創造的なグループ活動を通して「生きる力」を育む教育方法
コミュニケーション能力を育てる手法として,最近注目が集まっている「ドラマ教育」。
その初の入門書となる本書では,これまでさまざまに紹介されてきたドラマ教育の方法論について,その歴史・背景・導入の経緯を概説する。それぞれの方法論と実践家の関係性を,体系的に理解できる。
また,実際の学校現場への導入方法を提案し,具体的な実践の方法を知ることができる。
これからの多文化共生社会に生きる子どもたちに必要とされる「コミュニケーション能力」を育てる,新しい教育手法の提案。
目次
第1章 ドラマ教育とは?1 ドラマ教育とは?
2 ドラマ教育の目的
3 英米のドラマ教育の歴史
第2章 ドラマ教育の方法
1 ウィニフレッド・ウォード:クリエイティブ・ドラマの母
2 ジェラルディン・ブレイン・シックス:クリエイティブ・ドラマ――プロセス・コンセプト・アプローチ
3 ブライアン・ウェイとDrama in Education:「ドラマ教育とは何か」を教えてくれた演劇教育者
4 ドロシー・ヘスカット:Drama in Education
5 セシリー・オニール:プロセス・ドラマ
6 キース・ジョンストン:インプロヴィゼーション
7 ヴァイオラ・スポーリン:インプロヴィゼーション
8 ジョナサン・ニーランズ:Drama in Education――コンベンションズ・アプローチ
9 ベルトルト・ブレヒトの教育劇と演劇教育:社会改革のための新しい演劇形式の開発
10 アウグスト・ボアール:被抑圧者の演劇から欲望の虹へ:エンパワーメントのための演劇のパイオニア
第3章 学校におけるドラマ教育
1 ドラマ教育のデザイン:より効果的な授業実践のために
1 ドラマ教育への関心
2 ドラマ教育の学習活動
3 学習活動の構造
4 授業の実施にあたって
5 評価について
6 本章の授業案について
2 幼稚園・保育所において
◎魔法のなべ:自由な活動としての遊びからドラマ活動へ
◎ウクライナ民話『てぶくろ』の劇化:絵本の読み聞かせから劇遊びへ
◎影絵遊び:影の不思議さや面白さを楽しもう
3 小学校において
◎たくさんのありがとう:伝える相手や場面によって声の大きさを変える【国語】
◎消防の仕事:安全なくらしとまちづくり【社会】
◎ウソつきは泥棒の始まり?:周りの人たちに信頼される自分を育てる【道徳】
◎アルファベット:からだで遊ぼう【外国語活動】
◎イルカの調教ゲーム:相手によい時間を与えるコミュニケーションを学ぶ【総合的な学習の時間】
◎みんなで挑戦! 8つのステージ:積極性と協調性の第一歩を踏み出す【特別活動】
4 中学校において
◎図書委員が決まらない:学級のルールを自分たちで考える【国語】
◎ペリーの来航と開国:日本の近代化への歩み【社会】
◎葉っぱのフレディ:“Life”とは?【英語】
◎通知票:親になってみる体験を通して,自立する準備を始める【道徳】
◎高齢化社会に生きる私たち:家族の一員として高齢者福祉を考える【総合的な学習の時間】
5 高等学校において
◎羅生門:老婆のレトリックを読みとく【国語】
◎信頼について考えよう:他者とのかかわりのなかで【倫理】
◎Amanda Davis:異種移植をめぐって【英語】
第4章 ドラマ教育をより深めるために
1 研究とは何か? 論文とは何か?
2 いろいろな研究方法
3 ドラマ教育の実践を研究するために
4 実践記録のつけ方
5 実践記録をつけたあとどうするのか?――分析から論文執筆へ
6 新しい研究発表の仕方