月刊誌 指導と評価

2012年 6月号
  1. 2012年 6月号 Vol.58-6 No.690  定価:450円
特集
ガイダンス・カリキュラム
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特集

ガイダンス・カリキュラムとは

教育臨床研究機構理事長  中野 良顯

★ガイダンスカリキュラムは、ガイダンスプログラムの中核成分である。
★ガイダンスプログラムは、教育プログラムである。子どもの能力を特定し、習得させる組織的活動である。すべての子どもを対象とし、成長と発達に資する経験を提供する。
★ガイダンスカリキュラムは、各学年の人間形成に必要な知識とスキルを組織的に教える授業とグループ活動であり、授業型生徒指導とも呼ばれる。構成的グループエンカウンター、ピアサポートがその代表である。
★今後の第一の課題は、生徒指導、ガイダンス、道徳、総合など細分化されたカリキュラムを「人間形成」として一本化することである。第二の課題は、人間発達のステップを明らかにして教育目標として特定することである。第三の課題は、ガイダンスカウンセラーを各校に常勤配置し、プログラムの開発と推進を託することである。


ガイダンス・カリキュラムの開発と実施

東京理科大学教授  八並 光俊

★ガイダンス・カリキュラムはすべての児童生徒を対象に、計画的・系統的・継続的な意図的指導を通して、児童生徒が学校生活や社会生活で必要となる基礎的な知識、スキル、態度、価値観等の育成を目的とする成長促進型・授業型の「育てる」生徒指導である。
★ガイダンス・カリキュラムの開発に際しては、〔①共通理解→②実態把握→③設計→④実施→⑤評価〕というシステマティックな実践プロセスをもっているということを理解する。
★ガイダンス・カリキュラムの実施では、校内委員会の設置や地域連携ネットワークを構築し、組織的に展開する。また、専門的な知識、スキル、経験をもったコーディネーターを中心に運営するのがよい。

ガイダンス・カリキュラムの展開に必要な教師の資質

あいあいネットワークofHRS・ガイダンスカウンセラー  深美 隆司

★ガイダンス・カリキュラムは人間としての根底からの成長を促す。
★ガイダンスカリキュラムに必要な力は、「子どもをホールドする力」「子どもどうしの関係性とルールをつくる力」「子どもたちに気づきを引き起こす力」「子どもたちの気づきに気づく力」「子どもたちへ介入(支援)する力」「子どもたちの中で起こったことをとりあげる力」「授業でビルドアップされた気づきを大切にする力」。
★ガイダンス・カリキュラムに必要な資質は、「開かれた人間であること」「アサーティブなあり様であるということ」「相乗効果を発揮できるということ」。

ガイダンスカリキュラム実践上の課題

東京理科大学特任教員  清水井一

★校長の学校経営の具体的なプランニングを具現化したのがガイダンスカリキュラムである。
★具体的な教育課程への位置付けは,教育課程編成委員会の中でも、特に主幹教諭・教務主任等が中心となる。
★特別活動・道徳・総合的な学習の時間等を活用して、どのように教育課程に位置付けるかである。
★日常の授業と学校行事や体験活動をリンクさせることが重要である。
★ガイダンスカリキュラムに児童生徒の課題を、発達段階に応じて位置付けることが大切である。

ガイダンス・カリキュラムの実践

公立学校スクールカウンセラー(元富山県南砺市立福光中部小学校校長)  水上 和夫

★ガイダンス・カリキュラムは、学校の課題や実態に合わせ、ねらいや時期、実施方法などを明確にし、年間指導計画に位置づけて実践する。
★ガイダンス・カリキュラムのプログラムは学級の状態により、ルールや人数、実施時間などをアレンジして行う。
★小学校ではガイダンス・カリキュラムはスタートであり、ねらいを生活場面に広げたり、定着させたりすることが求められる。
★ガイダンス・カリキュラムを効果的に進めるためには、グループアプローチを取り入れて授業(活動)のねらいを達成するために必要な考え方や技術(グループアプローチ活用スキル)を高めることが必要である。

ガイダンスカリキュラムの実践

神奈川県逗子市教育委員会教育部長  石黒 康夫

★本校で取り組んだガイダンスカリキュラムの内容は、4つの要素からなる。(a)生徒を認める指導、(b)指導の基準となるルールづくり、(c)生活指導のスタンダード化、(d)全校体制で取り組むことである。
★基本的な考え方は、予防的・開発促進的な取組。
★すべての活動は、基本ルールが土台となる。
★取組は連動させることが大切。
★学校規模で取り組むためにも、全教職員で協働の場を形成することも大切。

ガイダンス・カリキュラムの実践-「子どもの社会的スキル横浜プログラム」と「YPアセスメント」の併用を中心に

横浜国立大学教授  犬塚文雄

★ガイダンス・カリキュラムを推進していく上で、始動と評価の一体化をいかに図っていくかが大きな実践課題となっている。
★横浜市教育委員会が作成した「子どもの社会的スキル横浜プログラム」と「YPアセスメント」は、まさにその一体化を図る方向で開発されたものであり、今後、各学校でチーム支援体制を整備拡充していく上でも大いに参考となるツールである。
★本校では、まず、「子どもの社会的スキル横浜プログラム」と「YPアセスメント」をそれぞれの特長を明らかにした上で、チーム支援体制の中でどのようにこの二つを併用していったらよいか、その実際を、学級集団を対象としたチーム支援に焦点化して、具体的に論じていきたい。

連載

新学習指導要領で教科調査官が求める授業(6)小学校音楽 文部科学省教科調査官
津田正之
文部科学省視学官
杉田 洋
思考力・判断力・表現力を育てる指導と評価(2)思考力・判断力・表現力の評価方法(1)項目応答評価 国立教育政策研究所総括研究官
山森 光陽
これからの評価を考える(2)発達段階モデルの登場 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
特別支援教育に取り組む(3)「特別支援教育をベースにした楽しい学校(楽校)づくり」 教育カウンセラー・ガイダンスカウンセラー
川端 久詩
学級ソーシャルスキルを子どもに育てる(3)小学校低学年に学級ソーシャルスキルを育てる 兵庫県宍栗市立千種小学校主幹教諭
須藤 真
これからの小学校国語の授業づくり(15)「話すこと・聞くこと」4年生 筑波大学附属小学校教諭
二瓶弘行
坪田耕三先生の基礎・基本を学ぶ小学校算数の授業づくり 「わかる」と「できる」基礎・基本の考え方(72)-小学校6年、散らばりの表し方 青山学院大学教授
坪田 耕三
小学校理科の授業づくり(3)4年A「電気の働き」 文部科学省教科調査官
村山哲哉
アドラー心理学で教師力を高めよう(2)学級づくりに生かす 文教大学教育学部教授
会沢信彦
小学校英語活動のポイント(38)PDCAサイクルによる「外国語活動」の運営の在り方と方法-その18(指導の基本8) 国立教育政策研究所名誉所員・2014年度戸田市英語教育運営指導委員会委員長
渡邉 寛治
教育統計・測定入門(3)変数の特徴を表現する 法政大学教授
服部 環
学校の法律相談(14)確証がなくても虐待を通報すべきか 国立教育政策研究所名誉所員
菱村 幸彦
だんわしつ/エビデンスに基づく教育改革と実践 (財)応用教育研究所所長
辰野 千壽
ひとりごと/遊びに来いよ 元公立中学校教諭
吉冨 久人
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