月刊誌 指導と評価

2016年 6月号
  1. 2016年 6月号 Vol.62-6  No.738  定価:450円
特集
教育評価の現状と課題
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特集

教育評価の現状と課題

教育評価総合研究所代表理事・『指導と評価』編集委員  鈴木 秀幸

★教育目標が思考力・表現力・活用する力、さらに主体性などに重点が移るとともに、評価手段も変わらざるをえない。
★知識は多肢選択式・短答式などのペーパーテストが適合すると考えられるが、いま重視されている学力は、記述式、パフォーマンス評価などのほうが妥当性が高い。ただし、その信頼性をどう高めるか(ハイステイクスなテストではとくに重要)、評価基準をどう定めるかなど課題がある。
★わが国の現状では、前記の評価手段の信頼性の向上とともに、形成的評価の研究、スタンダード準拠評価の理解、観点別評価のABCの評価基準の開発、全国学力調査の公表方式の改善などが課題と言えよう。

教育評価の歴史と課題-いままで(成立)・いま(消失)・これから(回復)-

文教大学学園長・応用教育研究所長  石田 恒好

★教育測定運動で客観的な測定が可能になり、「八年研究」で測定結果を資料として教育を評価できるようになった。教育評価の成立である。
★専門用語の一語多義・同語意義、訳語の一語多訳、異語同訳が原因で、多くの教師が、協定をして評価をしたと誤訳をし、教育を評価しないで次へ進んでいる。評定あって評価なし、アセスメントあってエバリュエーションなし、評価の消失である。
★評価の回復は、専門用語を一語一義・同語同義、訳語を一語一訳・同語同訳で正し、普及する以外にない。公の文書からすみやかに始めるべきである。

形成的評価:フィードバックの効果と効果的なフィードバックの実施に必要な高度の専門性

国立教育政策研究所総括研究官  山森 光陽

★さまざまな教育技術の中でも形成的評価として学習過程の情報を学習者にフィードバックすることは、学力に及ぼす効果が高いことが最近の研究で明らかとなっている。とくに、正誤だけではなく正答を示すことや、到達状況と到達目標との差を示すことの効果は高い。しかし、フィードバックの効果には学習内容や学習者の個人差との交互作用が見られることも分かってきた。また、与えるタイミングによっても効果が異なることや、学級規模等の教育条件によっても実施のしやすさが左右されることも示されている。これらの知見をふまえると、形成的評価の効果的な実施には教師の高度な専門性が必要であることが指摘できる。

客観テスト

法政大学教授  服部 環

★客観テストは採点者によらず、同一の解答に同一の得点を与えるテストであり、公平な教育的資料を作成する必要性から生まれた。再認形式(真偽式、多肢選択式、組合せ式、再配列式)と再生形式(単純再生式、完成式、訂正式)があり、それぞれの特徴に応じて使い分ける。客観テストはテストの内容的妥当性を確保することが期待できる。専門家が参考にする作成ガイドラインは、教師自作テストでも参考になる。一事例の分析にすぎないが、客観テストも「活用」もしくはそれに近い力を測定できる可能性が示唆された。

パフォーマンスアセスメント

京都大学大学院准教授  石井英真

★パフォーマンスアセスメントは、思考する必然性のある場面(文脈)で生み出される学習者のふるまいや作品(パフォーマンス)を手がかりに、概念の意味理解や知識・技能の総合的な活用力を質的に評価する方法である。
★パフォーマンスアセスメントでは、評価や学習の文脈の真正性が重視され(真正の評価)、知的・社会的能力の育ち(熟達度)をスタンダード準拠評価で長期的に評価していくことが重要となる。
★学習者自身が評価を学習改善に生かすこと(学習としての評価)を意識することで、深い学びの成立や「学び超え」が期待できる。

連載

学校力・教師力アップセミナー(2)授業づくりを進める 富山県公立学校スクールカウンセラー
水上 和夫
QUを活用した学級づくりと個別支援(3)QUを使った児童生徒のアセスメント 早稲田大学教授
河村 茂雄
特別支援教育のこれから(3)教師によるいじめ・不登校を含む学校適応に関する予防・開発的援助(一時的援助) 福岡教育大学教授
西山久子
これからの教育評価(3)評価を生かしたカリキュラムと授業の設計 京都大学准教授
西岡 加名恵
コンピテンシー・ベイスの授業づくり(1)コンピテンシー・コンテンツ・コンテクスト 上智大学教授
奈須 正裕
感度を高める言葉の教育(27)自動詞と他動詞 国立国語研究所日本語教育・情報センター教授
石黒 圭
小・中学校国語の「書くこと」(2)小学2年:「読むこと」と「書くこと」の密接な関連を図る 筑波大学附属小学校教諭
二瓶弘行
先人に学ぶ「数学的な考え方」(2)橋本吉彦著『算数教育 原論』より 青山学院大学教授
坪田 耕三
アクティブ・ラーニングで社会科授業を変える(2)中学校:犠牲なき社会を構築することは可能か…… 東京学芸大学附属国際中等教育学校教諭
古家正暢
理科におけるアクティブ・ラーニング(2)課題選択学習・課題設定学習1−|羈悖映:植物の生活と種類 東京学芸大学附属国際中等教育学校教諭
古家正暢
これからの英語教育をどうするか(2)中学校 埼玉県戸田市教育委員会指導主事
藤田政貴
シティズンシップ教育(3)フランス 椙山女学園大学教授
山田真紀
英文法の基本と応用−世界標準の英語へ(4)受動態(受け身) 宇都宮大学准教授
谷 光生
教育測定・統計入門(49)確認的因子分析モデルの比較 法政大学教授
服部 環
だんわしつ/美術の想い 画家
鷲津瑳環
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