月刊誌 指導と評価

2025年 5月号
  1. 2025年 5月号 vol.71-5 No.846  定価:450円
特集
❶非認知能力を育む❷キャリア・カウンセリング
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特集

❶非認知能力を育む/子どもにとって重要な非認知能力とは

応用教育研究所理事長・筑波大学名誉教授  櫻井 茂男

★子どもにとって重要な非認知能力を、(1)自己に関するものと、(2)他者や社会と関わるものに分けて整理する。さらに、それらの非認知能力が、認知能力と協働し、学習活動、学業達成(学力)等を経てウェルビーイングにいたる過程を説明する。

❶非認知能力を育む/自己制御/自己統制とその育て方

名城大学人間学部・人間学研究科教授  原田 知佳

★自己制御とは、目標達成に向けて自分を律する力である。自己制御のうち、特に葛藤場面での目標追求を自己統制と呼ぶ。自己制御は非認知能力の中核要素であり、より良い人生を送るためのキー概念と言える。
★子どもに自己制御を身につけさせるには、学校生活での目標設定や達成体験が重要である。教育プログラムを実施する際は、文化差や個人差を踏まえた調整が必要になる。

❶非認知能力を育む/協働性を豊かに育む授業デザイン

京都大学教育学研究科准教授  田口 真奈

★ICT化の進展も背景として、近年、学校教育における協働学習は増加傾向にあるが、学習効果を上げるには形式的な導入ではなく、目的を明確にした授業設計が重要である。
★本稿では、教育工学分野で展開されてきた協働的な学習の実践研究に基づき、特に「知識構成型ジグソー法」について紹介する。

❶非認知能力を育む/共感性の三要素とその育て方

文教大学生活科学研究所客員研究員  登張 真稲

★共感性には複数の要素が含まれています。共感的関心は、他者の状況や気持ちに関心を向け、力になりたいというような他者指向的な気持ちを持つこと、視点取得は、相手の視点や立場に立って気持ちを想像すること、感情共有は、他者の気持ちや状況を、自分のそれとは異なるものと意識したうえで気持ちを共有することです。本稿では、共感性のこの三要素をどのように育てることができるか考えたいと思っています。

❶非認知能力を育む/メタ認知とその育て方

香川大学教育学部准教授  岡田 涼

★メタ認知は育成を目指す資質・能力の一つである。深い学びにおいても協働的な学びにおいても、メタ認知の働きが重要になる。メタ認知を意識した指導を行い、仲間との交流の場を設定することで、メタ認知を促すことができる。一方で、メタ認知を働かせて課題に取り組み、仲間とかかわる経験を積み重ねるなかで、少しずつメタ認知が育っていくという面もある。メタ認知の育ちを待つことも大切である。

❷キャリア・カウンセリング/学校におけるキャリア・カウンセリングとは

追手門学院大学教授  三川俊樹

★学校におけるキャリア・カウンセリングは、教師が子どもとの日常的な人間関係を基礎に、適切なコミュニケーションを図ることによって、子どものキャリア発達を促進する援助活動である。教師による効果的な「声かけ」「言葉かけ」「問いかけ」は、子ども自身が自らの体験を振り返り、その気づきを言葉で表現して他者にもわかるように伝えたり、文章にして記述したりする際にも重要な役割を果たしている。

❷キャリア・カウンセリング/中学校におけるキャリア・カウンセリング

墨田区教育委員会事務局教育センター指導主事  坂井百合子

★学校で日常的に出会う生徒の進路に関する悩みや疑問、つぶやきに、教師はどのような言葉かけを行い、キャリア支援を行ったらよいか。中学校の日常のシーンから生徒の心に寄り添うキャリア・カウンセリングのあり方や方法について考える。

❷キャリア・カウンセリング/高等学校におけるキャリア・カウンセリング

東京都立晴海総合高等学校主幹教諭・キャリアカウンセラー  桜井 伸一

★近年、進路相談の場面において、生徒からの漠然とした相談内容が目立っており、対応がむずかしいとの声が現場からあがっている。著者は単位制総合学科高等学校の進路相談室において、教員籍の専任キャリアカウンセラーとして、こうした困難な事例や専門的な知見を要する事例に対応してきた。専門のキャリアカウンセラーが常駐する教育現場はまれである。今後はこれまで以上に、教員全体のキャリア・カウンセリングの技量を高めていく必要があると考えている。

❷キャリア・カウンセリング/授業でのキャリア・カウンセリング

上越教育大学教職大学院教授  山田智之

★教員が各教科等の指導場面でキャリア・カウンセリングを行うことは、児童生徒のキャリア発達に不可欠である。教員は、ガイダンスとカウンセリングの機能を把握し、コーディネーターとしての役割を果たしていく必要がある。

❷キャリア・カウンセリング/不登校とキャリア・カウンセリング

スクールカウンセラー・大学院公共政策研究科博士課程  田中 典子

★不登校の人数が最も多いのは中学生である。彼らにとってキャリアのハードルとされる高校進学だが、近年、公立私立を問わず柔軟な教育課程の学校が用意され、選択肢は広がっている。しかし主体的な選択や進学後の継続には課題もあり、全国に146万人といわれるひきこもりや非正規就業の率も高い。当事者(不登校生徒)が、自分の未来を信じ、キャリアをデザインしていく過程を、支援者(教師と保護者)が共に歩むキャリア・カウンセリングとは何か、考えてみたい。

連載

巻頭言/受験勉強と非認知能力 東北大学教授
宮本友弘
次期教育課程における学習評価の改善策はこれだ!(1)学習指導要領の構造化-思考力等の目標の明確化・充実を- 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
言語技術としての「事実と意見の区別」(14)歴史教育における〈事実〉と〈意見〉のあいだ 北海道大学文学研究院教授
橋本 雄
協働学習が成り立つ学級集団づくり(2)学級集団づくりのための児童生徒のアセスメントと支援 早稲田大学教授
河村 茂雄
資質・能力をはぐくむメタ認知の指導(1)メタ認知のススメ 大阪公立大学教授
岡本 真彦
宿題と家庭学習(8)情報端末による授業と家庭学習の循環 中村学園大学教育学部教授
山本 朋弘
熟達教師たちの「実践知」を語る(4)「学びの基盤」を創る熟達教師の実践知-「めあて」で貫く一日の学びと暮らし- 日本赤十字東北看護大学准教授
岩本宏幸
つなぐ・つながる支援(2)つながる学校風土を創造する授業研究会 スクールカウンセラー
柿岡 文彦
これからの学び方改革-展望的論考-(1)理論知から改革の鍵を見つける 大阪教育大学名誉教授
北尾 倫彦
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