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学ぶことが大好きになるビジョントレーニング

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活用事例

小学校I先生の事例

通常学級でできるビジョントレーニング
 通常学級の中にも,個別の支援を受けるかどうかのボーダー上の子がいます。こういった子どもは,自尊感情が低くなりがちです。学級でみんなが同じ取り組みをする中で,苦手を持つ子どもたちの能力も引き上げていくために,次のような取り組みをしました(2年生での取り組み)。

1,えんぴつに補助グリップを付け,正しい持ち方を意識させた。特に柔らかい素材のものを選び,指先の力をつけさせた。

2,朝の会で,保健係が手の運動・目の運動をして,目と手の協応運動と目の追従運動(2人ペア)のトレーニングをした。

3,体育の時間は感覚運動を多く取り入れ, まねっこ遊びも取り入れた。

 特に漢字の形をとらえにくいA児は,目の追従運動をするたびに痛がっていましたが,3学期には筆圧が増し,漢字も正しく書けるようになってきました。板書の書き写しはまだ時間がかかるものの,速さも量も増えてきています。1学期の段階では百マス計算が苦手でできなかったのですが,今ではみんなと変わらないくらい速くなりました。その後も目の訓練と計算力向上のため,百マス計算には,毎日取り組んでいます。
 また,マスの中に字が入らなかったB児は,2学期には小さい字も書けるようになり,苦手な漢字を小テストで100点を取るようになりました。
 いずれの児童も,今では明るく大きな声で発言できるようになり,楽しく毎日を過ごせるようになっています。 【2010年3月1日】

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トレーニング対象者の年齢・性別

・小学校

・男

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小学校の通常学級での実践例です

東京都の特別支援指導員U先生の事例

もう怒られないよ!
 小学校中学年の男子。机の周りが常に散らかっていて,散らかっていることに気づくことはなく,注意をしてもなかなか整理整頓ができないという相談です。WISC―Ⅲの検査では符号記号と落ち込みが見られました。
 『学ぶことが大好きになるビジョントレーニング』のP26にあるチェックを行ったところ,①追従性眼球運動,②跳躍性眼球運動,③両眼のチームワークのどれもスムーズではなく,顔が動く,視線がはずれてしまう,片眼だけ見当違いのところを見てしまう等の様子が見られました。
 トレーニングの時間が週に1度20分程度,3ヶ月間と限られていたこともあり,その時間はめいっぱい眼を使ってもらうような内容にしました。

<トレーニングの内容>
●ウォーミングアップとして,P26の①②③をおこないました。本人が楽しめるよう,毎回違うキャラクターをつけて視標にしました。目がはずれたときには,「見てね」と言って,見ることを意識させるようにしました。
●P70の文字探し。数字,ひらがな,カタカナなど,さがすものは毎回変えました。また,場所も,机の上,ホワイトボード,床など,できるだけ体全体を使って行うように心がけました。
●おはじき数え。机の上に散らばったおはじきを,どちらが正しく数えられるかを勝負。
また,2つの固まりに分け,どちらが多いか見当をつける練習もしました。おはじきはいろいろなパターンで出来るので飽きずに楽しめました。
●その他,2枚のカードの左右の記号や数字文字が同じかどうかを早く答えるゲームや,「ウォーリーを探せ」のようなたくさんの中から一つのものを見つけるゲームをいろいろ考え,毎回楽しくトレーニングしました。
●集中の困難があったので,一つのものをじっと見る,また,人と同じものを見る練習や,床に寝ころびじっと動かずにいる練習もしました。また眼球運動と短期記憶と集中の練習を兼ねて,パッと見た記号や字,数字などを書いていく練習や,指導者が言ったものをすぐさま書きとる練習も行いました。

<結果>
 始めて3~4回目くらいで,輻輳がほぼできるようになりました。6~7回目には追従性・跳躍性もはずれることが少なくなりました。2か月たつ頃には,ほとんど違和感がないまでに動かせるようになりました。また,2~3秒しかじっとしていられなかった体も,自分の力で1分間も止めていられるようになりました。また,指導者が書いたものを一緒に見て同じことで笑えるなど,周囲からの刺激に反応し,合わせることも少しずつ上手になってきました。
 始めて2か月で,机の上から落ちそうになったものを手で「ハッ」と止められるようになり,落ちたものも拾えるようになりました。また,4か月たったころには,注意をしなくても,机の周りに何も落ちていない状況になりました。その状況は,指導が終了した現在でも続いているようです。 【2010年2月22日】

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トレーニング対象者の年齢・性別

・小学校

・男

東京都の特別支援指導員U先生の事例

100点とれた!
 小学校高学年の男子。全般的な学習不振という相談。
文章を読みたがらず,読んでもらうと一所懸命に指で文字をたどたどしく追っているので,文章はもちろん,単語を意味として捉えられていない印象を受けました。また,ボディイメージも困難なようでした。
 『学ぶことが大好きになるビジョントレーニング』P26の,追従性・跳躍性・両眼のチームワークのチェックをしました。追従性・跳躍性ともに目がほとんど動かない状態でした。眼球運動をスムーズにすることで,できることを増やし,自分に自信をもつことを目標に,週に1回3時間,2か月間の指導時間で次のようなことを行いました。

