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特集
❶教科担任制/小学校での教科担任制が目指すもの
★教育の質の向上と教師の負担軽減は喫緊の課題である。
★小学校における教科担任制の導入により、以下の4点、①授業の質の向上/学習内容の理解度・定着度の向上、②小・中学校間の円滑な接続、③多面的な児童理解、④教師の負担軽減の効果が考えられる。
★教科担任制が効果を生み出すためには、学校全体として総合的に取組を進めることが不可欠である。
❶教科担任制/教師からみる教科担任制と子どもからみる教科担任制-「子ども理解」に関する視点も踏まえて-
★著者の所属校では、自分の担当教科以外にも複数の教科を受け持つ「準教科担任制」を採用している。また、担当教科は縦割りにし、それぞれの教師が全学年の授業を毎年経験できるようにしている。
★子どもにとって、教科担任制には多様な教師との出会いを通して自己の可能性を広げられる利点がある。本校では、学級担任と教科担任の連携を密にして、「子ども理解」を基盤にした教科教育を推し進めている。
❶教科担任制/「チーム担任」による教科担任制-「多様な先生のよさ」を最大限に生かす環境づくり-
★南砺市では教育改革の一環として、校種を問わず、複数の先生で複数の学級を担当する「チーム担任制」を導入している。教育委員会はその方針と活用例を示すにとどめ、具体の運用は学校に任せられている。
★学級担任制が中心の小学校でチーム担任制を機能させるには、①先生の多様性を生かす観点から「平等観」を見直すこと、②あくまで「子ども理解」を前提とした教科指導とすることが大切である。
❶教科担任制/モデル事業の取組から見た小学校教科担任制の成果と課題
★鹿児島県教育委員会は「小学校高学年教科担任制モデル校事業」を実施している。本事業では、研究モデル校を指定し、学校規模等に応じた教科担任制の推進を図るとともに、実践事例の県下への普及を行っている。本事業をとおして、学習指導の充実をはじめ、教員の負担軽減などの面において成果が得られた。今後の教育委員会のかかわりとしては、管理職のマネジメントによる総合的な取組の一層の推進に向けて、指導助言や情報提供等を進めたい。
❷「食べる」を考える/子どもの食生活の課題と学校に求められる食育の推進
★今年度農林水産省から示された食育白書によれば、生活リズムの乱れから「朝食欠食」「孤食」などの食行動をとる子どもが増加傾向にあります。さらに近年は、子どもの貧困、食の格差も指摘されています。「食べる」ことは、生きる基本です。子どもの頃の食習慣は将来に大きく影響します。幼い頃からの「食育」がきわめて重要であり、学校・家庭・地域と連携した食育を推進することが求められています。
❷「食べる」を考える/栄養教諭の役割と教育的効果-栄養教諭の具体的な働きとは-
★本稿では、栄養教諭の役割と教育的効果、ならびに教諭と教育委員会等の役割と連携のあり方について、これまでの実践経験を踏まえながら、一栄養教諭としての筆者個人の考えを示す。
❷「食べる」を考える/中学生の食生活と居場所感-給食に注目した子どもたちの居場所づくり-
★中学生の時期は、心身の変化に伴い、自分のことに興味をもち、誰とどのようにつき合うかについても悩みやすい年頃である。特に、中学生の心身の安定を図るためには、「居場所」と思える心のよりどころを見つける必要がある。本稿は、学校において、給食を活用した居場所づくりについて提案する。
❷「食べる」を考える/転換期の学校給食制度-給食費をめぐる教育と福祉の交錯-
★学校給食費徴収にあたっての「常識」であった、食材費保護者負担と私会計という制度が、学校給食費無償化と公会計化の動きにより揺らいでいる。いわば「転換期」にある学校給食制度が考えなければならないことは何か。本稿では、文科省各種調査を概観し、転換期と称する理由を述べたうえで、地理、財政、貧困、アレルギーなどで十分な喫食が実現できていない児童生徒に向き合う制度設計が必要であるとした。
❷「食べる」を考える/食文化を継承する-食文化を伝える砦としての学校給食の役割-
★日本の学校給食は、栄養摂取による子どもたちの健康の保持増進を目的としてきたが、近年は子どもたちへ食文化を伝える場としても注目を集めている。学校給食での米飯給食の実施や郷土料理の取り入れは、日本の食文化を伝える重要な要素と考え、各地域で積極的に取り組む状況が過去の調査から明らかになっている。郷土料理の内容や各給食施設が保有する食器の種類など、和食文化継承の観点から様々な課題が浮き彫りになった。子どもたちへ日本の食文化を伝えていくために、行政、学校、生産者、給食受託会社、栄養教諭らが一丸となってこれらの課題に向き合い、取り組む必要があると考える。
❷「食べる」を考える/こども食堂に集まる大人と子ども
★2024年現在、全国に9131か所のこども食堂が開設されている。こども食堂の急速な増加とともに、その役割や参加者も多様化している。本稿では筆者がこれまでにかかわったり、事例研究を行ったりしたこども食堂をいくつかご紹介する。本稿が様々なこども食堂のあり方について考えるきっかけになれば幸いである。
連載
巻頭言/「食べる」を考える | 東京学芸大学名誉教授 河野義章 |
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ここまでは押さえたいⅡ目標準拠評価を教育に生かす(30)理科のまとめ:問題の所在は学習指導要領の「思考力・判断力・表現力等」記載の充実を | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
読解力の育成(小学校実践編)(19)リフレクション型国語科授業の展開(4)~説明文「『鳥獣戯画』を読む」~ | 筑波大学附属小学校教諭 白坂洋一 |
生徒との対話を通して個別最適な学びをめざす 書く力を中核とした授業改善(10)「書く力」と「発話行為」-対話こそ教育の原点- | 神奈川県川崎市立宮崎中学校教諭 町田 憲二 |
言語技術としての「事実と意見の区別」(11)「事実と意見の区別」をめぐる理科と国語の問題 | 宮崎国際大学教授 中山 迅 文部科学省教科書調査官(体育) 渡辺哲司 |
自伝的論考-学問的理論の発展と人間性教育(2)媒介説から表象説への発展と教育的対応 | 大阪教育大学名誉教授 北尾 倫彦 |
カリキュラム・マネジメント推進における校長のリーダーシップ(1)カリマネが新校長の学校づくりを助ける | 甲南女子大学教授 村川雅弘 |
宿題と家庭学習(5)小学校における宿題と成績の関連から指導と評価を考える | 琉球大学教育学部准教授 淡野 将太 |
「ほめる」を考える(11)「ほめ」が機能するために大切なこと-ペアレント・トレーニングの視点から- | 東京家政大学准教授 温泉 美雪 |
コーチングに学ぶ「対話力」(2)リフレクションを支援する質問 | 「教と育」研究所代表 内藤睦夫 |