評価の計画を立てる点にある。計画が立つことによって、修正や改善、精選や重点化も可能になるからである。
★形成的な評価と総括的な評価とを、評価方法の工夫などである程度区別することが指導改善を進める上でも有効と考えられる。
★評価にあたっては、児童生徒の学習状況をきめ細かく把握し指導に返す部分と、ある程度の期間、長期的に見ていく方法との両方の目が必要である。
★評価規準は全体的に作成するとともに、単元の指導に応じて重点化したり、事後において修正・改善したりしていくことが必要である。また、ポートフォリオなどの方法を用いて、評価の実際を評価規準に反映させる方法も考えられる。
標準学力検査CRTト教師による評定
★目標準拠評価の信頼性を高めるには、他の資料との比較検討が必要である。
★標準学力検査CRTはそのような比較検討に役立つ資料を提供してくれる。
★CRTと教師評価の間にはかなり高い正の相関が得られ、調査対象の四つの中学校ではほぼ信頼できる評価が実施されていた。
★しかし評定値の一致率、過小評価率、過大評価率を求めると、学校間の違いが明らかになった。過小評価傾向の著しい中学校には補正の必要がある。
★CRTの内的整合性(アルファ係数)や観点間の相関についても検討資料が得られた。
連載
小学校算数の基礎・基本の指導と評価(5) 受動から能動へと子供が変わる授業 | 元筑波大学附属小学校教諭 正木 孝昌 |
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中学校の総合的な学習と選択教科の実践(3) 必修教科の補充的な学習を重視した選択教科 | 兵庫県猪野川町立猪野川中学校教頭 中西 政則 |
だんわしつ | 加藤 十八 |
ひとりごと | 元公立中学校教諭 吉冨 久人 |