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特集
これから求められる教師像
★教育職員養成審議会は、いつの時代にも求められる資質能力と、今後とくに求められる資質能力を示している。最近の中央教育審議会答申が示している見解も、基本路線は同じである。
★教員の資質能力は、養成、採用、研修の三段階で確保、かつ伸ばしている。免許更新制はは養成段階の資質能力をリニューアルすることを意図する。
★現行の教員研修施策は、全教員に共通に求められる基礎的・基本的な資質能力を確保するとともに、個々の教員の自発的・主体的な研修意欲に基づいた研修を奨励している。
★これからの教員の資質能力は、日常的な評価と日常的な研修を通じて学校全体で伸ばしていくべきである。
これから求められる教師像
★中教審答申で「あるべき教師像」が明示された。そこでの教師像は、「情熱」「専門性」「人間力」から構成される。
★教養審や中教審などで繰り返し提言されてきた教師像であるが、最近では教員評価との関連が問題となる。「変わらず求められる」資質能力と「これから求められる」資質能力が考えられるが、教師はどんな教師を目標にするかを自覚し、主体的・自律的な実践を通して向上を図っていく必要がある。
★目標を達成するためには、教師像をどのようにしてめざすかが鍵となる。研修のあり方と研修プログラム開発についても、喫緊の課題となっている。
教師力を高める(1)教科指導力
★人にはそれぞれ、自分に合った学習スタイルがある。そのことを十分に意識して、多様な学び方をもつどの子どももよく学べるように、多様な教え方を身につけておくことが大切である。
★これからはチームでの学習が注目される。社会が求める「生きる力」とは、そのような学習の中で培われたコミュニケーション力などを包含するものである。
★これからの教師にとくに求められることは、単に教えるだけでなく、自分自身がたえず学びつづけ、最新の情報などを集めて、さまざまな研究の成果を自分の指導に生かすことである。
★教師が学びつづけられる組織づくりが直近の課題である。
教師力を高める(2)生徒指導力-部活動を中心に
★生徒指導は生活指導的側面を内包している。子どもの自己実現をめざすために行われる生徒指導において、その土台となる生活指導、すなわち朝食の摂取、適切な睡眠時間の確保などの好ましいライフスタイル教育が重要である。
★西嶋等の調査によれば、部活動入部率は中学二年生で87.8%、そのうち運動部が77.4%。高校二年生では68%、そのうち運動部は54.2%である。
★生徒指導と部活動指導は共通点が多い。運動部の指導においては、初期指導が重要である。さらに子どもの成長や資質に応じて、活躍できる場や自己決定できる場面を用意してあげることが必要である。
教師力を高める(3)学級指導力
★学級成員の多様化・個性化が進み、学級という共通意識をもつことがむずかしい今日、学級成員としてのアイデンティティをもたせる基盤づくりが課題である。
★学級づくりの基盤として、学級担任が一人一人をしっかりと受容し、信頼関係を構築することを第一とする。
★学級成員の共通性・同質性を維持するため、一定の規範を明確にして、学級成員を組織し、活動を推進して、子どもたちの学級への所属感・一体感を養う。
★子どもに対して、受容すること、要求すること、つなぐことができる学級指導力を高めるため、教師としての専門性を高めるとともに、豊かな人間性を養う努力を続ける。
教師力を高める(4)「道徳」の指導力 子どもに「授業づくりの力」をつける
★提示された資料に、自分の経験を結びつけて考える。これが、道徳の時間における基本的な思考形式である。経験に結びつけて考えるからこそ、資料が伝えるメッセージを他人事ではない<自分事>として受けとめることができる。
★子どもたちの発言の根底には、その子なりの経験がある。自分の経験を話し、友達の経験を聞く。子どもたちはこれまでの自分の人生を語り、自分の人生を受けとめてもらっているのである。
★道徳の授業を通して、学級は安心して学習ができる居心地のいい場所になっていく。そして、子どもたちには、自分たちで意見をつなげて授業をつくり上げていく力が身についていく。
教師力を高めている学校
★学校としての授業力を高めるには、授業を見られる場を増やすことだ。いつでもだれでも授業を参観できる雰囲気をつくることだ。校長は率先垂範して授業を公開し、「見る場として」、他校・他校種の先生も来校して授業を行う。
★どの教科にも通用する基本的な指導技術・学習ルールを、職員室での日ごろの会話や校長の授業公開から、全教員が指導できるようにする。
Q-Uを起点としてよりよい学級経営をめざす教職員集団の形成
★元気の出る教職員団の形成には、「後ろ向きの安定」から「前向きの不安定」な状態に向かおうとするきっかけが必要である。その起点として、Q-Uが効果的である。
★Q-Uの検査データは客観的であり、効果的な活用を推し進めることで教職員の協働の意識が芽生え、同僚性が育っていく。
時代を代表する教師たち 東井義雄、斎藤喜博、庄司和晃
★日本の教師たちが編み出した「授業研究(jugyou kenkyuu)」が、世界規模で注目されている。この小論では、とくに教育評価に関しても発言した、戦後を代表する三人の教育実践家(東井義雄、斎藤喜博、庄司和晃)を取り上げ、その成果を紹介・説明する。
★この三人の教育実践家に共通するのは、子どもたちの成長・発達についてのヒューマンで、かつリアルな眼差しであり、そのことによって「つまずき」や「まちがい」を肯定し、子どもの認識構造にまで迫ることができたことである。そして、彼らの成果は、過去の遺物どころか、現在の「授業研究」や教育評価研究に大きな示唆を与えている。
連載
坪田耕三先生の基礎・基本を学ぶ小学校算数の授業づくり 「わかる」と「できる」-基礎・基本の考え方(19)二桁の数をかけるかけ算 | 青山学院大学教授 坪田 耕三 |
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心理学を教育実践に活かす(6) 道徳性の心理学 | 埼玉大学教授 首藤 敏元 |
学力調査を正しく読み取る(4) 二段の構造方程式モデリングの特徴と学力に関する調査データへの適用例について | 国立教育政策研究所研究員 萩原 康仁 |
豊かな人間性を育てる授業シリーズ(10) 「大事なことはじっくり決めよう!じっくり分析して決める方法を知ろう!」中学三年生版 | 教育臨床研究機構理事長 中野 良顯 |
どうする?小学校英語(29) ねらいを全うする活動の見張り役は、評価規準!(条件整備その1) | 国立教育政策研究所名誉所員・2014年度戸田市英語教育運営指導委員会委員長 渡邉 寛治 |
だんわしつ 「基礎・基本」再考 | 宮城教育大学教授 西林 克彦 |
ひとりごと | 元公立中学校教諭 吉冨 久人 |