<トレーニングの内容>
●ウォーミングアップとして,書籍P26の1~3を毎回必ずおこないました。
●書籍P110の矢印体操。黒板に右左を書いて示したうえで,「右」「前」などのかけ声にあわせてジャンプしたり,それぞれのカードに書かれた矢印にあわせてジャンプしたり,本人のできる度合いに合わせて行いました。
●P116ページのまねっこ体操。初めから紙を見て行うのは困難だったので,指導者が前に立ったり横に立ったりしながら1ポーズずつ行い,慣れてきたところで,少しずつ示す数を増やしていきました。
●P58の線なぞり。毎回黒板いっぱい使って書きました。
●その他にも,鉛筆の先と先を合わせる,落ちてくるティッシュペーパーをお箸でキャッチする,机やイスでアスレチックをつくりそこをくぐったりする,など楽しみながら行いました。
●授業の進度にあわせて,数題の計算問題を毎回行いました(短期記憶は弱かったが,長期記憶は良かったので)。
●語彙数が少なかったので,本人が気に入った単語ゲームを毎回行いました。

<環境整備>
●国語の教科書の長文については,漢字にふりがなをつける,分かち書きをする,一行の終わりで単語が切れるようにするなど,専用の教科書をつくりました。その際,字の大きさ,字体,行間の広さなどは,本人と話し合って決めました。

<結果>
 1か月たったところで,追従性でちょっと遅れることはあるものの,輻輳はスムーズになりました。また,専用の教科書を使えば,指で追わなくても音読が出来るようになりました。初めて「物語を読む」ことができたことで自信がついたのか,音読をいやがらなくなりました。また,計算問題も毎回少しずつ積み重ねていくことで,記憶が確かなものとなり,間違えることがほとんどなくなりました。
 トレーニングを始めて2か月時に実施されたテストで,国語・算数ともに100点満点を取ることができました。自分もふくめ,みんなが大喜びをしてくれたことも,いっそうの自信回復になったと思います。
 ボディイメージについては,背面の触られた場所をあてることができる,自分の前後左右がわかるようになる等の効果はありましたが,模倣の困難さ,バランスなどにはまだまだ課題が残りました。もう少し時間があればと,残念なところでした。 【2010年2月22日】

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トレーニング対象者の年齢・性別

・小学校

・男

倉敷市N先生の事例

効果への気づきは 周り→本人へ
 小学校2年生の男児です。小学校の先生から紹介されて,相談にやってきました。読むことがとても苦手で,スピードが非常に遅く,行を飛ばしたりすることがあるということで,言語訓練も受けているということでした。

<検査の結果>

■視力検査
 遠見……右眼1.2/左眼1.2
 近見……右眼1.2/左眼1.2
■眼科医の診察
 眼科的に問題なし

■眼球運動発達検査(DEM)
 比率1.96(平均1.6)/エラー数39個(平均13個)

 ※DEMは眼球運動の発達を評価する検査です。この結果からは,「比率」が同学年の平均より高く,眼球運動をコントロールする力に苦手があると考えられます。また,エラー数が多いことから,読み飛ばし,読み間違い,行飛ばしなどが多いケースと考えられます。

■視知覚検査(DTVP-2)
 全視知覚80/感覚性視知覚75/視運動統合87 (平均100)

 ※DTVP-2は,形の捉え方や見て書く力を評価する検査です。全視知覚が平均より低くなっており,特に,見て考える課題(感覚性視知覚,例えば同じ形を探す課題等)が,書く課題(視運動統合,例えば,図形を模写する課題等)と比べて,苦手なケースです。つまり,頭の中で形をイメージする力に弱さがあるケースです。

■WISC-Ⅲ
 全検査知能82/言語性知能94/動作性知能73 (平均100)
 (言語理解91/知覚統合79/注意記憶106/処理速度86)

 ※WISC-Ⅲは知的発達の状態を評価する検査です。全検査知能が平均より下で,動作性知能が言語性知能より低くなっています。つまり,言語性能力や聞いて処理する課題より,見て作業する課題に苦手さがあるケースです。群指数の知覚統合が他の指数と比較すると低く,視覚刺激を統合する力にも苦手さがあります。

■K-ABC
 継次処理80/同時処理78/認知処理77/習得度91 (平均100)

 ※K-ABCは教育支援の方向性を評価できる検査です。全体的に82で平均より下で,継次処理(時系列での考える課題,例えば数字の復唱等)と同時処理(一度に与えられた情報を処理する課題,例えば見本と同じ模様の作成等)には有意な差はなく,認知処理(問題を解決する力,例えば継次処理や同時処理の課題)が習得度(教科学習の力,例えば算数の問題)より低いケースです。

