多文化共生時代のコミュニケーション能力の育成
本書は,学校のドラマ活動に焦点を当て,子どもたちがドラマの不思議さを通して自他理解を深め,調和し,自信をもつことを願ったものである。現代日本社会と子どもたちの現状を踏まえ,子どもたちの抱えている問題を解決するための糸口を示す,身体的で活動的な教育方法を掲載している。そして本書のドラマ活動は,学校現場だけではなく,病院や企業をはじめとしたさまざまな施設で実施することができる。
子どもたちは,本書で日本向けに作成された「プレ・テキスト」とドラマ活動のための導入(おもに第三章で紹介)に,思わず引き込まれてしまうだろう。「プレ・テキスト」を読むと,想像力がかき立てられ,驚いたり,はてなと思ったり,探求したくなったりする。本書には,実際にドラマ活動を行う際の詳細な留意点や助言も掲載されており,子どもたちはコンベンションと呼ばれるドラマ技法を通して,自分とは異なる登場人物をイメージしながら,生き生きとドラマ活動に取り組むだろう。
アプライドドラマは,子どもたちが自分の人生と生活を意識化するための方法である。アプライドドラマは,教室にさまざまな世界をもち込む。例えば,人間はどのように行動するのか,なぜそうするのか,といったことをドラマ活動を通して探求できるようにするのである。自信にあふれ,他者を尊重し,物事の本質を見抜ける大人になるためにはどうすればよいか,子どもたちは自ら考えることになるだろう。
ジョナサン・ニーランズ(ウォーリック大学教育学部ドラマ・演劇教育主任教授)
■著者紹介■
アレン・オーエンズ Allan Owens
チェスター大学教授。ウォーリック大学博士号(Ph. D.)。英国教育評議委員(特別研究 員)。長年にわたり,ドラマを異文化間で学際的に幅広く(教育,演劇,保健,政治,ビ ジネス,コミュニティなど)活用する研究を続け,チェスター大学で教鞭をとる。現在 は,オーストリア,アメリカなど16か国にゲストティーチャーとして招聘され,世界的に 活躍している。これらの国々と長期間の国際研究プロジェクトをもつ。現在とくに力を入 れているのはアプライドドラマを用いた,人間同士の自然理解発生であり,アプライドド ラマを質の高い教育にいかすことである。『Dramawork』『Mapping Drama』(Carel Press,1997・2001)ほか,ドラマ/教育にかかわる著書・コラム・論文多数。
ナオミ・グリーン Naomi Green
ワークショップファシリテーター。イギリスと日本で,ドラマ講師として,日本伝統芸能 や物語を英国の教育に取り入れたワークショップや授業を行う。リバプール大学にて文学 とESOL(英語)を専攻。刑務所・特別学級でのドラマ教育を専門とし,プレ・テキストの 開発と執筆を行う。2000年よりチェスター大学を拠点にアプライドドラマをコミュニケー ションに活かす研究を続けている。イギリス・マンチェスター日本人補習校で国語の時間 にドラマ教育を推進し,講師評議委員もつとめる。日本とアメリカ(ニューヨーク)でア クター・トレーニングを受け,イギリスへ移住する1991年以前は,日本で俳優。各種舞台 や芸能界で活躍。著書に『蜂はチクリと刺すことを知ってますか?』(カモミール社, 2003)がある。
アレン・オーエンズ Allan Owens
チェスター大学教授。ウォーリック大学博士号(Ph. D.)。英国教育評議委員(特別研究 員)。長年にわたり,ドラマを異文化間で学際的に幅広く(教育,演劇,保健,政治,ビ ジネス,コミュニティなど)活用する研究を続け,チェスター大学で教鞭をとる。現在 は,オーストリア,アメリカなど16か国にゲストティーチャーとして招聘され,世界的に 活躍している。これらの国々と長期間の国際研究プロジェクトをもつ。現在とくに力を入 れているのはアプライドドラマを用いた,人間同士の自然理解発生であり,アプライドド ラマを質の高い教育にいかすことである。『Dramawork』『Mapping Drama』(Carel Press,1997・2001)ほか,ドラマ/教育にかかわる著書・コラム・論文多数。
ナオミ・グリーン Naomi Green
ワークショップファシリテーター。イギリスと日本で,ドラマ講師として,日本伝統芸能 や物語を英国の教育に取り入れたワークショップや授業を行う。リバプール大学にて文学 とESOL(英語)を専攻。刑務所・特別学級でのドラマ教育を専門とし,プレ・テキストの 開発と執筆を行う。2000年よりチェスター大学を拠点にアプライドドラマをコミュニケー ションに活かす研究を続けている。イギリス・マンチェスター日本人補習校で国語の時間 にドラマ教育を推進し,講師評議委員もつとめる。日本とアメリカ(ニューヨーク)でア クター・トレーニングを受け,イギリスへ移住する1991年以前は,日本で俳優。各種舞台 や芸能界で活躍。著書に『蜂はチクリと刺すことを知ってますか?』(カモミール社, 2003)がある。
目次
巻頭言 Dr.ジョナサン・ニーランズはじめに 小林由利子
序章 日本におけるアプライドドラマの意義
第1章 アプライドドラマとは
1 アプライドドラマは何か
2 アプライドドラマを知る
第2章 アプライドドラマの構成
1 プレ・テキストになる物語の選び方
2 ドラマ活動の導入 ―ストーリー・スプーン(物語の象徴)―
3 アプライドドラマの主要な手法
4 アプライドドラマの構成 ―キー・コンセプト―
第3章 学校教育でアプライドドラマを活用する
1 学校現場でアプライドドラマを行う方法
2 プレ・テキスト
桃太郎
雪女
夢と現実
リア王
羅生門
ザ・ゼ・ソ
孔雀
第4章 事例で読むアプライドドラマ
1 特別支援教育でのアプライドドラマ
2 刑務所・矯正施設でのアプライドドラマ
3 病院でのアプライドドラマ
4 コミュニティ・社員研修・生涯教育でのアプライドドラマ
終章 アプライドドラマを実践する人へ
付録
1 アプライドドラマへのコンベンション
2 簡単にできる「事前エクササイズ」のゲーム例
3 そのほかのプレ・テキストと物語
おわりに
関連書籍
- 定価:2420円
- 創造的なグループ活動を通して「生きる力」を育む教育方法