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月刊誌 指導と評価

2017年 6月号
  1. 2017年 6月号  Vol.63-6  No.750  定価:450円
特集
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    カウンセラーによる学業発達の支援
    東京学芸大学名誉教授  河野義章

    ★いじめや不登校の数がいっこうに減りません。授業が退屈で楽しくない。先生の話が分からない。成績もあがらない。それでも、じゃまにならないようにじっと我慢している。これでは、ストレスがたまる一方です。子どもの発達課題を支える教育カウンセラーは、これまで以上に「教えること・学ぶこと」に注目したいものです。授業を通して達成感や自己効力感が高まり、将来への展望をもつことができる。授業は、「授業療法」とも呼べる治療と予防の力をもっています。

    学習意欲の伸ばし方―内発的と外発的の間でー
    中部大学教授  速水敏彦

    ★教育界には子どもの内発的動機づけを高めることが最重要課題という通念がある。しかし、現実の教育内容等を鑑みれば、まずは子どもが自ら自律的に学習しようとすることが肝要である。それがないと先生に楽しい授業だけを求めたり、地道に努力することを軽視する懸念もある。それゆえ同一化的調整段階の自律的動機づけを形成させることを第一の教育目標としたい。その調整の中で子どもは学習に必要なレジリエンスやメタ認知、ソーシャルサポートの獲得の仕方などを習得していくものと思われる。内面化の過程は漸次、進行すべきであり、一気に内発的動機づけを形成させようとするとかえって、他律的動機づけを助長することにもなりかねない。

    わからないことが質問できる子どもを育てる
    日本女子大学准教授  瀬尾美紀子

    ★勉強がわからない場合に、先生や友だちなど他者に質問して教えてもらうことを「学業的援助要請(academic help-seeking)」という。自律的に援助要請を行うことは学力を向上させる。一方で、「援助要請の回避」や「依存的援助要請」の問題が指摘される。
    ★自律的に質問できる子どもを育てるためには、「熟達目標志向の動機づけを促すこと」「つまずきを活用する学習観の形成」「つまずきを明確化するメタ認知スキルの教授」が働きかけのポイントになる。また、安心して質問できる環境を整えることも重要である。
    ★援助者(教師)は、対話的なやりとりによって子どもの思考活動を促し、主体的に問題解決できるように指導援助していくことが求められる。


    自分で「学び方」を見つけて学ぶ自律的学習のすすめ―一人ひとりの主体的な学びの支援
    京都教育大学准教授  伊藤祟達

    ★「主体的・対話的で深い学び」の実現は、自己調整学習の成立を図ることであり、「どのように学ぶか」という「学習方略」のあり方、とりわけ「深い学習方略」と「メタ認知的方略」が重要である。
    ★家庭学習は場面を越えて「学び方」を学ぶ重要な機会である。「予見」「遂行コントロール」「自己省察」の3つのステップからなるサイクルを通じて、「学ぶ内容」とともに「学び方」が深まるような支援の手だてを講じる必要がある。
    ★「学び方は一人ひとり違っている」ことを前提に、自分の個性に応じた学び方を発見し、自分のものにしていくことが、生涯学びつづける自律的学習者となるために、とても大切なことと考える。

    形ばかりの「ごまかし勉強」からの脱却
    跡見学園女子大学教授  藤澤 伸介

     ★ごまかし勉強とは、知識の暗記と技能訓練だけを試験対策用に行う質の低い学習法である。意味理解を伴わない記憶は消えやすいが、テスト出題の質が低いとこうなりがちだ。教師が「わかる学力」を確認する出題をせず、「できる学力」だけに目を奪われていると、生徒は意味理解の必要性に気づかない。教科書本文そのままを引用した空所補充問題、思考過程を問わない 出題、出題意図不明のテスト等は、学力向上につながらない。教師は学習者を、他者からの高評価をねらった学習でなく、内容獲得を目指した学習の方向に導くことも留意する必要がある。

    子どもどうしの学び合いを支える授業
    東京都大田区立東調布第一小学校指導教諭  町  岳

    ★本稿では、「主体的・対話的で深い学び」を実践する方法として、授業実践型相互教授(Reciprocal Teaching in Classroom; 以下RTC)による実践を紹介する。RTCでは、グループのメンバー一人一人が、説明役・質問役を担当し(役割付与)、一定時間ごとに交代する(話し合いの手順の提示)。説明役を担った児童が、学習課題に対する自分の考えを他のメンバーに説明し (思考の外化)、質問役の児童の質問に回答することで、最初の説明が精緻化されていく。町・中谷(2014)は、小学校の算数グループ学習でRTCを取り入れた結果、学業達成度が向上したことを示した。 RTCを通して、「学び合いの仕方」を学ぶことで,主体的・対話的で深い学びができる集団への成長が期待できる。

    連載

    QUを活用した学級づくりと学力向上(3)良好な学級集団を形成することは授業づくりの前提である 早稲田大学教授
    河村 茂雄
    合理的配慮が求められる時代の特別支援教育(3)通常学級で気になる子を支援する 早稲田大学大学院教授
    盒兇△鳥
    役に立つ教育カウンセリングの技法(3)面接の諸形態と技法 北海商科大学教授
    大友 秀人
    新教育課程の評価を考える(1)中教審答申をもとにして 静岡県立袋井高等学校教諭
    鈴木 秀幸
    評価結果の戻し方(2)/評価結果の戻し方の種類による効果の違い 国立教育政策研究所総括研究官
    山森 光陽
    教師力アップセミナー(3)支持的なムードを基盤とし、「自治的な集団」に育てる 京都文教大学准教授
    大前暁政
    教えて考えさせる授業(10)小中連携の実践事例−目指す人間像を共有した小中一貫授業改革の取組 鳥取県伯耆町立岸本中学校教諭
    篠原 祟
    コミュニケーション力を育てる英語教育(3)小学校「外国語(英語)」の担当者に求められるコミュニケーション力 国立教育政策研究所名誉所員
    渡邉 寛治
    先人に学ぶ「数学的考え方」小学校算数(12)中島健三『算数・数学教育と数学的な考え方−その進展のための考察―』 青山学院大学教授
    坪田 耕三
    小中学校の理科(12)教師の資質・能力を高めるための自主的な学習会 前千葉県野田市立みずき小学校長
    大関 健道
    コンピテンシー・ベイスの授業づくり(11)音楽 聖徳大学教授
    八木正一
    私のカウンセリングの道程(3)教育と学問と生活の方向づけ―茗渓の九年間 NPO法人日本教育カウンセラー協会会長
    國分康孝
    NPO法人日本教育カウンセラー協会理事
    國分久子
    巻頭言「構成的グループエンカウンター」の実践と研究と邂逅 日本教育カウンセラー協会副会長
    片野智治