<訓練内容>
 2週間に1回来所して,30分程度の訓練を行いました。また,家庭でも毎日5分~15分の訓練を実施しました。内容は,次のとおりです。

(1)眼球運動の発達を促進するための眼球運動訓練
 マス写し(例,7×7のマス目が2つあり,それぞれ違う部分が虫食いになっている。数字,ひらがな,記号などを埋めていく)
 間違い探し  もぐらたたき  目の体操  ビー玉キャッチ
 野球ゲーム(例,キャッチボール,天井からぶら下げたボールをバットで打つ,ストラックアウト等) 等

(2)特に感覚性視知覚を促進する視知覚訓練
 模様づくり パーカイトリーブロック ジオボード タングラム等

<3ヶ月後の様子>
本 人:あまり変化は感じていない。
保護者:以前より本を読む・見ることが増えた気がするが,1回に長時間は続かない。
学校の先生:以前と比べると読み飛ばし,読み間違いが減ったような気がする。

<6ヶ月後の様子>
・検査結果:どれも向上している様子が見られる。
 DEM比率1.15
 DTVP-2(全視知覚91,感覚性視知覚88,視運動統合95)
本 人:少し本が上手に読めるようになった。
保護者:本を読むことが速くなった。以前より長い時間本が読めるようになった。
学校の先生:本読みも他の同じ年齢の子供と比較しても変わりはない。

<まとめ>
 この事例では約3ヶ月で眼球運動発達の促進が認められ,約6ヶ月で眼球運動が安定し,視知覚発達の促進も認められました。本人の変化は,保護者と学校の先生が初めに気づき,その後,本人も,苦手なことが少しずつできるようになったと感じていました。訓練で眼球運動が発達し,視知覚検査の結果が向上したことはもちろん,苦手なことが少しずつできるようになり,自信が持てたようでした。現在は来所での訓練は終了し,夏休み,冬休み等の長期休暇の時に,経過観察にてフォローをしています。【2010/2/1】

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倉敷市N先生の事例

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資料は,トレーニングで使用した教材の写真です。

鹿児島県S先生の事例

通級指導教室における取り組み
 小学校2年生の男子で,学習内容が定着しなかったり,板書をノートに写すことに時間がかかったりしていた事例である。学級担任と通級指導教室の教師が話し合い,この児童の学習の様子を参観したところ,教科書の文章の読み飛ばしや同じ部分の繰り返し読みがみられた。そこで眼球運動をチェックしてみると,輻輳性および追従性眼球運動につまずきがあることが確認できた。担任と保護者の話し合いにより,通級指導教室において個別指導に取り組むこととなった。

 「視機能能力のつまずき」「上肢の操作性」「体幹の弱さ」に課題が見られたので,学習内容として「眼球運動」「目と手の協応」「全身運動(粗大運動)」に取り組むこととした。通級は週1時間の指導であったため,毎時間3つの内容に取り組むことは難しく,次の3つの内容のサイクルで取り組んだ。
(1)眼球運動……特に両眼のチームワーク,円方向の追跡につまずきが見られたので,追従性眼球運動・跳躍性眼球運動・両眼のチームワークや,動くボールの文字読み,ブロックストリングス,ジオボードに取り組んだ。さまざまな姿勢から,眼球を動かして文字を読み取ろうとしたり,形を意識しながら操作活動を行ったりすることができた。

(2)目と手の協応……バランスの整った文字を書くことが難しかったため,目と手の協応課題に取り組んだ。具体的には「コロコロキャッチ」「ジオボード」に取り組んだ。「コロコロキャッチ」では手とコップを用いてボールをとることができるようになり,「ジオボード」では,試行錯誤しながら,ほぼ見本と同じ模様を作ることができるようになった。

(3)粗大運動……学校近くの水辺にある斜面を利用した「段ボール滑り台」,「ボール上での輪入れ」などに取り組んだ。特に正中交差運動では取り組みにくさがみられたが,次第に改善され,スムーズに輪入れをしたり,両上肢で輪を持ち替えながら輪入れをしたりすることができるようになった。

 指導開始当初は,文章を読むときにスリットを用いていたが,2か月後にはスリットを用いることなく教科書を読むことができるようになり,スムーズな眼球運動もみられるようになった。しかしながら,追跡視トレーニング後には「目が疲れた」という感想が聞かれ,筋力的な弱さが感じられた。目と手の協応に関しては,ジオボードの取り組みで,形や大きさ,線の方向を意識しながら再構成することができるようになったことから,向上がみられたと考える。
 今後の課題としては,教科書を読む際の読み間違いや,落し物の多さが目立ち始めたことから,眼球運動とともに「注意集中のつまずき」にも取り組んでいきたいと考えている。【2010/1/19】

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トレーニング対象者の年齢・性別

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資料ファイルのreportに,より詳細な事例の報告があります。
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