月刊誌 指導と評価

2023年 1月号
  1. 2023年 1月号 vol.69-1 No.818  定価:450円
特集
➊1年生の困難/➋児童虐待
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特集

特集➊1年生の困難/校種間接続の考え方―幼小接続を中心に

白梅学園大学名誉教授  無藤 隆

★幼小の接続では、2022年度より「架け橋プログラム」の開発が始まっており、幼児教育の成果を小学校教育につなぐ「スタートカリキュラム」の取り組みが進む。
★小中の接続では、義務教育修了時の達成目標を共有し、教科等の学習の連続性を踏まえた密な校種間連携が望まれる。
★中高の接続では、中学校段階までの学習成果のうえに、高校卒業後の職業的自立も含めた多様な進路に求められる資質・能力を着実に育成するための工夫が大切である。

特集❶1年生の困難/幼児教育から小学校教育への円滑な接続に向けて-スタートカリキュラムを支える環境づくり-

宮崎国際大学特任教授・学校法人宮崎学園清武みどり幼稚園園長  有嶋 誠

★本稿では、小学校入学直後の「スタートカリキュラム」に焦点を当て、それを支える「学びやすい環境づくり」について、筆者のこれまでの教職経験等をもとに、幼児期の「遊び」から小学校の「学び」への円滑な接続に向けた方策を提言する。

特集➊1年生の困難/ギャップをチャンスに

筑波大学附属中学校副校長  升野伸子

★中1ギャップという言葉があるが、小学校と中学校では、教育課程の編成理念が異なるため、「小学校の続き」として中学校に入学すると、保護者も生徒もとまどってしまうのは無理もない。ただ人生には、進学・就職・結婚・家族の変化・転職・病気・退職等いくつかのイベントがあり、それまでとは異なる考えや行動様式を求められる場面は数多くある。6年間慣れ親しんだ場所から離れて新しいステップに踏みだすことは、子どもの成長にとって必要なイベントでもある。それをギャップとしてとらえるのではなく、ステップアップのチャンスとしていきたい。

特集➊1年生の困難/「高1クライシス」を考える-高校移行で生じる問題とその理解

創価大学教育学部講師  飯村周平

★「小1プロブレム」や「中1ギャップ」だけでなく、高校移行(高校への進学)も子どもの心理・学業面の適応に悪影響を及ぼす「高1クライシス」の要因になるとされています。抑うつ症状の高まりや退学率の増加などがその代表例です。この現象を理解するためには、生徒自身のニーズが、進学先の学校環境と適合しているかどうか、という視点が大切になってきます。生徒のニーズと学校環境が適合していない場合には、教員を含む周囲の大人が環境を調整できるか否かが、「高1クライシス」の予防にとって大切です。

特集➋児童虐待/虐待を受けた子どもへの支援

山梨英和大学助教  渡部雪子

★児童虐待を受けた子ども(被虐待児)を支援するにあたっては、虐待の定義に加えて被虐待児の心の理解や具体的な支援方法について理解していくことが大切です。本稿では、主に臨床心理学的な視点から、①被虐待児のかかえる困難と関連する諸症状、②被虐待児の心のケア、③学校の中での支援、④支援の拡充、について紹介していきます。

特集➋児童虐待/アタッチメントと児童虐待

甲南大学教授  北川 恵

★自らの対処能力を超えた危機・恐怖場面で、養育者との関係を通して安全・安心を得ようとするアタッチメントは重要度の高い欲求であり、良好なアタッチメントはその後の発達の基盤となる。児童虐待は、安全と安心の源である養育者が恐怖の源になるという深刻なアタッチメントの問題であり、適応上の問題にもつながる。アタッチメントに問題をかかえる子どもに対しては、学校現場で安全と安心を与える関わりが重要である。

特集❷児童虐待/学校における子どもの貧困と児童虐待の理解と対応-背景を読み解いて支援するためのスクールソーシャルワーク実践-

帝京科学大学助教  中西 真

★貧困と児童虐待は、子どもの行動や背景に関連性があり、早期発見、支援が必要である。学校では子どもの最善の利益を保障するため、教職員集団が協働し、①生活の視点も重視した総合的なアセスメントによる背景の把握(ケース会議)、②支援チームの協働による福祉実践、に取り組むことが、貧困や児童虐待などの発見や予防に効果的に働く。

特集❷児童虐待/虐待を予防する保護者支援プログラム

大阪人間科学大学教授  中川千恵美

★児童虐待防止にフォーカスした保護者支援プログラムは、すべての親を対象にした予防的内容から、個別支援を中心とする再発防止プログラムまで幅広く展開されている。本稿では、11のプログラムをあげ内容を簡潔に紹介した。
★令和4年6月の児童福祉法改正では、市区町村での一体的な支援体制となる拠点形成をはじめ、保護者の身近な場所でのプログラム展開が望まれている。

連載

巻頭言/不安と緊張こそ成長のきっかけに 東京家政大学教授
平山 祐一郎
目標準拠評価を教育に生かす⑼評価基準Aの設定は指導・学習を画一化するか 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
カリキュラム・マネジメント⑻中学校社会科②単元構成・年間構想―スモールステップで柔軟に 神奈川県川崎市立宮崎中学校教諭
町田 憲二
事実を伝え、意見を述べる 自ら進んで取り組む「書くこと」の指導(22)「書かせる指導」シリーズ補遺 熊本県立鹿本農業高等学校 進路指導主事兼食品科学科主任
宮田晃宏
文部科学省教科書調査官(体育)
渡辺哲司
読解力育成(21)「書くために読む」-PISA読解リテラシーの結果の解釈と新しい読解指導 つくば国際大学教授
入部明子
真正の構成的グループエンカウンターによる学級づくり⑽集団づくり後期のポイント 大阪府交野市立星田小学校教諭
和久田耕平
大阪成蹊大学教授
米田 薫
教科書をひらいて授業を創る⑼いま求められる、教科書と授業のあり方-中学校社会科編- 宮崎大学教育学部准教授
藤本将人
自己理解と積極性を促すキャリア教育(6)まとめに代えて 秋田県立大学准教授
渡部昌平
学びの支援に役立つ認知理論(1)-なぜメタ認知とワーキングメモリに注目するのか- 大阪教育大学名誉教授
北尾 倫彦
教育の窓(58)深い理解を導く予習のすすめ④-質問に対する解答作成と自信度評定の効果- 日本大学教授
篠ヶ谷圭太
学校のリーダーシップとリーダー育成⑷保護者対応とリーダーの責任 福岡教育大学・九州栄養福祉大学非常勤講師(元福岡市立長尾中学校校長)
岸川 央
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