月刊誌 指導と評価

2017年 11月号
  1. 2017年 11月号 Vol.63-11  No.755  定価:450円
特集
通信簿・補助簿
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特集

通信簿・補助簿の意義

文教大学学園長・応用教育研究所所長  石田 恒好

★通信簿は教育に協力するために、学校と家庭が連絡するための代表的な手段である。果たしている機能は、①作り方で、教育の考え方、学校の教育方針を知らせる ②学校での行動や学習の状況、家庭での教育の仕方などを知らせる ③児童生徒にも、学習状況等を知らせ、自己評価をさせる ④教師としては、一人一人を確かな資料で見直し、理解を深め、指導の評価も行う ⑤家庭から、状況、方針、要望等を知らせる。学年末に、以上の機能を果たしているか点検し、改善する。
★補助簿は、指導要録補助簿の略称で、年度末の記入のため、平常から資料を収納する。確かな証拠で教育や評価を行うためには、補助簿を個別化し、整備することである。

校務支援システムを活用した成績管理

上越教育大学特任准教授  田邊道行

★統合型校務支援システムの活用により、教職員の業務負担軽減、情報の共有化による教育の質的向上、情報セキュリティ対策など、効果がみられた上越市の事例を成績管理の機能に絞って紹介する。
★統合型校務支援システムを活用した成績管理では、クラウド仕様になっているため、アクセス権限があれば、複数の教職員が児童生徒の情報を入力して共有化することができる。
★統合型校務支援システムを活用した成績管理では、通知表や指導要録を出力する際に、他の機能から出欠席の状況や日常の記録など必要な情報を引用して活用することができる。

本校の通知表-個を大事にした通知表を目指して-

熊本県山江村立山田小学校情報教育担当教諭  西口雄一郎

★山江村では、平成23年度から10年計画でICT教育の先進的取組を実施しており、授業でのICT活用と並行して、校務支援システムも導入された。補助簿等、学習指導情報の蓄積と共有が図られることによって、日常的な評価の意識の高まりや、評価内容の質的向上、全職員で児童の良さや成長を見取ることができた。煩雑な事務処理にかかる時間を極力短縮することで、「児童と向き合う時間」の確保につながり、その時間がさらなる児童理解・評価へと深化し、児童一人一人を大切にした教育活動が展開できると考える。

私の補助簿-シミュレーションシートを活用した学級経営

高知大学准教授  鹿嶋真弓

★学級経営で重要なことは、常にアセスメント(見立て)をしながら、どのようにアプローチするかストラテジー(作戦)を練ることである。そのためのコツは、いろいろな方法を用いて、現在地における個や学級集団の課題とリソース(資源)を把握し、めざす学級像をより具体的な行動レベルでイメージすることである。そして、そのイメージされた風景が学級の中で出現するためには何をどのようにすればいいか考える。複数の切り口で自己内対話を繰り返し、そのつどシミュレーションし、流れがスムースになったところで実践してみる。その結果、めざす学級像に少しでも近づけばそのまま続け、うまくいかなかったら次なる一手を考える。この繰り返しが大切である。

ポートフォリオを補助簿として用いる

教育評価総合研究所代表理事  鈴木秀幸

★ポートフォリオも一種の補助簿として考えることができる。
★総合的な学習の時間で補助簿としてポートフォリオを作成している。
★将来は、ポートフォリオ評価として機能させることを目指している。さらに各教科・科目に発展することが望ましい。

連載

QUを活用した学級づくりと学力向上(8)市に教育実践の基盤をつくる③-発信を通して取組の本質を考える- 新潟県魚沼市教育委員会統括指導主事
伊佐貢一
合理的配慮が求められる時代の特別支援教育(8)自閉症スペクトラムの特性と支援-ニューロダイバーシティとしてのASD 国立特別支援教育総合研究所主任研究員
玉木宗久
役に立つ教育カウンセリングの技法(8)不登校の子どもとの出会い方-ガイダンスカウンセラー- 教育カウンセラー・ガイダンスカウンセラー
川端 久詩
新教育課程の評価を考える(4)「思考・判断・表現」の観点の評価(1) 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
パフォーマンス評価(2)数値的評価と質的評価 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
「教師力」アップセミナー(8)特別支援教育への対応 京都文教大学准教授
大前暁政
わたしたちの学校づくり(19)SSWとSCとの連携を通した「チーム学校」の取組 福岡教育大学・九州栄養福祉大学非常勤講師(元福岡市立長尾中学校校長)
岸川 央
わたしたちの学校づくり(20)援助ニーズへの対応で学力の向上をめざす 元盛岡市立玉山中学校校長
根田真江 
コミュニケーション力能力育成としての英語教育(6)外国語教育で育む子ども像の策定とカリキュラム・マネジメントの充実 国立教育政策研究所名誉所員
渡邉 寛治
小中学校の理科(17)地域の自然環境を生かしたフィールドワーク-理科副教本別冊「しらべて見よう野田の自然」- 前千葉県野田市立みずき小学校長
大関 健道
思考・判断・表現の評価と指導<中学校>高校入試問題の分析から(2)国語科-論理的思考・表現力の指導と評価- 都留文科大学特任教授
鶴田清司
私のカウンセリング道程を語る(8)多摩美術大学・東京理科大学のころ(1966-1989)-カウンセリングの対象・方法への開眼 NPO法人日本教育カウンセラー協会会長
國分康孝
NPO法人日本教育カウンセラー協会理事
國分久子
教育統計・測定入門(61)多変量成長曲線モデリング 法政大学教授
服部 環
「確かな証拠」に基づく教育 文教大学学園長・応用教育研究所所長
石田 恒好
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