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特集
指導要録改訂のポイント
★新学習指導要領の下での小・中学校の指導要録については、 1.評定を「目標に準拠した評価」(いわゆる絶対評価)にあらためる 2. 「総合的な学習の時間」の欄を新設し、各学校で評価の観点を定めて、評価を文章記述する欄を設ける、 3.「生きる力」の育成を目指し、「行動の記録」の項目を見直す、 4.児童生徒の成長の状況を総合的にとらえるため「総合所見及び指導上参考となる諸事項」欄を新設する、 などの改善をはかる。
★指導要録の本人開示については、開示請求の対象とするなど個人情報保護全体の基本的な方向を踏まえる必要があるが、具体的にはその様式や記載事項等を決定する権限をもつ教育委員会等において、条例等に基づき判断することが適当である。
「各教科の学習の記録」はどう変わったか
★「各教科の学習の記録」の中で、大きく改められたのは評定である。三段階または五段階で評定することは現行通りであるが、現行の”絶対評価を加味した相対評価”から”目標に準拠した評価”へと改められた。
★観点別学習状況の評価については、大きな変化はない。しかし「関心・意欲・態度」の評価については、批判もあるので、評価方法について十分に研究を行う必要性が強調されている。
★所見欄の統合が図られた。「総合所見及び指導上参考となる諸事項」の欄にまとめて、各教科の学習・特別活動・行動の記録等を記入する。
「総合的な学習の時間」について
★総合的な学習の時間の記録欄では「学習活動」「観点」「評価」の三つの欄が設けられ、文章記述することになった。
★観点の設定は活動後でなく学習活動の計画段階で考えるものである。
★評価は個人内評価を原則とし、これにクライテリオン準拠評価の要素を組み合わせるべきである。相対評価にならないよう注意する。
「行動の記録」はどう変わったか
★「行動の記録」は欄が一つになり、内容は現行の「1.行動の状況」にあたるものであるが、「2.所見」も「総合所見及び指導上参考となる諸事項」へ移されただけなので、基本的な変更はない。
★項目には「生きる力」「健康・体力の向上」「自律」「生命尊重」「公徳心」が加えられた。
★目標に準拠した評定なので、十分満足できる状況を具体的に設定することが大切である。
★本人の自己評価をとりいれ、評定の仕方などを説明しておけば、公開・開示に不安はない。
新指導要録と情報公開
★新指導要録の開示の是非について、教育委員会によって対応に違いがあり、かねてから国の統一的な方針が要請されていた。
★教育課程審議会の方針は、指導要録についても本人のアクセス権を認め、基本的に「開示」の方向性を示している。しかし、所見欄など開示により教育上支障が生ずるおそれのある部分については、教育委員会の判断により「非開示」とする方針をとっている。
★指導要録の開示問題は教師の評価に対する不信感に根ざしている。教師が評価の専門性を高め、評価について保護者等を納得させることが開示問題への最善の対応である。
新指導要録をどう思うか
新指導要録をどう思うか
連載
生きる力を育てる評価(3) 「生きる力を育てる教育への転換」 | 慶応義塾大学名誉教授 村井 実 |
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新教育課程における評価の課題(3) 「観点別評価の評価基準の作成方法」 | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
教科の基礎・基本<小学校国語>(3) | 元栃木県足利市柳原小学校校長 大槻 直祐 |
アメリカにおけるポートフォリオの歴史と現状(5) あらためて学習のあり方を問う | 二葉看護学院ほか非常勤講師 小田 勝己 |
総合的な学習を創る(2) 身につけるべき学習スキルを明確にした総合的学習で、学ぶ喜びを | 大分県久住町立都野中学校長 森本 高美 |
高校入試はどこまで改善されたか(2) 「数学」 | 元玉川大学教授 瀬沼 花子 |
だんわしつ | 元筑波大学附属小学校教諭 正木 孝昌 |
ひとりごと | 元公立中学校教諭 吉冨 久人 |